「ああ、あの宿題やらないっていう、あれね」

ひょんなことから「どんぐり」が話題になり、
最初に出てきたのがこの言葉で、膝がカクンってなりました

いやいやいやいや、どんな風に広まっているんでしょう、「どんぐり」
はてさて、それでもこの季節は、全国のあちこちで、どんぐらーさんはもちろん、どんぐりとは無縁の方々も、「あの先生、宿題多いらしいわよ」「宿題ほとんど出さない先生らしいの、どうしましょ」とかなんとか、新しい担任の先生についての噂話で盛り上がっている頃でしょう

もう、リンクも貼りきれないほど宿題についての体験談、交渉例、手紙の例など、私だけでなく、千葉の金森先生とかみなさん、惜しげなく紹介しているので、まずはぜひ、子どもに宿題をさせるかどうかよりも親が勉強するところからスタートしてください

そして、今回、私は、宿題交渉についての相談に対して自分が書いたメールの文面を1部改訂して公開することにします

今朝も、夫と話していました
新聞を広げ、コーヒーを飲みながら夫は私の話を聞いてくれました

またこの季節がやってきたよ…と私が、各地の「先生たち」が親たちに何を強いているのか、子どもたちに何をさせようとしているのか、話していると「馬鹿馬鹿しい」と一蹴していました

なんで家庭内のことまで管理されなくちゃならないんだ
「みんなと同じこと」?
学校の中だけで充分やってんだろ

それにつきると思います
全国のお父さん、お母さん1人に交渉を任せず、一緒に考えてみてください

みなさんの時代は、宿題をちゃんとするのが当たり前でしたか?
それはどんな宿題で、やっていかないとどんなことになりましたか?
 
今や、「個別最適化」といって、教室はICT化されようとしています
それなのに、子どもたちは、今も、漢字練習、計算ドリル、音読、という三点セットを毎日強いられています
 
私は30年近く小中学生の勉強を見てきましたが、漢字練習をたくさんした方が漢字が書けて使えるようになる、という式は存在しません
計算が速い子が中学以降の数学を得意とする子になるという相関もありません
そして、
学校の中だけでなく、家に帰ってからも「みんなと同じことをする」ことを、強いる権利は学校にあるとは思えません
 
そして、先生たちも本当は知っているはず
宿題が、学力向上の役に立つわけではない
ただただ、上からの命令をきき、足並みを揃えることを目的としているのだということに、
気づいているはず
自分たちもそうしているから
子どもたちにさせて当然だと
思い込んでいるだけだということに、気づいている先生もいるはずです

本当に頭の良い先生たちが、自分の頭と心で考えて行動に移せる先生たちが、本物の教育者として立ち上がってくれるのを、ずっと待っているのですが、待っている間にも、子どもたちが能力を奪われ、親子関係が傷つけられるのを、どうしても防がねばなりません
 
以下、メールから引用です
 
宿題交渉についてですが、Aさんの抱く違和感は全くその通りで、現代の教育の最もよくないところが、先生方に浸透しすぎて麻痺してしまっている悪い例を目の当たりにしているんですね
 
みんな一緒じゃないと
公平じゃないと
同じ宿題で、同じ習熟度でないと
 
「本人が困る」が常套句ですね
 
先生たちは、本当はわかっているんですよ
同じ授業をして同じように問題を解かせたって、
同じ宿題を出して、同じところまでこなすよう厳しく指導したって、
習熟度は子どもによって違うこと
そして、よくできている子には、反復の宿題が不要で、
よくできない、わからない子には、苦痛でしかないことも
 
でも、上から命じられているんです
先生たちも
サラリーマンと同じで、会社の命令には逆らえないんです
 
その、習熟度による進度の差、理解度の差などを解消するため、というこれまたよさそうな言葉をひっさげて、学校のICT化が進められています
できる子はどんどん先へ、ゆっくりな子は何度も繰り返して戻れるように、ということをしたいようですが、機械を使ってどこまで何をしようというんでしょうね
もう、半笑いで見ているんですけど…
でも、何かせずにはいられないんでしょうね
学力はどんどん低下しているし、大学生の学力も相当低くなっていて、社会人になっても常識的なことも知らず、基礎知識も、自分で考える力もついていない人間がどんどん増えてきている、だから、なんとかしなくては…と
宿題や定期テストを廃止した校長先生が公立中に出現しましたが、あっという間に私立に異動してしまいました
 
要するに、国がそんな状態なんですから、末端の末端の現場の先生たちなんて、振り回されているだけなんです
だから、逆に、言っていいんですよ
「家庭の方針なので」とはっきりと
専門家であろうとなかろうと、これは、権利です
子育ての責任者は親なんです
子どもの学力について、先生がどこまで責任をとってくれるんでしょうか
一切とりません
中学校への引き継ぎもしないんです
中学生になったら…なんて考えてもくれないし、中学校の先生は小学校で何をしてきたか、よく知らないんですよ
 
学校にいる間は、先生の指導に従います
でも、家庭での学習は家庭が管理します
その結果、習熟に遅れをとるようなことがあっても、一切、先生の責任は問いません
家庭が責任を負います
と、言っていいんです
 
勉強をさせたくないのではありません
勉強を嫌いにさせたくないからです
と、説明すると、先生方は苦笑しますよ
ペナルティで漢字練習を増やすような昭和チックな先生がまだ存在します
今日は宿題はなし!と宣言すると教室がどっと湧くのも経験済みでしょう
宿題が、子どもたちや、親子関係を壊している可能性があることを、
先生たちは知っているのです
 
だから、堂々と言っていいんです
 
それでも、「他の子になんて説明すればいいんですか」と食い下がってくる教師もいます
そうしたら「○○くんは、親御さんが決めた勉強をしているので宿題はしません」と大きな声で言ってくださって構いません、と言います
 
それから、宿題チェック係など、子どもに宿題をチェックさせる怠慢な教師もまだいますが、それについても「おかしい。いじめの原因になる」とはっきりと言ってしまって大丈夫です
実際、それでいじめられた子がいます
なぜ、先生が出した宿題のチェックを、子どもがするのか?逆に質問してみると、答えられない先生がほとんどです
自分が面倒だからです
自分でチェックもしないのに、宿題を出すなんて、おかしいですよね
 
そして、どんな宿題ならやってもいいのか、については、
次の授業につながる、意味のある内容のものです
 
私の経験では、そういう宿題はほとんど見たことがありません
判断できないなら、一切しない、と決めておくのが一番です
どんぐり以外、ホントに必要ないので
 
反復・スピード・パターン学習のものは一切なしです
じっくり考えるとか、じっくり調べるとか、そういう内容なら、ありかもしれませんが、私の場合、面倒なので一切なし、と最初にとりきめて、夏休みの宿題などもポスターくらいしかしませんでした
 
親が迷うと、子どもも迷うんですよね
迷いがないよう、しないと決めたらしないのが一番です
 
これは…いいかも…これはダメかも…うう~ん
なんて毎日するの、大変だし、子どもだって戸惑いますよね
 
のべ12人の担任のうち、ひとりだけ、1年間先生の出した宿題をしたことがあります
その先生は、宿題の意味がないことをわかっていて、でも、出さない訳にはいかない大人の事情として、手作りのプリントの宿題を出してくれていました
クイズや、点つなぎ、簡単なその日の授業の計算を1つ、漢字は、先生のちょっと下手な字で手本が書いてあって、1回か、1行か、1ページか、100ページ、好きな分量を選んで練習すること、と書いてありました
あとは、似顔絵を描くとか、なんか、お絵かきコーナーがあって…
長女、2年生の時でしたが、3年生になっても、その先生のクラスに宿題をもらいに行っていたくらい、大好きなプリントでした
そんな先生、絶滅危惧種でしょう
今年定年退職なさいました
 
その先生の宿題以外は、全て、交渉して、免除、または、気難しい先生のとき、マシーンをしたこともあります
わざと間違えた字で漢字練習をしてみましたが、一切気づかれず、花丸でした
書いたのは私で、意図的ですが、もし子どもだったら、間違えた字で練習しているのを指摘もしない、正しもしないなんて、何のための宿題か、本当に意味がわかりませんでした
 
 
そう考えると、学校ってなんのための、誰のためのものなんでしょうね、本当に
 
私の周辺の子どもたちも、学校が楽しくて、毎日行きたい!って元気に言う子の方が少ないし、私の娘だって仕方なく通っていたような感じです
 
冷静に考えると、子どものために学校ってあるはずなのに、おかしなことですよね…
 
学校に行くことで、子どもがストレスを抱え、家で荒れる、なんて、おかしいです
でも、そういう子が本当に多いです
どんぐり学舎も、放課後集まってくる場所なので、最初の数分は、もう、ひどく荒れている子がいます
年度末はひどかったです
普段使わない言葉を吐き出したり、年下の子をいじめたり、あーあ、どうしちゃったんだろうね、っていう感じの子がいました
私は、「その言葉はなし」とか「その言い方は禁止」とか、感情を込めずに毅然とした言い方で注意するだけです
言ってしまった本人は、自分がいけないことはわかっているので、そう言われて我に返る感じです
すぐに直しはしないんですけどね
感情は荒れて、高ぶっているままですから
 
でも、帰る頃には、優しい顔に戻っているんです
 
学校の影響は大きいなあ…と思わざるを得ない現象なんです
 
さて、
宿題交渉について、高学年になったら特に、本人になぜそうするのか、理解させる必要があります
宿題とは、先生や学校の都合で全員に出されているものであり、個別に家庭でさせたい勉強があれば本来それを選択してもいいことになっている
たとえば漢字をたくさん書くのではなく、1回だけ丁寧に書く、という方式を、家庭で希望すればそのようにしていいことに、本来はなっている、ということを、きちんと説明した上で、ウチではこうやっていくので、それを先生には親が伝えます
君は堂々としていればいい、と
 
言葉のチョイス、説明の仕方はお子さんに合わせてアレンジしてください
 
いろいろ、挙げやすい例を出しますと、たとえば、東京都内の私立中学を受験する小学生たちは、学校の宿題を免除されている子が多いです
塾の宿題がありますし、小学校の宿題が受験には役立ちませんから、それは暗黙の了解になっているようです
どんぐりとは無関係ですが、宿題交渉が成立する一例です
 
それから、私の教室の生徒たち(Bくんにとっては仲間たちなんです)はもちろん、全員、宿題はしていません
私の娘たちもでした
 
それから、これは、親御さんへの実例ですが、宿題によって、毎日家庭内バトルを繰り広げることを先生に伝えて、免除してもらっている人もいました
泣かせてまでやらせていた、でも、それってどうなの?ってどんぐりを知る前に感じた、訳がわからなくて、ググった、そしたらどんぐりに到達した、ああ、やっぱりやりたくないのにやらせても意味がないんだ、とわかった、と
 
他の通信生の例ですと、先生との交渉が煩わしく、理解してくれそうにない先生だったので、うちの子は、宿題、と聞くだけでパニックになり、家庭内で荒れてしまいます、医師からも家庭内では宿題のようなものを避けるように言われました、と「医師」という言葉を出して免除にこぎ着けた人もいます
その親はご自身も医師だったので、その言葉の強みを利用したのです
 
ほか、ある教え子の親御さんは、口下手で、交渉とかほんと無理、でも、宿題をやらせない、ということを守る、といって、子どもには「どんぐりルールだから宿題はしない」と約束させ、(学童に行っていましたが、学童の指導員にも伝えてあり)家では本当になんの家庭学習もさせないことを徹底していました
どんぐり学舎でどんぐりを解く他は、何にもさせず
学校の先生に交渉もしないので、子どもは「宿題忘れ」として毎日学校で注意されていました
でも、その子のメンタルはかなり強くて、先生は叱るけど、親や、サトちゃんはしなくていい、って言っているんだから、自分は間違ってない、とへいっちゃらでした
その場では「はーい」とかなんとか適当に言って、困り果てた担任が親に電話をしてきたとき、親は、チャンスとばかりに「うちは忙しくて宿題をする暇がありません!」とだけ言ったそうです
それ以来、宿題をしていかなくても、叱られなくなり、その子はますます気楽になりました
中学3年間も私の教室に週に1回来て勉強する他は、あまり勉強しない子でしたが、学業成績はトップで、しかも、あるスポーツが得意で県外の強豪校へ特待生として進学しました
今は、体が動くから、そっちにする、と
勉強は年をとってもできるから、とトップ校に行ける成績なのに、受験もしませんでした
それに、もし怪我をしてスポーツができなくなり、勉強をいちからやりなおすとしたら、オレは農業を勉強して農家になるんだ、って生き生きと話していました
宿題をせず暇なので、家の庭の片隅で野菜や花を育てるのが好きになったようでした
親御さんが、私が「やりたいようにさせて」って言ったのを素直に受け止めてくださり、本当に家で好きなことをさせた結果、農業にまで興味を持って、幅の広い将来を思い描く子になったと…
 
と、まあ、それぞれ色々な手段で、子どもを守るため、頑張っている実例でした
 
参考になればよいのですが
 
それから、学校との交渉は、悔しいけどご両親揃っていくと効果絶大です
「お母さん」ひとりだと、100%舐められます
女性として、悔しいけど、それは事実です
 
だから、塾生の保護者には、学校との話し合いには、できるだけ、両親揃って学校に出向くように言っています
実際、多くの家庭がそうしています
お父さんが登場すると、学校は慌てふためきます
お母さんひとりが行ってもなかなか粗雑な対応をするのですが、お父さんが一緒だと応接室に通される勢いです
日本社会の悪い面ですが、逆に利用しちゃえばいいんです
ああ、この家庭は両親揃って方針を伝えに来た、と覚悟させればいいんです
 
糸山先生や金森先生は、「お父さん」なので、交渉はスムースにいったようですが、
私は「お母さん」なので、時には夫を活用しました
態度が全然違いますよ、悔しいですけど
 
子どもは、親がそこまで堂々とすると、安心するようです
学校より親の方が強い、という認識でしょうか、怖い物が減るようです
 
そうそう、子ども同士の宿題に関するあれこれも、
お父さんとお母さんが決めた勉強を宿題の代わりにすることになっている」で片付けている塾生は多いです
そうすると、「お母さんの決めた宿題なんかやだー!そんならオレは学校のやつをやるよ、おまえも大変だな」なんて同情される子もいました(笑)
 
前回のメールで、学校より親が強い方がいい、というようなことを書きました
以前の学校はそんな風に思う必要はありませんでした
学校の先生は教育者で、親に対しても指導できるようなプロフェッショナルがいました
でも、長年見てきて、そういう先生はどんどん減っていて、学校の先生を組織する本体そのものが揺らいで、迷っていて、しかも、各家庭は個別化してきていて、そもそも一斉になにかをする、ということ自体、もっと工夫しないと時代にそぐわないんです
もちろん、時代が変わっても子どもは変わりません
集団生活をある時期経験することは、子どもにとって必要なことだと私は変わらず思っています
集団生活を有意義に体験させるためには、導く大人の度量が必要なのに、先生たちはそんな手法も知らず、自分自身で経験もなく、ただただ、規則を守らせ、力で威圧して、子どもたちを平定しようとしてしまっています
先生たち自身、そうするように教えられてきて、規則で縛られているからです
 
それぞれの思いや、行動の意味を知ろうとも、耳を傾けようともせず、とにかく言うことを聞かせようとする(余裕がないからですね)
それでは、子どもたちはどんどん離れていきますよね
私は、個別最適化が一番いいとは思っていません
集団授業でないとできないことがあるのに、といつも学校の先生を羨ましく思います
勉強はひとりでもできるものです
だから、私は中学生の独学支援室も開いています
でも、仲間がいるからできること、仲間と試行錯誤しながら成長すること、時には喧嘩もして、議論もして、そんな中でなにかを作り上げていくこと、これだけは、集団生活の中でないと経験できないし、大人になれば、大なり小なり、みな、集団生活の中でバランスをとって生きていくことになるのです
 
Bくんが、学校を出てからの(方が長い)人生を生き生きと生き抜いていくために、いま、学校に傷つけられ押しつぶされるわけにはいかないんです
 
学校で何をされているかまでは把握仕切れませんが、せめて、家庭内のことは家庭にまかせていただきたい、ということを毅然とした態度と笑顔で、宣言してきてください
そして、それを原因として子どもが傷つけられたり、差別されたりするようなことがないようにお願いしてもいいんです
 
大事なのは、笑顔です
「きっとわかってくれる」と信じて、友好的な交渉ができますように