中学生&保護者のみなさんへ
新しいシリーズです
いま、インターネット上ではわかりやすい授業が無料で配信されています
独学で勉強をすすめたい中高生には大変恵まれた環境が整ってきています
もし、「わかりやすい動画授業」を見るだけで「学力」がつくなら、そんなに簡単なことはないですね
それは、たとえば「これを見れば痩せる」という動画を見て本当に痩せると思うことや、
「これさえ知っていればお金持ちになれる」という本を読んで本当にお金持ちになれる日を待っていることと同じです
見るだけで自分では何もしなければ、学力がつくことはないし、理解が深まり、定着することはありません
わかりやすい動画解説などを見たら、ぜひ、自分なりに「再現」してみることを推奨します
それができれば本当に、自分の力にすることができるでしょう
「再現」の仕方には色々ありますが、私が推奨しているのは「ノートに書き起こすこと」です
その他、自分で同じように解説をしてみる(録音してみたり、動画を撮ってみたりしてもいいかもしれません)など、今ドキの機材を駆使してみても面白いかもしれません
私の教室(中学生向け=D→K Room)では、わからなかった問題やテストでミスした問題、また、私に質問した後の解説などは必ずノートに記録する約束になっています
その約束を守り、1年生から3年間しっかりとノートを作った子はかなりの実力をつけ、しかも、その後一生使える独学力を身につけて卒業していきます
これは、どんぐり倶楽部の糸山泰造先生がいくつもの著書で教えてくださっている「わからん帳」の手法で、私の教室では「Qノート」と呼んでいます
わからん帳(=Qノート)は、小学生の間は算数のテストの全てのミスと、国語の漢字のテストミスを貼付するだけですぐに解き直しをする必要はありません
長期休み期間や、6年生になってから、初めて解き直しをして中学生になるまでに小学校時代の自分のミスを解消しておきます
中学生からのわからん帳は、ミスや質問を貼付したら、解答・解説を同時に貼付し、必ずすぐに解き直しをします
その上で、どこまで解けて、どこからわからないのか、自分で発見し、そこを質問に出すのです
ノートを「先生」に渡して、解説を書いてもらう、それが質問の出し方です
「先生」は学校の先生でも、塾の先生でも構いません
質問のページをわかりやすく明記し「解説をお願いします」と言って手渡してみましょう
おそらく、多くの先生は、口頭で質問されるよりも解説がしやすいと思うはずです
忙しくて書けない、そういう質問は受け付けない、と拒まれたら、別の提出先を探しましょう
私も通信添削でQノートの解説を書いていますので、近くに誰もいなかったら利用してください
質問に答えてもらえるよう、工夫するのも、質問できる相手を探すのも、実力のうちです
どうか、自分で試行錯誤して質問力を磨いてください

さて、このブログではこれから時々、私がDKの生徒たちに解説したことを記録していこうかな、と考えています
それが新しいシリーズ for DKです
これまではこのホームページの塾生限定ページで公開していましたが、徐々に誰でも見ることができるここへ移していこうと思っています

実際には、私の小さな教室で、DKの生徒たちと対話しながら解説しています
または、授業中に解説しきれなかったことを家の中の様々な道具を駆使して写真に撮ったり動画を撮ったりしながらあの手この手で解説を加えて、それをアップすることもあると思います

そんなDKの生徒たちと私との授業を、ここで少しだけ、お見せできたら、と思い、新シリーズを作ってみることにします
《for DK 中学生のための解説》というカテゴリーも作ったので、時々覗いて、見てみたいページが新規投稿されていたら、見てみてください

今回は
【地理】東京から真東ってどこ?

という、DK1(1年生)から出た質問に対し、私が授業中にあれこれ解説したものの、なんとなく納得させてあげられなかった気がして、その翌日スーパーでグレープフルーツを買ってきてあれやこれややってみたことを解説の加筆として書いてみようと思います

「東京から」というのは、すごく広い視野で見て、地球上の、日本の上に今、立っている前提で考えています
実際にそういう問題がテストで出題されたことからこの話題が始まりました
まあ、「日本から」でも「群馬から」でもこの場合は同じ意味だと思って読んでください

実際のテストの問題はこうでした
「東京から真東に進んだとき、最初に到達する大陸はどこですか」
正解は
「南アメリカ大陸」です

でも、よく見る地図では、こうなっています

えーと、確か、地図では上が北で、下が南、右が東で左が西だから…
日本からずーっと右へ向かうと…
北アメリカ大陸ではっ!?

ここが疑問の始まりでした
うんうん、いい疑問だ!
そこで、よく勉強している子や、教科書で見つけた子がいいます
いや、方位が正しいのはこっちの地図だよ

おー!よく知っていましたね
これは「正距方位図法」、文字通り、距離と方位が正しく表されている世界地図です
なんだか変な形で、南アメリカ大陸がびよよよーーんってなってしまっているけど、これで、真ん中に書いてある日本から東=右につーーっとたどっていくと、ほら、ちゃんと南アメリカ大陸に到達します

だから、「日本の真東に位置するのは南アメリカ大陸である」と断言できます

じゃあ、上の四角い地図(=メルカトル図法と言います)で右に進んでも、それは東に進んでいるとは言えないの?
言えないんです

この疑問は、3週間くらいにわたって、DKの中で流行しました
私は地球柄のビーチボールを買ってきて、1つは「経線に沿って」切り刻んでしまいました

切り刻んだ地球を小学生が新聞紙を丸めたところに貼り付けて地球に戻してくれたり、またばらしたり、そんなことを3週間くらい繰り返していました

私はもうひとつ地球柄のビーチボールを買い足して、それは切らずにぶら下げてあります
よく見ると、四角い地図、メルカトル図法の「緯線(横線)」と「経線(縦線)」はどこも垂直(90度)に交わっていますが、丸いままの地球(ボール)を見ると、垂直に交わってはいません
切り刻んだ地球の1枚1枚を見ても、緯線と経線は上下(北極のほうと、南極のほう)に近づくほど狭まっていて、交わる角度は一定ではなさそうです
なんでこんな風に、地球を平面にすると形がおかしくなってしまうのか、というと、それは、地球が球体だから、平面に描いてある2Dではなく、立体の3Dだからですね
3Dの世界を2Dにしようとしたら、出っ張っているところや、凹んでいるところを、影をつけたり、曲線を描いたりして工夫してそれらしく見せようとしますよね
全ての地図は、もともと3Dのものを無理矢理2Dにしているので、どうしても、完全に全ての条件を正しく表すことができない、だから、メルカトル図法のように、四角くて、ぱっと見世界が全部見渡せてわかりやすい一方、面積や方位が実際とはだいぶ違ってしまっていたり、また、方位や距離を正しく表そうとすれば正距方位図法のように、とてもじゃないけど形が変形しすぎて見やすくない地図になってしまうのです
だからまあ、地球儀がもっとも本物の地球に近い地図といえばそうなのですが、通学鞄にいれて持ち運ぶには不便ですよね

そんなわけで、「東京の真東は南アメリカ大陸」ということをホワイトボードに描いたり、ビーチボールをぐるぐる回したりして説明したのですが、最後にこのページで写真を使って説明しようと思います

ここにグレープフルーツがあります
私の好物です

北極と南極に青いシールを貼りました

赤道に細長いシールを貼りました
赤いシールがなかったので、水色のシールを色鉛筆で少し赤くしました(←びんぼう…)
さて、このグレフル地球上で、日本を示します

まあ、だいたい北緯40度くらいとして、北半球のこの辺りに日本があるとしましょう
北緯という言葉がわからない人は調べるか、質問ノートを作るかしてみよう
よくわかんないけど、ま、いっか…っていうのが、一番「力がつかない」手本です
ちょっとでもひっかかったら、素通りしない習慣をつけよう
さて、
この日本を通る「経線」がこれです

「経線」は簡単です
「北極」と「南極」をつなげばいいのです
迷わず、この線は引けると思いますよ
その次、いよいよ「真東」の線を引きます

みなさんがなぜ「東は右だ」と思うか、っていうと、それはスケールの問題です
普段見慣れている縮尺の地図、カーナビ、町内、市内、県内の地図など、まあ、なんなら日本地図でもまあ、「東は右」で通用します
要するに、地球のサイズと比較して、「そこは3Dを2Dにしたってほどでもない」からです
つまり、地球のまるさをなんとか修正して地図にしたっていうほどのスケールではないのです
いま、窓の外を見て、自分が「丸い地球の上にいるなあ」って目視できる人はあまりいないと思います
目の前に水平線か地平線がぶわーーーっと広がっているところに住んでいる方には、少しは実感できるのかもしれませんが、私たち、どう見ても真っ平らなところに住んでいると見えますよね
私の教室で、みんなで何度か登った群馬県内のある山の山頂からは、東京スカイツリーや富士山が見えることがあります
もし、地球の「球」っぷりがもっと身近だったら、群馬から東京なんて見えないかもしれなけど、そんなもんじゃないんです、地球のスケールは群馬から東京なんて、まだまだ「まったいら」に見える、近場の地図ではその程度なんです
だから、すぐそこらへんまでの地点に関して言えば「東は右」と認識していてもそうそうずれはしません
だから、グレフル地球の日本の上にも、経線に垂直に交わるように線を引いてみましょう
さっき貼った経線では、もちろん「上」が北で、「下」が南です

ね、こうすれば、確かに「右が東」とこの地点だけ見れば、言えますよね
それでは、そのまま、このテープをぐるっと一周、グレフル地球の裏側まで回していきます
このときの注意事項としては、この日本の上の経線に垂直に交わることで始まったこの線の軌道は、赤道と同じ距離で地球を回ってくる、つまり、球の最も大きな円周をまわる、ということです
ショートカットはしませんよ
ぐるっと一周

ほら、ぐるっと一周、赤道と変な角度で交わったけど気にしません
ぐるっと一周すると、日本に戻ってきます

これが、「日本から真東に地球を一周した線」となります
だから、
テストの問題にあった「東京から真東に進んだとき、最初に到達する大陸はどこですか」という質問には、この軌道で最初に到達する「南アメリカ」を書けば正解なのです
「真西」なら反対方向ですね
この手順を覚えておいてください
そうすると、この質問でもうひとつ、別のことを考えるきっかけが生じます
「東京から真東を常に目指すように軌道修正しながら進んでいくとき、最初に到達する大陸はどこですか」と質問されたらどうでしょう
これは、同じグレフルで日本とは違う地点から同じ作業をして「真東へ」の線を引いてみればすぐにわかります
わかりますか?
ちょっと女子力高めのマステでわかりづらくてごめんなさいよ
さっきの日本とは少しずれた位置からまず南北の経線を引き、そこに垂直に交わる「東西」の線を引いてみました

わかりますか?
さっきの「日本から真東」の線とずれていて、すでに、「真東」の方向が変わっていますよね

つまり、地球上を動くとき、「北」と「南」は常に同じ方向にあるのですが、
「東」と「西」はどの地点に立つかによって、その都度違った方向を指す、ということがわかります
だって、「東極」と「西極」はないのですからね
北極と南極をつないだ軸で地球はぐるぐる回っています(自転)から、それは当然といえば当然なのです

以上、「東京から真東」についての謎、
DK1のみなさん、解けましたか?

さて、なんでグレープフルーツを使ったかというと、
切ってみようかな、って思ったからなんですけど、切る必要はありませんでしたね
要するに、「その地点で東西に延びる線を引く」とき、グレープフルーツやスイカを半分に切る時みたいに、一番ふといところでばさっとカットするわけなのよ、って説明を授業中にしたので、実際に切ってみようかしら、と思っただけなのでした
切らなくても、伝わったかな?

さ、それじゃ、このグレープフルーツは、このあと美味しく頂こうと思います
ごちそうさま!
…じゃなくて、おつかれさま!

for DK【地理】東京の真東ってどこ?    D→K Room Izumi Satoko