どんぐり倶楽部 糸山泰造先生の開発した記憶法
Image-fix法…IF法のサポート教材として、
どんぐり学舎からリリースした「塗り漢字
全国の仲間に手渡しするように広め始めて、
1ヶ月が経ちました
使ってみたよ!
と、写真を送っていただけるのは何よりの楽しみです
最初の写真も、リリース後いち早く注文してくださったどんぐらーさんから
長年、この小さな教室の中だけで使ってきた教材が、
遠くへ旅に出て、そこで新たな友達を見つけて幸せに過ごしているのを
無事の便りで知る気分です
本当にありがとうございます
このお子さんの塗り漢字はなんと挿絵付き
この格子の枠には何を書いてもいいのですが、
おもしろおかしい例文とか、イラストとか、
なんでもいいのでIF法のあとに書いておくと記憶の連鎖で印象に残るのと、
なにより、これを数年後にお子さん自身が見たときの気持ちを想像すると、わくわくしませんか

どうか、この教材とIF法を活用して、
お子さんにとって漢字を学ぶことが苦痛とならず、
楽しみとなるようにと祈っています

さて、今回は実際に塗り漢字を手にして、
使い始めた方などから寄せられた質問をいくつか整理してまとめて、
私なりに回答してみようと思います

ご自身の気持ちや疑問と重なるものがあれば参考に、
なければいつでもメールで質問してくださいね


Q 塗り漢字とIF法で覚えたはずが、すぐに忘れてしまうのですが!!!

A 大丈夫、忘れていません。

人間は、一度見たものを全て記憶しています
だから、お子さんが「忘れてしまった」と何かをきっかけに思ったとしても、
本当に「忘れて」しまったとは言い切れません
この場合、「忘れた」ではなく「思い出せない」が適切な言葉です
みなさん、少し勘違いなさっているのは、
漢字を何のために覚えるのか、ということです
みなさん自身が、どのように漢字を活用していますか?
もししんぶんやほんやこのブログがすべてひらがなでかかれていたら、
とてもよみづらいとおもうし、とてもじすうがおおいですよね
それに、かんじはひょういもじで、もじそのものがいみをもつので、
ぱっとみてぶんのがいようがわかるのもすばらしいてんです
つまり、漢字は、読めて、意味がわかることで何よりの利点が生きてきます
正確に書けることを求めるのは、「漢字テスト」のみで、
その「漢字テスト」が子どもの思考力や学力養成のために必要か、不要か、と問われれば、
それは、「不要」なのです
つまり、漢字を覚えることと思考力養成とはつながりがありません
思考力を健全に育てるには、子どもの情緒や好奇心、伸び伸びと考えて間違えて脳に豊かな経験をさせることが何より大事なのに、漢字を覚えさせるために単調な練習を強制したり、時々チェックして正確に書けないからと子どもを叱ったり追い詰めたりすることは、全くの逆効果であることは想像できると思うのです
そうです、そんなことをしたら、漢字を覚えることがきらいになってしまう、練習することも、テストを受けることも、全部まるごと、きらいになってしまいます
子どもは、きらいなことに熱心に取り組むことはできません
大人だってきらいなことを遂行するのにはかなりの努力を要します
自分自身をコントロールして、自分に言い聞かせ、なんとか乗り切るでしょう
子どもにもそんなことを求めますか
きらいでも頑張るのだよ!!と強いることが適切な伸ばし方でしょうか

これは、漢字以外でも、特に中学生のテスト対策でも同じなのですが、
テスト中にすることの主は「アウトプット」です
もし、テストでいい点数を取りたいなら、「インプット」だけをしていても一向に効果はありません
それよりも、「アウトプット」…いかに、制限時間内に、インプットした情報を引き出せて、しかも、直接的な質問でない場合にも答えられるような応用力が活かせるか…ここは思考力の出番ですが…そういう練習をする必要があります

IF法は、インプットしたイメージを再現する…アウトプットするという方法で一度も書かずに漢字等を覚える方法です
漢字練習帳に、インプットしてインプットしてインプットしても一向に漢字が書けるようにならないのは、アウトプットの練習をしていないからなのです

要は、「思い出す」練習をしさえすればテストでは点数の向上は見込めるでしょう
でも、テストの後に「思い出す」練習をやめてしまえば、また忘れてしまいます
人間は、刻一刻と忘れていく生き物です
「忘れる」のではなく、脳内の届かない場所へ古い記憶を追いやる…ということなのですが…
それを時々引っ張り出して、届くところへ整理して置き直すことが暗記科目の勉強法なのです
ただ、小学校の漢字テストにそこまで入れ込む必要性と理由はありますか?
どんなに練習しても、その日限りだとしたら?
それよりも、丁寧にインプットしていって、あとで取り出せるように整理する方がいいと思いませんか
目先の漢字テストの点数や、学校の先生からの指摘(漢字テストが悪いですよ、というような)に惑わされて、本当に大切なことを見過ごさないように気をつけてください
本当に大切な事とは、漢字を完璧に1度で覚えて、二度と忘れないようにいつでも書けるようにしておくことではなく、母国語のツールとして便利で有意義で誇らしい文字であることを知り、興味を絶やさないこと、好きでいることです
いくら多くの漢字を書けたとしても、意味を知らなければこうして正しく変換することもできません
これからますます漢字を「書く」機会は減りますが、正しく変換することはまだしばらく自分の頭脳で考えることなのでしょうね

Q 1日何枚まで塗っていいですか?

A 多くて2枚かなあ…

4枚もいっぺんに塗ったら、もったいないなあ、という気もします
現在、6年間で1026字、1年で最も多いのが4年生の202字です
1日4枚塗ったら、6年分を1年足らずで塗りおえてしまいます

学校で新しい漢字を習うと今は、「ドリル」とか「スキル」といったような書き込み式の問題集にまず書き込みをする宿題が出されるかと思います
コロナ休校があったので、特に漢字は家でひとりでやっておいてね、という類いの分野になってしまっているかと思います

……私は小学生の頃、新出漢字を先生が教えてくれる授業が何より好きでした
知っている熟語を子どもたちが前に出て黒板に書いたり、先生が漢字の由来を話してくださったり…わくわくしながら聞いていました
明日は漢字の授業だね、と放課後、友達とブランコをこぎながら熟語を言い合ったり、家に帰ってそれらを辞書で調べたりして備えるのも楽しみでした
生徒たちに聞くと、新出漢字の授業はほとんどなされていないようです…残念…

どんぐりっこの場合、宿題制限をしていると思うので、漢字の宿題は塗り漢字に差し替える届け出をしている人も多いです
新しい漢字を習ったら、その漢字を塗る、と決めておいてもいいし、未習既習問わず、教科書順通りにカルタで並べ終えておけば、上から順に、1日1枚塗っていけばいいと思います
まだ習ってないな~と思ったら、塗る前に、教科書のどこに出てきているのか、なんという熟語で出てきているのか、見ておけばいいのです
できるだけ、1日に塗る枚数は少ないといいと思います
多ければ多いほど、効果は薄まってしまう、と思っていてください

Q うちの子は漢字が嫌いなのですが、塗り漢字やIF法の効果はあるでしょうか?

A ないと思います!!

か…過激なことを書いてごめんなさい
でも、「うちの子、○○が嫌いなので」という言葉は、
私の嫌いな台詞ランキング上位にある言葉です
親が子どもの好き嫌いを全て把握しているのもよくわからないし、
それを明言するのもすごく…怖いなあ、と感じます
どんぐり学舎の保護者の中には、私にこのことを指摘されて、ショックを受けつつも、
直していった人が何人もいます
「うちの子、○○が苦手なので」「○○が嫌いなので」は、
子どもに強烈な暗示をかける黒魔術のような言葉です
「今日は○○で疲れているので」「調子が悪いみたいで」と子どもを送ってきて私に引き渡しながら言う親御さんにも何度も注意しました(もちろん子どもの前では注意しません)
そんな風に言われて引き渡された子どもは、それはそれは終始、元気がありませんよ
だって親に「今日は疲れているよ!」「今日は調子が悪いよ!」と暗示をかけられているのですから
だから、「漢字が嫌いなうちの子に効果的か?」と聞かれたら、
効果はないと思う!とはっきりと答えます
だって、漢字を嫌いにさせた原因も、ほとんど、保護者の周辺にころがっているからです
それなのに「うちの子、漢字が嫌い」ってまるで子どもの性質か何かみたいに、まるで自分は関係ないと言わんばかりに私に伝えてくるのは、その先も思いやられるからです

じゃあ、漢字が嫌いになってしまっている子はもう救いようがないのか?というとそんなこともありません
まず、嫌いになってしまったのは「覚えられない」「テストで点数がとれず怒られる(不満そうな顔をされる)」など、「評価される」ことに嫌気がさしている場合がほとんどなので、それらの要素を排除します
漢字テストに備えて練習させたり、塗り漢字さえも、親主導でさせたりするのは一切やめます
そしてもちろん、漢字テストが0点で返ってきても、スルーです
はい、わからん帳♪と、はさみと糊で作業しておしまいです
このとき、絶対に0点でも驚いたり、がっかりしたりしてはだめです
スルーです
へえ~なるほど~むにゃむにゃ…とごまかしてちょきちょきぺったんを一緒にして終わり
しばらくそんな風に続けてみてください
学校で何か言われるかもしれませんが、子どもが自分から「言われて嫌だった」ことを言ってこないうちは気にせず、先生から「ちょっと漢字が…」と言われても「うちは大丈夫です」とスルーです
結構大事なのはここです
学校で先生に何を言われようと、親が毅然とした態度なら、子どもは怖いものなしです
先生の言動に一喜一憂しすぎる子の場合は親子の信頼関係を見つめ直した方がいいかもしれません
そんなことにも気づけて、一石二鳥でしょ
はてさて、そんなこんなで、親が役者になりきることであとは時間が経つのを待ちましょう
そのうち、漢字が好きでも嫌いでもない状態になるでしょう
IF法を教えるのはそれからです

私がブランコで翌日の漢字の授業を友達と想像して「予習」したり、家に帰って辞書で調べたりしたのは、誰に言われたからでもありません
親は私が漢字練習をしているかどうか、漢字テストがあるのかどうか、何点だったのか、なんてことに一切興味を示さなかったし、それよりも、いくら100点を何回とっても、毎朝のトイレ掃除を手抜きすればすぐにばれてやり直しさせられるような…そんな親でしたから、勉強に関してはまるきり、当たり前ですが、セルフプロデュースだったわけです
だから、「次はとりたい!!!」と自分で思えば、前の日に必死に暗記してテストに臨むこともありました
もし子どもがそんな風に自分でしようとしたなら放っておけばいいんです
ただ、何度も言いますが、それを、追い詰めてやらせているのは違います
100点を取らなければ…という強迫観念では長続きしないし、記憶も留まりません
私が漢字を覚え続けていられるのは、「次はとりたい!!」と思い立った時に自分で編み出した記憶法や、様々に工夫した馬鹿げた方法のおかげかと思います
それのどれも、自分で考えてひとりで勝手にやったことなので、忘れないのです

…とまあ、細かい質問を3つにまとめてみましたが、
基本的な使い方についてはこちらの記事をよくお読みになってください

要するに、「短期記憶」のための塗り漢字、IF法ではないということ
テストのために漢字を覚えるのではないということ
嫌いにさせてしまったのは大人の責任であること
それを払拭できるのも、大人であるということ
まだ間に合いますよ
大丈夫です

塗り漢字が必要な方は、オリジナル教材のページをお読みになり、
問い合わせフォームから連絡をください
海外からですと、フォームからの連絡ができない場合があるようです
その場合は、メールアドレスに直接送ってください
donguri-gakusyaあっとまーくnifty.com

最後に、
Arteriosclerosis


これはなんという意味ですか?
日常英会話ができるレベルの人なら、
わかるのでしょうか…
ちなみに私はどう発音したらよいかもわかりません…
これを漢字で書くと、
「動脈硬化症」
と言います

血管のひとつ、動脈が、硬化、つまり硬くなってしまう病気のことです
漢字なら、初見でもだいたいの意味がわかりますよね
これが、漢字のすごさです