どんぐり学舎です

ご質問にお答えしますね
 
まず、お子さんの作品
とってもいいと思います
色は全部変えて、できるだけはみ出さないように丁寧に塗っているのに、
用例文はマス目を無視してダイナミックに書いているところが子どもらしくて素敵です
 
進め方や取り組み方ですが、
まず、基本的にこの教材には「1回塗って1回書けば一生忘れない」というような魔術は含まれていません
私がこの教材を使ってきたのも、糸山先生がIF法を開発したのも、どれもこれも、漢字の反復練習によって漢字が嫌いになってしまう子を少なくしたかったからです
要するに、嫌いにさえさせなければ、漢字習得で心配することはないんです
 
私は高校受験生を専門としているので、多くの中学生を見てきて知っているのは、勉強時間が多い子ほど成績が良いとか、勉強に集中できて真面目にしっかり取り組める方が成績が良いとかいうことよりも、「何に対しても興味があって目が開いていて、耳が聞こえている間じゅうなにかを学び取ろうとしている好奇心旺盛な子」は確実に勉強がよくできる、という確かな事実です
 
たとえば漢字であれば、机上で練習したり、たとえ塗り漢字であっても誰かに命じられて仕方なく塗ったり書いたりしているだけであれば、漢字を好きになったり得意になったりすることに近づくとは思えません
そうではなく、日常生活から看板や表札や標識にある未習の漢字や、本の中で使われている漢字に自然に興味を持って「なんて読むんだろう」とか「この字とあの字は似ているなあ」とかぼんやりとなんとなく考える癖のある子は漢字に強い、という事実があります
(なんとなくぼんやり考える癖のある子は「暇」です。「暇」な子は自動的に賢くなる率が高いです。だから、習い事や時間の決まった放課後の予定が少ない方がいいのです)
 
実際、私の教室の生徒たちも私の子どもたちも漢字練習はほとんどしたことがありませんが、中学生になっても、高校生、大学生になっても漢字で困る子は少ないです
むしろ、高校入試では10問以下程度の漢字の出題がありますが、模試の段階からそこで失点することはあまりありません
小学生時代、漢字練習をしていないのにです
(高校入試の漢字出題の半数以上が小学生で習う漢字です)
逆に、「漢字を覚えさせなくちゃ」「漢字練習くらいさせなくちゃ」とこっそり練習をさせられていた子たちはすっかり漢字が嫌いになり、なぜか英語まで苦手になり、中学生になってとても苦労している例もあります
 
とにかく「嫌いにさせない」ということが一番の目安になると思うので、漢字に限らず、学習関連の導入にはその部分を意識なさるといいと思います
 
ご質問①に関して(学校で習ったら塗るのか)
学校進行に合わせて塗るのが一番子どもには負担が少ないかと思います。全ての漢字を塗らなければ、と気負わず、いま習っている漢字、宿題に練習が出された字を塗って宿題の代わりとするのが理想的で
ご質問②(これまで習った字も遡って塗るのか)にも共通しますが、私の場合は、カルタで並べ替えたら積み上げておき、子どもが、宿題で出された漢字を毎日拾い上げて漢字練習をしない代わりにそれを塗って面白い用例文を書いてノートに貼付して提出していまし
学校の先生とは親が交渉済みなので、練習せず、塗り漢字を提出していました
教室の生徒の家庭でもその方式が多いと思われます
もしくは、学校には一切提出せず、家でノートに貼って保管し、時々私に見せてくれる程度の子もいます
学校では一気に10個くらいの漢字を習う(と、いうか、最近ではドリルの宿題を出すことで教えたことに変えているのがほとんど)ので、1日に10枚も塗ることになってしまいますが、毎日漢字が新しく出てくるわけではないので、子どもはせいぜい4枚(ノート見開き分)に抑えて分散させていたようです
私は家庭学習に関して我が子にはほとんど関与していないので、子どもが自分で考えてそういう風にしていました
(ただ、宿題はしない、代わりにどんぐりと塗り漢字をする。ということだけは決めていたので)
時には習う前の漢字を塗ることもあったかもしれません
でも、ほとんど習ったタイミングで「これは習ったから今週中に塗ろうっと」みたいな風に分けていたのを思い出します
 
最後に1点、気になったことは「めんどくさいな」という発言です
小学生が「めんどくさい」という言葉を使うようになったのはごく最近(ここ20年くらい)のことです
私は30年、仕事で小学生を見続けてきたので、それは私の体感でもはっきりとわかります
最近の子は「めんどくさい」というのは当たり前だし、大人達も子どもがそういうことを言うことになんの疑問も持たないと思います
でも、どんぐり的にも、私の体感でも、「めんどくさい」という子どもには何かしらの問題がある、というくらい、重くとらえています
「問題がある」なんて強い書き方をしてしまってごめんなさい
お子さんに問題がある、と言いたいわけではありません
子ども全体がいま、普通にそういうことを言う時代、お子さんが本気でめんどうくさがっているのかどうか実際にはわかりません
どんぐり問題を前に「めんどくさい」と言う場合、糸山先生は「重症」とまで言うことがあります
私も教室でどんぐりを解く子どもたちを長い間、たくさん見てきましたが、基本、「めんどくさい」と言ったらその日は終了、ということになっているので、誰も言いません
ところが、最近の子は遊びの中でもしょっちゅう「めんどくさい」と言うのです
私はその発言が気になる場合、親御さんに「他でエネルギーを浪費してるかも」とアドバイスして生活を見直してもらうようにしています
前述したように、子どもは、いくら最初は好きで始めたことでも、ずっと初心のまま楽しんでいることばかりではありません
いつの間にか、大人でいうストレスを抱えているようなことや、自分で考えて自発的に楽しんでいるのではなく、できあがったプログラムやルールで楽しませられている(受け身)ばかりで実は脳が疲れている、という場合もあります
 
塗り漢字もどんぐりも、低学年の子には遊びの一環のように演出します
高学年になると、自分にとって必要だ、という自覚が芽生えます
芽生えるよう導くのが大人の役目ですが、健全に成長すれば、自分で考える、ということを楽しめるようになっていきます
 
遊びとは、誰にも指図されず、自由にできることが前提なので、塗り漢字が習慣化すれば、ただ塗るだけ、ただ何回か目を閉じて頭の中で書いてから1回書く、ということだけでも、自分なりに楽しむようになっていきます
用例文でふざけまくって、あとで見返しては笑っている子もいます
数年前から「うんこドリル」とかいうのが流行していますが、誰かが作ってあげたのでは意味がないんです
放っておけば小学生男子なんか、塗り漢字でもみんなそういう類いの用例文を作ってゲラゲラ笑ってます(学校の先生には叱られるし直されるかもしれないけど、私はスルーなので…過剰反応するともっと喜んでどんどん下品になるので「レディの前でなんてことを!!」とわざと気取って言うくらいです(笑))
自分で作るから、友達と競っていかにくだらなくて御下劣な例文を作るから、馬鹿馬鹿しいけど思い出に残るんです
そしていつの間にか漢字を書くことが億劫ではなくなるんです
自分の好きな主人公を作って用例文をファンタジックに楽しむ子もいます
なぜか親御さんや私(さとちゃん)を主人公に用例文を書いては笑いを取ろうとする子も
 
軌道に乗るまで、
面倒がらず、楽しんで塗る、っていう習慣がつけられるまでは、何枚取り組むとか、全部取り組むとか、考えず、とにかく、一緒におもしろおかしく取り組んでみてはいかがでしょうか
 
お母さん(お父さん)はこの漢字の言葉でこういうの知ってるよ!って自慢げに他の紙に書き出してもいいかもしれません
この漢字はこういうときにも使うよね~これはなんて読むか~って文の前後にいろいろな言葉をつけ足してヒントにして見せてあてさせても面白いかもしれませんね
たとえば「開」であれば、「あれ~「聞く」にそっくり!」とか「ドアに「開閉」って書いてあって、「閉」ってあるけどなんだろう」とか、「中に何にもはいってない「門」っていうのもあるね~」とか
漢字ひとつでいつまでも遊べますよ
習った、習ってない、は関係なく、お父さんやお母さんと一緒に本や新聞から似た字や、その字が使われている熟語を探すだけでも楽しいです
私の子どもは低学年の頃から私が仕事で使っている辞書を勝手に使って、特に漢和辞典を開いてはお姫様や動物の絵を描いて難読漢字のキラキラネームをつけて遊ぶのが好きでした
もちろん習っていない漢字も使うし、できるだけ画数の多い字を探すので、私も知らないような字を駆使して楽しんでいました
そうすると、いつの間にか漢字の構造も頭にはいっていくようでした
一度も押しつけたり教えたりしたことはないのですが(辞書の引き方も)
 
嫌いにさせないこと
楽しく取り組めるように演出すること
最初は特に、その辺を意識してみてください
どんぐり問題も同じです
それが一番大事なことなので
 
長くなりましたが、
また、ご不明な点があればいつでも連絡してください
 
学ぶことは一生続きます
正直、漢字が書けるかどうかが人生に重要なのではありません
新しく習うこと、出会う物事に目を輝かせるかどうか、
そういう子どもに育っているかどうかが最も重要なんです

塗り漢字をご購入いただいた方からの質問に答えたメールを転載しました
画像は、塗り漢字を使ってくれている子どもたちの作品です