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があがあがちょうの があこさんは しょくじのまえに かならず 7かい があがあと いいます。1にちに 4かいの しょくじを したひは なんかい があがあと いったでしょうか。
 
1年生 どんぐり歴4ヶ月
 
おうちどんぐりのための夏休み閉室期間を経て、
のんびり再開したどんぐり学舎
絵本の読み聞かせから始めて、
問題を読み聞かせてスタート
私「があがあがちょうのがあこさんは」
(超ゆっくり 子どもの顔を見ながら)
生徒「ふふふ がちょう?があこさん…」
(目を丸くして、笑って見つめ返す)
※ここまでで机を離れる
 
クロッキー帳の半面いっぱいに、があこさんを描く
よくふとっていてかわいいがちょう
生徒「かけたよ!」
私(があこさんを見てふふっとにやけてから)「しょくじのまえに かならず 7かい があがあと いいます。」
生徒「しょくじ…7かい。」
※ここまでで机を離れる
 
さあ、どう描くだろう
導入時期は、絵にしづらいものを避けて渡してきました
今日は自分で引き出しの一番上にあった問題を選んだので、たまたま「絵に描きづらい」現象を絵にするミッションとなりました
「風の歌が聞こえてきます」とか「昨日より少ないです」とか「7回があがあと言う」とか、どうやって絵にするんだろうな~といつも楽しみにしているのです
 
生徒「かけたよ!」
何やら、ががががっと、稲妻を横にしたような印が7つ、描いてある
なるほど、音や声は見えないけど、こんな風に自分でイメージを描いたんだ
私「1にち 4かいの しょくじをしたひは なんかい があがあといったでしょうか。」
生徒「………4かい…」
※机を離れる
 
じこじこ何か描いている…がちょうを何回も描いている
しばらくして「ちょっと、せまくて描けないや」とつぶやく
「さとちゃん、せまくて描けないよ」と言ってくる
ほいきた、と机に近づく
見開きの右から描いたわね
「さとちゃんの魔法です~」と言ってクロッキー帳の後からまっさらなページを切って、糊で貼り付けた
もちろん、鼻歌交じりで、超あざやかな手つきでね
その間子どもの目はキラキラ光って
ページを延長して広くなると笑顔
生徒「おお!広くなった!」
新しく延長したページに、がちょうを4羽描いて、「声」を7回ずつ描いて、最後、一生懸命数えていた
「28ひき!」と叫んで完成
私「28………」
生徒「あ、28回だ」
正解は私が書いて終了
(年長児と1年生は解答は生徒が言ったとおりに私が代筆することがあります)
 
そのあとは、最初に描いた大きながちょうにばってんがついているのが不憫で、
「ねえ、これって“11ひきのねことアホウドリ”の鳥に似てない?」と言うと、
「似てる似てる!」
「コロッケ大好きなんだよね」
「おうち壊しちゃうんだよね」
と話が盛り上がり、
右側に鉛筆でたくさん描いてあるのは私と生徒とで交互に描いたあひるやがちょうの横顔
 
読み聞かせ方式で1対1で生徒とどんぐりをしていると、
親子どんぐりの時代を思い出します
子どもは、親とふたりで机に向かう特別な時間を、どんぐりタイムを、楽しみにしていました
私は仕事柄、家事の合間にいつも何か書いていたり、読んでいたりしたので、子どもから見ると、私が何か机に向かっているのは普通の光景だったのでしょう
おままごとらしきことをしているのを見ると、机に向かって何か書いているお母さん像を演じていることもありました
でも、1対1でどんぐり問題を一緒に解くとき、私の視線は子どもだけに注がれています
子どもだけのためにどんぐり問題を読み、一緒の時間を過ごします
少しのおやつと、飲み物と、ふたりきりののんびりとした時間
それ以外に、子どもを机に向かわせることはないので、きっと、特別な時間だったのだと思います
とはいえ、教室が忙しくなってくると我が子のどんぐりタイムは横着して教室で生徒さんと同時に、って感じでどんどん手抜きにはなっていったのですが
その頃にはどんぐりは習慣化していたのと、解く楽しみや、考える楽しみを覚えていたので、滞ることもありませんでした
 
あひるのがあこさんの問題を1年生の生徒と一緒に解いているとき、親子の時間を味わった気がしました
まっすぐな目で、読み聞かせる私を見て、にっこり笑って一生懸命描いている姿が、とても愛おしくて、幸せでした
私じゃなくて、お父さんやお母さんだったなら、もっともっと、いい笑顔を見せてくれることでしょう
 
この子の頭の中には、今解いているどんぐり問題の世界が広がっている、と手に取るようにわかりました
その前に読み聞かせた絵本の時間でも、この子の頭の中には、絵本の世界が広がっていました
 
それぞれの世界を味わい、入り込んで頭の中で広げている
 
この素直さが続けば心配ないな、と感じました
 
一方、夏休み明けには頭の中がアニメや動画やゲームやなんだかよくわからないカタカタキャラクターでいっぱいになっている子たちもいます
それらが「悪」だと私は言っていません
小さな子どもの脳内を、それらが占める状態を、想像してつきあってほしいな、と思うだけです
脳内をそれらが占めている状態で、他のことを豊かに思考せよ、と言われてもそりゃ無理だぜ、って子がいること(そういう子の方が多いこと)を知った上で、環境を整えてほしいな、って思います
 
もし、脳内を占拠されている感があったなら、ある時期だけしっかりと避けて通ればいいだけのこと
よく、毒ならしのように少しずつ見せたり与えたりした方がいい、という人もいますが、私はある時期しっかり避けて通り、その後、さっぱり解禁して子育てしてきて、子どもの脳や心が守られて逞しく育ったのを実感しています
大人の脳ほど適当ではないのが子どもの素直な脳なのです
 
なんでそんなことも描けないの?
なんで楽しめないの?
なんで丁寧に描かないの?
なんで雑に描くの?
なんですぐ不機嫌になるの?
なんで進化しないの?
なんで…
と思ったら、子どもの脳内のワークスペース、ワーキングメモリーを想像してみてください
目には見えません
数値も計れません
でも、どんな目をしているか、どんな反応をするか、そして、どんながあこさんをどんな風に描くか、見たらわかると思います
 
素直な子は伸びる
 
小学生も、中高生も
 
そして
大人もきっと