これは、D→K Room英文法解説書です
※D→K Room=どんぐり学舎中学部 独学支援室
全て私の手描きで、ポンコツでへなちょこ解説書ですが、内容は何年もかけて練り上げています
もちろん、糸山式DONGLISHの英文法が基になっています
この解説書を指さしながらただ私が話している動画(音声)を、QRコードでつけてあります
実教室でも、通信でも、各自が自分のペースで学べるよう、学校の教科書に合わせて、「新文法を学ぶ」→「新文法を定着させるための練習をする」→「教科書本文を訳す」の流れで、習熟状態を見て、続く教材を手渡しながら進めています
一斉授業をしなくて済むよう、音声を録音してあります
それぞれの学びのペースやタイミングを重視しているのです

DONGLISHは何度も述べていますが、
「ただ覚える」のではなく、なぜそうなのか、理由を明確にしながら学ぶところに特徴があります
これは、小学校の算数や漢字などと同じです
ただ覚えればテストの点数には繋がるかもしれませんが、それには限界があります
一番わかりやすいのが、精神的な限界です
「ただ覚える」なんて簡単なことじゃないか、どうしてそんなこともできないんだ、と思う大人の方もいるでしょう
でも、子どもたちは、自分が納得いかない方法を押しつけられると気持ちが乗らず、脳も活発に動いていないように見えます
それが、強烈な反発行動に出るか、拒絶して自分を閉ざす反応になるかは個人差がありますが、中学生くらいになると、「言われたことをしていればいい」という開き直りで、とても「生き生きとした」とは言えない目でぼんやりと机に向かっている子が増えてきます

だから、納得しながら学ぶ、ということを週に1日、2時間しか会えないDKRの生徒たちや通信生には必至に伝え続けているのです

先日、期末テストを控えた中学生のひとりが、ようやく英語の学習に取りかかってる様子が見て取れたので、「これは期末範囲の文法だから」と範囲まで全ての解説書と問題集を手渡しました(本来の段階を経ず、一気に渡すしかありません)
日頃からコツコツ進めている子は期末範囲の文法や練習、本文訳などとっくに終わっていて、期末前に慌てて取り組むことなどないのですが、しばらく手をつけていなければテスト前に慌てて仕上げることになってしまいます
まあ、そういったことも「自分を知る」という意味で大切な経験だと私は考えるのですが

教室では音声解説も聞けないし、家に帰ってから取り組むのだろうな、と思って他の添削をしていたら、しばらくして問題集を全て持ってきました
採点すると、かなりよく理解できていて、数カ所のミスも統一感があり、少し解説すると納得する程度のものでした
「なんだ、よくわかってるんだね。」と言うと、
「いや、学校で習ったときは意味がわからなかったんだけど、さっき、あれ(DKR文法解説書)を読んだら全部わかったから」と、言うのです
納得したから、簡単だった、ということなんだと思います
だったらもっと早めに…テスト直前になる前に取り組んでおけばもっと鍛錬できるのに~!!ってふざけながら話したのですが、まあ、それも学びかな…と生徒の笑顔を見て思いました
理解して納得しても、テストの点数に反映させたいならすべきことがまだまだあります
どんな出題をされても自分の知識をしっかり答案に著せるよう、ありとあらゆる出題傾向の練習を重ねたり、限られた時間内にたくさんの問題を解く、というスピードを鍛えたり
もし、テストで点数を取りたいなら、そういった鍛錬がどうしても必要になってくるのです
それもわかってる
知ってる
でも、行動に移せない…
そう、そうしたら、そういう自分を知ればいい
自分は今はそういう人間、と自覚すればいい
そして、変えたいなら変えられる
それは自分次第
変わりたいなら手伝う
君が本気なら
そんな話をして、帰しました

夜更けの教室でひとり、軽く放心状態になりながら、
その数日前に記録として撮影した小学部英語コースの作品を見ていました

10月から実教室のみで始めた小学部英語コース
毎日を英語漬けにするのは不可能だし、小学校の英語の授業も並行して受けているわけだし、さらに、中学生になったらあの教科書、あのテストで勉強し続けていく英語…
小学部ももちろんDONGLISHを活用して、丁寧に段階を踏んでカリキュラムを進めています
まだ試験的で、通信講座に反映する余裕がないのですが、
始めて4ヶ月、どんぐりっしゅコースの子どもたちの作品はここまで進化しています
まだ、英語の語句順の日本語を、自然な日本語に和訳する(方言訳)段階ですが、
英語の語句順の日本語をそのまま並べ替えるのではなく(中学生でもまだ並べ替えるだけの子がいるのですが)、話者の特徴を捉えて自分なりにうまいこと「通訳」しているのがわかります
少し前まで、もっと短い文でも苦戦していた子たちですが、いつの間にかここまで自然に、誰も迷うこともなく、楽しげに書いてしまいました

まだ、英語のスペルに関することはしていなくて、英語を書かせることもしていません
ただ、英語が書いていない、イラストだけの英語のカードゲームを使って遊んで、数回遊んだ後、そのゲームに出てくる英単語を「辞書引き練習」のプリントに反映させてみたところ、面白いことが起こりました
当たり前といえば当たり前なのですが…
たとえばゲームで、熊がバーベルを持ち上げているイラストのカードのとき、「リフトゥ」と私を真似て発音している子どもたちです
猫が踊っているイラストのカードでは「デァンス」と発音しています
全てのイラストの動詞をすっかり言えるようになるまで遊びきったタイミングで、liftやdanceを含む「辞書引き練習」のプリントを作りました
辞書を引くのが楽しい子どもたちは初めて見る英単語を一生懸命調べて書き込んでいきます
それで「lift」のところに「運ぶ、持ち上げる」と、「dance」のところに「踊る」と書いてから、「ああ、これがリフトゥ」「これがデァンスなのか」と発音していたのです

小学校の放課後学習のボランティアをしていたとき、宿題の漢字練習を必死にやっている子どもたちに読み方や意味を聞いても多くの子が「知らない」と言っていました
中学生も、読み方も知らないまま英単語を練習しています
小学生の頃からの積み重ねでそれが当たり前なのか、読み方も意味もわからないのに練習することに何の抵抗もないように見えます
「なんて読むんだろう」「どういう意味なんだろう」と、考える習慣?本能?も退化したかのような
読み方も意味もわからず練習しているなんて!と大人の方は思うでしょう
わからないなら調べればいいのに、とも思うでしょう
確かに、今や、英語の教科書にQRコードがついていて、全ての音声が自由に聞けるようになっています
でも、読み方がわからないからとそこまでして調べる子はあまりいないし、目の前に私がいても「これなんて読むの?」と質問してくる子も多くありません
読めなくても、知らなくても、書けるように練習させられています
もちろん学校の先生は発音してくださっているはずだし、意味も説明してくださっているはずです
でも、子どもたちが自ら知ろうとしないから、吸収されないのでしょう
その前に、大量の書き取り練習をさせたりするから、…それも、小学校時代からずっとさせているから、なおさら子どもたちも諦めているし、知ろうとしないのでしょう

子どもたちが何を考えているのか、何を求めているのか、どこまで理解しているのか、どこまで知ろうとしているのか、そのことを知ろうとしている大人はどれだけいるんでしょうか

子どもは、理解すれば自分から前に進み出します

私が初心者にスキーを教える時も、たとえば英語漬けの生活ができればこんな授業は不要なのと同じで、毎日、または毎週でもスキー場に来られたら教える必要のないことをしっかりと教えます
スキーを嫌いにならないように、自分の力でコントロールできた、という実感を味わってもらえるように、私がそばにいなくても、勇気を失わず、基本を忘れないように、意識して教えます
嫌いにならなければ子どもたちは自分から滑りに行きます
うまくなりたい、と前向きになります
前向きになれば、あとは勝手にある程度のところまでは伸びていきます

英語も、子どもたちが納得するようそれぞれの学年に合わせて仕掛けを作っています
小学部では遊びながら、日本語の能力を最大限に生かしながら英語を体得していきます
中学部では理路整然と納得できる英文法を解説して、言語としての英語を少しでも理解できるよう支えています

それでも、
やはり、闇雲に与えられる課題に押しつぶされそうになっている一部の生徒たちを見ると、どうして一律に同じ課題が与えられるんだろうなあ…と切なくなります
もちろん、同じ課題、同じ授業を受けていても、さらっとこなしてしまう子もいます
私が順に手渡す教材を、自分を律して、滞らせずにスムースに進めていく子もいます
そういう子はテスト前の期間を自分の「鍛錬」の時間に使えますから、テストの結果にも当然ですが差が出てきます
全員がそれを目指す必要はないのに、やはり、学校の先生も、多くの親御さんたちも、成績がいいに越したことはない、と思っているのです
だから、一律に同じ課題を出し、同じ授業をし、それでいて、できるだけ良い成績を出させようという無理難題を突きつけ続けているわけです

子どもたちは納得しながら学んでいますか?
理解しながら学んでいますか?
子どもたちが自分で前に進み出したら、
大人はもうついていけません
背中を追いかけるようです
そして、追いつかなくなった逞しい背中を、羨望の眼差しで見送ることになります
時々戻ってきて転がり込んでくることもあるから、
いつでも受け入れられるあったかい空間を用意しておくだけです