1度覚えたら、ずっと忘れずにいられるなら、
そりゃあ、できるだけ多くを覚えましょう
1度覚えて、テストさえ過ぎたら、忘れてもいいのなら、
そりゃあ、テスト前に必死に覚えましょう
問題は、そういうことを「自分で」思い立ってしているかどうか、という点です

どんぐり学舎のオリジナル漢字教材、「塗り漢字」は、
おかげさまでたくさんの子どもたちの手元に届いているようです
塗り漢字の関連ブログはこちら
1つめ2つめ3つめ
必要な方には、1学年分500円でおわけしていますので、「オリジナル教材」のページをご覧になった上で、問い合わせフォームから連絡をくださいね

ブログのどれかにははっきりと書いてありますが、
この教材は糸山先生の漢字記憶法IF法の補助教材です
ただ塗って書いて終わり、という使い方では、もったいないんですよ
使い方については、ブログに書いてありますので、もし間違った使い方をしてしまっている場合には、もう一度しっかりと使用上の注意をブログから丁寧に読み取ってくださいね

糸山先生もおっしゃってますが、「漢字記憶は思考力養成とは関係ない」のです
計算練習が思考力養成と関係ないように、漢字を覚えることは思考力養成と直結しません
どんぐり問題は、問題文を絵にして解くだけで思考力養成ができるので、
似たような教材だと勘違いされる方もいらっしゃるようですが、
IF法は、漢字にも英単語にも応用できる、単なる記憶法です
覚えれば覚えるほど、思考力が高まるということではありません

それに、塗り漢字をリリースして気づいたのですが、もしかしたら、全ての漢字を塗らなければならない、と思っていませんか
そんなこともありません
覚えづらいなあ、と思った漢字を塗ればいいんです
覚えるための方法を練習するために使えばいいんです

時々届くメッセージの中に、少し気になるものがあります
「テストの前に塗り漢字を塗らせましたが、100点はとれませんでした」
「塗り漢字を塗ったのに、1ヶ月たったら全部忘れていました」
「1回塗って書くだけで、反復練習するよりも覚えられるはずはありませんよね?」

そういう質問をされる方は、果たして、ご自分で何か、覚えて試験を受けるとか、忘れないように勉強するとかいった勉強法を実践した経験はないのでしょうか

最初に書いたように、1度覚えたら一生忘れないのなら、そんな簡単なことはありません
誰だって学生時代に漢字や英単語を覚える努力をしたことが1度くらいはあると思います
歴史の年号とか、理科の元素記号とかだって覚えた記憶はあると思います
それらの、どれだけ覚えていますか?
いやいや、あれから何年たっていると思っているんですか、と言いたいですか?

じゃあ、子どもの頃見ていたアニメの主題歌や、好きだったアイドルの歌はどうですか?
懐かしの映像とか、懐かしソング的な番組を見て、一緒に歌えるほど覚えていることはありませんか?

いやいや、それとこれとは別だから、と言いたいですか?

歴史の年号は忘れてしまいましたか?
語呂合わせが秀逸なものは覚えていますか?
私の一番のお気に入りの語呂合わせは、イチゴパンツです
本能寺の変&太閤検地はじまる、の1582年です
余談でした
じゃあ、大政奉還は?墾田永年私財法は?
お父様や、お母様のお誕生日は?
お子さんのお誕生日は?

いやいや、それとこれとは…
本当に別でしょうか

エビングハウスの忘却曲線を受験勉強になぞらえた説明をしているサイトがたくさんあります
もし、興味があったら検索して見てみてください
エビングハウスさんはドイツの心理学者で、もう随分前にお亡くなりになっているので、真相が尋ねられません
どうやら、私がかつて知っていた忘却曲線とは別の解釈が生まれていて、エビングハウスさんの意図したことと、広く知られている解釈とで少し違う点があるようなので、ここで紹介するのはやめておきます
でも、
ざっくり言うと、人間は、覚えた瞬間から忘れていく、ということです
いつまでも覚えているために必要なのは、
…忘却曲線を、受験勉強のテクニックとして紹介する際によく言われているのが、
復習のタイミングです

1度覚えたら、翌日見返す
その次は3日後、その次は1週間後、と
その後も、定期的に見返す必要がある、という風に紹介されています

えーと、漢字何個かならいいんですけど、全科目、全分野においてそういうことをし続けるのはやっぱり大変そうです
短期記憶を長期記憶に転換させることって、難しいんですね

そういえば、アニメの歌は毎日、毎週復習したんですね
親や子どもの誕生日は、ことあるごとに思い出す必要がありましたね
受験勉強で覚えた英単語や歴史の年号は、そういえば、あれから一度も振り返ったことがないかもしれませんね

好きな映画の台詞を覚えてしまうのも、何度も見ているからですね
何度も見ちゃうのは、好きだからですね

そう、一番大事なのは、好きってことなんです

いろいろな記憶にまつわるお悩みや、漢字についてのこと、宿題で漢字練習をしないから覚えられない、などの相談を受けるといつも思います

子どもたちは、楽しそうに書いていますか?って

中には、小学生でも「これを暗記することでよい点数をとることができるのだ」と目標と自覚を持って漢字を覚えようとする子もいます
子どもが自分からテストの準備をするのは自由です
(完璧主義による無意識の強迫観念でない限り、問題ありません)
でも、正直、楽しくないとあまり続かないんですよね
でもまた、「わからない」「知らない」では楽しくならない、というジレンマもあります
漢字、全然覚えられないし、書けないし、読めないけど楽しい~!ってことはあまりないと思います

さあ、問題は、「明日は漢字テストだから」と親御さんが必死に覚えさせるケースです
何回も書いて練習させ、ちゃんと覚えたかどうか確認までします
子どもは楽しそうですか?
いやいや、楽しくなくても頑張るのが勉強でしょう?と言いたいですか?

明日のテストの為に勉強を「させて」も、
その記憶や、学習習慣が持続するためには、勉強を継続する必要があります
勉強を続けるための原動力は、
楽しいと思うこと、興味関心が広がる、探究心があることです
同じ漢字を何度も練習させることが、漢字への興味につながるとは私は思いません

どんぐり学舎の子で、環境設定と宿題制限をしっかりしてきた生徒の多くが、漢字練習をほとんどしていないのに漢字が得意です
中学生になっても、特に練習しなくても覚えることができるし、知らない漢字もなんとなく読めてしまいます
不思議なことに英単語にも通用しています

その子たちに共通しているのは、「よく漢字を使っている」ということです
勉強のため、というわけではなさそうです
遊びの一環のように、よく漢字を書いていました
漢字ゲームや漢字パズルを買い与えていたというようなことでもありません
ただただ、使える文字が増えるのが楽しい、知っている文字が増えるのが嬉しい、という印象を受けます

短期記憶のために、子どもを脅したり、無理強いしたりして親子関係をこじらせる必要はありません
それよりも、私たちが日常使っている文字にもっと親しめばいいのです

時代は進んだとはいえ、皆さんも自覚があるかもしれませんが、何でもスマホで完結させてしまうような習慣を大人が見せていれば、子どもたちはそういうものだと思い込んで育っていきます
実際、いざ文章を書こうと思ったら、だいぶ書けなくなっていた、という経験はありませんか?大人も、復習の機会を失っているんですね
丁寧に文字を書くことや、読むこと、文字で表すことの必要性、面白さ、奥深さを、やっぱり大人が見せないとなんです

何かと書くような習慣があれば、自ずと復習する機会も増えます
書いたものを見る習慣があればもっとです
新しい文字を習ったら、面白がって書いてみる、なんて習慣や、難読漢字が好きな子もいて、びっくりするような漢字を書いて私を驚かせてくれます

私も、中学生の時、ふと思い立って、この文章をできるだけ漢字に書き換えたら、万葉仮名のようになるのだろうか…とかつて漢字で書かれていたかもしれない言葉を辞書でしらべまくって文章を書き換えてみたことがありました
たとえば、屹度(きっと)とか、大人しい(おとなしい)とか、形容詞や副詞までとにかく漢字に変えられるものは変えてみました
その時、サボるという動詞が日本語ではなく、フランス語だと知りました
他にもたくさん、知りました
学校の先生に見せたら、いかにも、「くだらない」といった表情をされました(苦笑)
確かに、受験には関係ないし、国語の成績とも関係ありません
でも、私は自分で勝手に調べて、楽しかったので、先生の反応が薄くてもちっとも気になりませんでした

誰に命じられたわけでもなく、自分が知りたいと思う
自分が覚えたいと本気で思う
子どもをそういう状態にするために絶対にしてはいけないことは、
覚えなさい、練習しなさい、と日々命じることではないでしょうか

そして、子どもが興味を持つ前に、固定観念を植え付けてしまうことではないでしょうか

大人が説明しきれないほど、漢字ひとつとっても、いろいろな学びのきっかけを持っています
漢字から芸術作品を作る人もいれば、音読みや訓読みからインスピレーションを得る人もいる、歴史を知る人もいる
そして、どんな時に使うのか、どういう意味で使うのか、知れば使いやすくなる

最近では、漢字をじっくり教える授業は小学校ではなされないようです
そんな余裕はないようです
それなのに、宿題ではどっさり練習がだされます
どうやって興味を持たせるのか?探究心を持たせるのか?
本当は学校でたっぷりと、新しい文字との出会いを喜ばしい物として授業していただきたいけれど、
学校に期待できないとしたら、家庭でするしかないんですね
でも、家庭で授業をする必要はないんです

ただただ、学校と同じように闇雲に練習させようとしたり、覚えておけばいいの的な思想を持たないことです
そんなことをすればするほど、逆効果だと知っておいてください

塗り漢字は、IF法の補助教材です
大きな手本を塗って、1度だけ、頭の中でしっかりと記憶したものを再現します
それから、その漢字の話をします
お母さんやお父さんが知っているその漢字を使った言葉を書いてみてもいいし、一緒に辞書で調べてもいい
そのうち自分だけでやるようになります
そして、できるだけおもしろい用例文を書きます
ついつい、あとで見返したくなっちゃうような、おもしろい文です
挿絵を描いている子もいます
一生の宝物です

どうして覚えてくれないのだろうか…と思ったら、
一緒に暮らす大人たちが、どれだけ文字を大切に扱っているか、見直してみてください
なんで大人が文字を書かないし、漢字を自力で使っていないのに、子どもに書かせようとするんだろう、って子どもは思っているようですよ
今では、学校の先生の板書も減って、プリント形式の授業が増えているので、子どもたちが、大人が文字を書く様子を見る機会も減っているようです

知的な生活をしていれば、子どもは知的に育ちます
なにも、終始真面目でいろ、という訳ではありません
我が家なんて真面目とはほど遠い日常生活です
爆笑してばかりでした

でも、は~テレビもねぇ、ゲームもねぇ、スマホもねぇ、たまに来るのは回覧板っ♪
てなわけで、毎日がドラマチックでした

与えられたドラマなんかひとつもない、自分たちの生活そのものが、ドラマでしたよ

勉強を押しつける前に、短期記憶に必死になる前に、
まずは生活と、大人の習慣を見直してみてください

こんなに簡単なことはないのになあ