こあたんのイラストで、「頻度を表す副詞」の話をDK2としていました
DK1が、英語を勉強し始めて2ヶ月目に突入、
6年生まで、がっつり日本語力を強化してきた(…って普通に、日本語を大切にして暮らしてきた)ので、みんな英語に興味津々
だから、「often」なんていう言葉にひっかかる
「しばしば」って何!?っていう日本語についての疑問が飛び出すわけです
そこで、こあたんのこのイラストを見せるのです

DK2とはさらに深い話になっていきます
「数学みたいに、パッと数式みたいに、全部の日本語が英語にきちんと変わるわけじゃないんだよね」
「日本語にはない英語表現があるし、英語にはない表現がある」
「それをどうやって相手に伝えるかは、語彙力だと思うんだよ」

そこでこのイラストも見せます

「いや、こりゃ、外国の人が日本語を使いこなすのって大変だよね」って話に

「ヤバい」って言ったら、
このどれの意味もあるわけだから…
…BeautifulとかDeliciousとか…ほんと、この使い方もヤバいけど…
そもそもやばいの語源が、
江戸時代の矢場で売春が行われていたこと(役人に見つかると困る)からという説あり、とかは、
まだちょっと話題にしていないのですが…
そこから「おいしい」まで辿り着くんだから、言葉ってほんとに…
話がそれました

先週、kennelの話をしたばかりでした

とっても真面目で、地頭のいいDK2たち
全部、計算通りにはいかないんだよ、ってことや、いつも完璧じゃなくていいんだよ、ってことを、いろいろな方法で伝えています
生徒たちは雑談だと思っているだろうけど、私は真剣に、雑談で彼らの脳を刺激しているつもりです

「犬小屋って英語でなんて言うと思う?」
DKで何度も話してるネタです
最初は、子どもの頃の食卓で、父が教えてくれた話です
そう、その時も辞書を持ってきて私は調べました
私がドッグハウス?と言ったら、父が、「それ以外にもあるんだよ」と言うので

その日、生徒たちも「doghouse?」と言いました
うんうん、来た来た、そう、それでもちろん通じるよ
でも、もう一個、面白い英単語があるの
犬小屋って、犬が何するところ?
寝るところ
そう、犬、寝る
犬を音読みして
「けん、ねる」
そう、辞書ひいてごらん
「うそだ~」
半笑いで辞書を引く生徒たち
「ken…nel…あーー!!!ホントだ!」

まあ、そこから、I get off.は揚げ豆腐だとか, Eat a dirty mouse.は「いただきます」だとか、
どーでもいいような話になっていったのですが…

昨日は、私が「羨ましい」ってどんな気持ち?って話題を振ったことから始まりました
20年以上前、英語遣いの海外の方と、この話になって、とても興味深かったのを思い出したのです

その時、「英語には、”うらやましい” という言葉がないらしい」という話題になりました
この、感情を表す言葉って、訳すのが本当に大変ですね
じゃあ、そもそも、「羨ましい」ってどんな気持ちの時に使うのか?と
昨日、生徒たちと話したのです

日本語で説明してみて、というと、
ある子は「相手のことと自分のこととを比較して、なんか、相手の方がいいな、って思うこと」
と言いました
また別の子は、「ちょっと、相手がずるいっていうか、いいな~って妬ましいっていうか、そんな気持ちが含まれることもある気がする」と言いました

そうだね、確かに、そういうニュアンスが含まれることもあるよね

その時、私はホワイトボードに「羨ましい」という漢字と、「envy」という英単語を書きました

遙か昔、ブラピの『セブン』という映画を見たときに、知った英単語「envy」
辞書を引いたり、即席翻訳を試したりすると「羨ましい」と出てきます
でも、私には、『セブン』の影響か、「羨ましい」よりも「妬ましい」のニュアンスが強く感じられます
私は英語ネイティブでも英語が得意なわけでも英語の専門家でもないのでただの素人直感です
あー、でもその後、GUCCIがenvyって香水を出して、なんとなくイメージが変わったかなあ…
なぬ?envyですと!?と広告を読んでみると、「みんなの羨望の的」みたいなイメージだとか…

とにかくこんな余計なことばっかり考えているだけなのですが、
生徒たちとの雑談のネタならつきません

そして、生徒たちが帰ってから思い出したのがjealous
うーん…でも、こっちの方がもっと「羨望」とは遠い気がするなあ…
と、飽きもせずに書斎に戻って辞書を引く


※KENKYUSYA’S ENGLISH-JAPANESE DICTIONARY FOR THE GENERAL READERより

(これは昔友人が教えてくれた翻訳者さんが使う辞書
辞書好きな私が一番好きな英和辞典で、書斎と教室に1冊ずつ置いてます)

ほらね…どっちもなんか違う…
でも、この時点で気づいたのです
ああ、そもそも、「羨ましい」って自分が使う時の意味合いが、
人それぞれ違っているんだ
って

たとえばスラリと美しい人を見て「羨ましい」って思う
「あんな風に美しく生まれたかったなあ」ってうっとり見ちゃう
そこに、妬みそねみはないし、悔しさもない
でも、
言い方、感じ方…その時によって、その相手によって、その場面によって違うんだ…
そして、発する人の性格によってもね

授業後、1時間以上、そんなことを考え続けていました

授業時間に巻き戻します
だから、いっぱい語彙があればいいんだよ、と話しました
日本語でも、英語でも、一言で伝えられなかったら、自分の知っている言葉で説明したらいい
単語ひとつでインスタントに伝わることはないかもしれない
自分の気持ちや、考え方、説明したいことをできるだけ相手に伝えるために必要なのは、
語彙力なんだよね、って

同じことを、いろんな言葉を使って表せたらいいんだよ、って
kennnelを知らなくたって、dog のhouseだって言えれば通じるでしょ、って
なんなら、入試の英作文だってそれでいいんだよ
難しい単語を並べなくてもいい、自分の知っている単語で書けばいい
知ってる単語が多ければ多いほど、いろんなことが書けるよね

だから日本語でも英語でも、自分が使える言葉をいっぱい増やすこと、それが語彙力を増やす、強化すると言うことだから、そして、それを声に出して言ってみること、誰かと話すことがとても大事なことなんだよ、と締めくくったのでした

さとちゃん今日も雑談してたなあ、って生徒たちは思ったかもしれません
でも、さとちゃん渾身の雑談なのでした

思えば、子どもの頃の食卓で、私の語彙力は知らずに鍛えられていたのかもしれません
父も、そんなつもりはなかったのでしょうけれど、思いがけず

さて、もうひとつ、英英辞典を引いてみたら、あれあれ、英語でもこの違いは特別な囲み項目になっていました


(LONGMAN Active Study Dictionary)
Word Choice: jealous or envious?
Both these words are used about wishing that you had something that someone else has.
Jealous sounds stronger than envious, and sometimes means that you have unkind feelings towards the other person.
Compare these sentences:
You’re jealous of him because he’s a better player than you are (=you have strong and bitter feelings towards him because he is better than you).
I’m really envious of their new house (=I wish I had a house like theirs).
【訳】
これらの言葉は両方とも、あなたが他の誰かが持っている何かを持つことを願うことについて使われます。
jealousはenviousよりも強く聞こえ、時には相手に対して不親切な感情を抱いていることを意味します。
これらの文を比較してみて:
彼はあなたよりも優れた選手なので、あなたは彼に嫉妬しています(=彼はあなたよりも優れているため、あなたは彼に対して強くて苦い感情を抱いています)。
私は彼らの新しい家を本当に羨ましく思っています(=彼らのような家があればいいのにと思います)。

おっとー!やっぱりjealousの方が強い、って書いてある…
強くて苦い感情を抱く、ってとこまで行ってしまうのか…
でも、SNSなどではjellyという単語が若者言葉として使われているのだとか
ゼリーですって?あのぷるぷるの…透明の…

You are so lucky! I’m jelly.

なんて風に使われるそうです

翻訳ソフトにかけたら、
「私はゼリーです」って出ました(笑)

いいえ、
「あなたラッキーね!いいなあ!」って感じなんだそうです

生徒との雑談でその後何時間も勉強している私
無知って素晴らしい
探究心て楽しい

雑談と見せかけて、実は必死に探究心を刺激していることを、
子どもたちには内緒にしておいてください