その国では、1年間に赤ん坊が90万人生まれますが、
それは40年前の約半数に減っています
その国には市町村ごとに公立の学校が整備されていて、
誰でも授業料なしで通学することができますが、
学校に「行けない」「行かない」子は年々1万人ずつ増えて、現在約14万人
過去最多になっています
その国の35歳以下の若者の死因の1位は自殺
他の国の若者で、病気や事故が死因の1位となっているところ、
その国の若者の死因1位は自殺です
つまりその国は、
赤ん坊が少なく生まれ、
学校は不足なくあるのに通えない子が増えていて、
35歳までに自殺で命を落とす割合の大きな国
それは、日本です
先週、私は「NPO法人子どもとメディアを考える会」代表理事の清川輝基さんの講演会に行ってきました
高崎には何度も訪れてくださっているそうなのですが、前回は子育て中につき夫が聴講
私は本で学ぶのみでしたが、今回やっと直接お話を聞くチャンスを得ました
清川さんは元NHKのディレクター
長野五輪の時には長野放送局長だった方です
NHK時代、家庭にテレビが普及し、子どもの生活が一変したことを目の当たりにし、子どもの発達とメディアの関連性について追及する社会報道番組を作っていたそうです
その中で、「テレビだけではない、子どもたちに本物の体験を」という目的の「子ども劇場」という組織の、福岡県での主婦達の立ち上げに携わりました
「子ども劇場」運動は全国に広がり、私の母は、4つ下の弟(赤ん坊)をおぶって私と近所を散歩中にこども劇場のポスターを見つけ、その掲示板の家にピンポーン、と入っていって、「このお芝居、見たいんですけど」と…「子ども劇場」と出会ったそうです
福岡で「子ども劇場」が発足して約10年後の群馬県でのことです
それから10年ほど、私は「子ども劇場」で育ちました
子どもの頃、よく誤解されましたが、「子ども劇場」はなにも、演じるわけではなくて、生のお芝居や音楽の舞台を見ることを軸に、子どもたちには外遊び、自然体験を、大人達はそのために勉強会を重ね、こどもの発達にとって何が大切かを真剣に考える会でした
もちろん、こども時代の私は大人達が何を相談しているのか知らなかったし、こどもに直接関わるのは親ではなく、大学生や若い社会人で構成されている「青年」という人たちだったので、とにかく、「青年」に牽引され、知識や、経験、行動に至るまで、影響され、憧れ、親がいたらさせてもらえなかったような危険なことや怖いことも、「青年」と仲間と一緒にいろいろ体験して逞しく育ちました
「”高崎子ども劇場”全盛期に子どもでした」と私は清川さんに自己紹介しました
講演後に、主催者の方に誘っていただき、お話する機会をいただけた時です
「子ども劇場」がなかったら、今の私の半分くらいの要素は構成されなかったと思われます
だから、清川さんに直接間近でお会いしてお話を聞いていたら、「お父さん」に出会った気がしてきました
私はこの方に育てていただいたのかもしれない、とさえ感じたのです
すごくエライ人で、お目にかかれるだけで本当に光栄で希有なことなのに、初めてお会いして話をしていると、心の奥がほっとしたような、安心感のようなものがわき出てきたのでした
その日のうちに、実家の両親にはそのことを報告しました
清川さんがいなかったら、今の私はなかったのかもしれない、と
母は、最終的には高崎子ども劇場3代目の運営委員長になりました
親同士、本気で子育てについて語り合い、青年たちと議論し、母はいつもとても忙しかったけれど、いつも「子どもたちが心身共に健全に育つには」ということのためだけに動き回っていました
幼い頃は母にくっついて事務局に出入りしていたけれど、小中学生になれば自分自身での関係が劇場内にあり、「居場所」もありました
ひとりでバスに乗って事務局に会議や、遊びに行くこともありました
高崎子ども劇場は現在も元気に活動中です
少子化で、私の子ども時代よりは随分と小さな組織に変わっていますが、興味のある方は、全国に子ども劇場はありますので、ぜひ、お近くの子ども劇場を探してみてください
そんな清川さんが今、子どもたちの発達について強く警鐘を鳴らしています
講演の内容を全て紹介することは、清川さんの著作権を侵害することになります
それくらい、充実した、そして衝撃的な内容です
私がここで全てをお伝えすることはできません
清川さんの講演はパワーポイントを使わず、ホワイトボードとお話で構成されているので、大事なことはたくさんメモしなければなりませんでした
講演翌日から清書した私のメモは、A4用紙5枚分にもなりました
だから、全てをお伝えすることは難しいし、まずは、清川さんの著書を読んでいただくことと、お近くで清川さんの講演があったらぜひ足を運んでいただくことをおすすめします
一緒に聴講した友人と、「清川さんを呼びたい」と話しています
もう一度、高崎で清川さんに講演いただくにはどうしたらよいか、本気で考えます
メモしながらも、清川さんの言葉を聞きのがすまい、と目は壇上に向けたまま、必至に書きながら聞く、聞きながら書く、帰宅して忘れないうちに清書…ここのところ、講演会といえば、パワーポイントのよくできた画面、それをプリントしただけの資料、メモすることもなく…または、膨大な資料を読み上げるだけのものが多かった(びっくりするほど退屈で、わははと面白かったとしてもなぜか心に残らない…)ので、久々の充実感、そして、なんともいえない興奮状態…他の誰かの講演会もいつもこう…そう、糸山先生の講演会ととてもよく似た感触でした
ぜひ、みなさんにも清川さんの講演を聴いていただきたい
それでも、
今回、私が感じたこと、清川さんの講演で私が再確認したこと、得たもの、
みなさんにお伝えしなければならない、と強く感じたことを、数回にわたって書いていこうと決意しています
親がスマホに夢中=育児放棄
子がスマホに夢中=虐待
清川さんは断言しています
もう一度書きます
この国では、赤ちゃんが少なく生まれ、全員が安心して通えるはずの学校に行けない子は年々増えて、現在過去最多
そして、35歳までの死因は、自殺が1位です
清川さんは、この事実(事実です。公表されているデータです)と、メディアの急速な進化と普及とに因果関係があると断言しています
私も、清川さんの見てきた歴史には及びませんが、26年間、子どもたちと、とりまく環境、親御さんの生活、考え方の変遷を見続けてきて、同じように感じます
もう、目をそらすことはできません
「そうは言っても、ねえ…」なんて濁すことも、他人事として諦めることも、できないのです
なぜなら、子どもたちは未来だから
少なく生まれた赤ちゃんたちは、30年後には大人になっていて、年をとった私たちの国の中枢を担う人材も育っているはずです
…育っているでしょうか…
どんな大人が育っているでしょうか?
AIが人間の存在意義を脅かす?そんな問題ではないんです
AIではなく、今、生きている大人達が、今、子どもをとりくまく大人達が人間の存在意義を将来脅かすことになる行為を平然と行っています
色々な機関が調査していて、様々なデータがありますが、まとめると、
乳幼児で毎日デジタルメディアに触れている子は20%を越えました
電車の中や、飲食店などで、静かにさせるために「見せた(使わせた)ことがある」という割合を加えると数倍になるようです
年齢が上がるにつれ、数値は倍々に増えていきます
ところが、70%以上の保護者が「乳幼児のデジタルメディア使用に不安を感じる」と答えています
でも「専門家」は言うのです
「デジタルメディアが子どもの発達に影響するという証拠はない」
と
証拠はいつ拾いましょうか
子どもの目が壊れてからでしょうか(もうすでに症例は増えている、でも、証拠じゃない?)
子どもの自己肯定感が異様に低いことで自殺する若者が多いのではないかという見解は?
そのアンケートデータと死因1位の資料とを並べても、まだ「証拠」ではないのですね
かつて人類が経験したことのない、
乳幼児期からデジタルメディアを目の前で浴び続ける、という人体実験をしている現代の親たち
それを「有害かどうかは証拠がないから断定できない」とテレビで御用専門家が言う
目の前に飛んできたボールをよけられない小中学生が激増している事実は?
大けがしてないからデータにならないけど、私は目の前で何度も見ています
学校の体育の先生にでもアンケートをとれば一目瞭然だと思います
子どもをデジタルメディア依存にさせるのは虐待である
と断言はしても、
それは親の責任である
とは言い切れない現状も、私は知っています
どうして、不安に思いながらも、親たちはわが子にスマホ画面を見せているのか
いいと思ってはいないのに、なぜ見せなくちゃならないのか
そこに救いの手が差し伸べられないまま、
スマホを見せている親だけに責任追及することはできません
でも、するかしないかは、親自身の判断で、今日からでも、明日からでも変えられます
だから、
私は救いの手を差し伸べたい
仲間を作って、大事な時期を乗り切ろう、って呼びかけたい
かつて「子ども劇場」が、新米ママの私の母を変えたように、
「なんか違うかも…」って思っているお母さん、お父さん達がみんなでつながれば、
きっと最強の仲間が全国でつながれば、
わちゃわちゃやってる間に子どもはすくすく育っちゃう
永遠に続くわけじゃない
一番大事な時期だけぎゅっと、
子どもの心身の「伸び時」を逃さずぎゅっと、
そこだけぎゅぎゅっと、頑張ればいい
体も、心も、健康的に強く、しなやかに育っていたら、
あとは親のすることなんかないんです
清川さんが話してくれた、「なんか違うかも…」って思えるお母さんお父さんに響く講演内容のいくつかの大事な点を、これから何回か、私なりにお伝えしていきます
仲間作りのために私に手伝えることがあれば、
やっていこうと思います
ここには、仲間がいるから
私がいま、直接つながっている仲間達は、
子どもをデジタルメディア漬けにすることなく、
時に吹いてくる逆風にみんなで一緒にたえながら、
子どもの一番大事な時期を、乗り越えようとしています
私の子どもは中高生になって、
一番大事な時期は過ぎて、これからはまた別の大切な時期を過ごしているけれど、
親がぎゅっとがんばる時期は終えました
だからってあとは他人事、なんて思っていない
きっと私の仲間達も、同じように思ってくれるはずです
自分が経験した「ぎゅっと」の時期を、
私と一緒にみんなに伝える力を持っている人たちです
いま「ぎゅっと」を頑張っている最中の方々も、いつかその「ぎゅっと」を卒業した時に、堂々と経験談を話せるような、誇り高い日々をぜひ過ごしてください
みんな繋がっていて、みんな仲間だってこと、
忘れないでください
私たちは、すでに、どんぐりでつながっているのだから