小学生の時はどんぐり問題のみ。
宿題に関しては、毎年4月に我が家は宿題をしない旨の手紙を担任に提出していました。
担任のやり方に疑問を持った時には、校長先生にアポをとって話を聞いてもらうこともしました。校長先生とは校長室でお茶を飲みながらゆっくりと話ができました。

その後の問題は、宿題(学習)係です。この係は宿題を集め、誰が出していて誰が出していないのか担任に代わって児童がチェックする係なのですが、責任感の強い子は宿題提出管理に力をいれます。宿題を出していないクラスメイトを吊るし上げようとします。
これはいじめの始まりになるので、新学期最初の係決めの前に宿題(学習)係をつくらないように担任にお願いしていました。

小学校時代、宿題をしない効果は絶大です。
漢字練習をノート1ページやっても、間違えた漢字に気づかずに先生に大きな花丸をつけられた事もありました。この宿題に意味はありません。やった気になっているだけで時間が無駄です。正しい漢字を一文字しっかり覚える方が身につきます。
どうしても宿題を出すというなら、せめて先生が正しく丸つけができるだけの量をお願いしたいものです。

中学生になってからは、学習方法、学習時間等については親は見守るだけ。Qノートの提出は必ずやる。テストは自分ができないところ、苦手なところを知るチャンスです。親がすることは必要な文房具の購入のみ。
家でどんぐり問題をしている時に、一回だけアドバイスしてしまったことが、親としての反省点です。親はとにかく見守るだけ。

テレビゲームに関しては、我が家は全く購入予定はありませんでした。
親としてはゲームをしていないと仲間外れにされるのではないかと心配になるかもしれません。
小学校3、4年の頃にはそのような問題がおきていました。特に男子です。息子も周りの友達はゲームの話題でもちきりで話についていけない事がありました。
でも小学校高学年になると友達同士でゲームの話が話題にあがることも少なくなったようです。
逆に担任の先生が授業中にゲームの話題を出して子供達の気を引こうとした結果、ゲームを知らない子が嫌な思いをしたこともありました。
対処方法として家庭訪問の時に担任の先生に我が家の生活スタイルをすべてお話しし、テレビやゲームのない生活を理解してもらい、クラスの環境整備にも配慮してもらいました。年配の先生には、理解してもらえない場合もありましたが私たちの考えが変わることはありません。
家では、毎日外で遊んでいました。外に遊具があるわけではないのですが、友達をよんで庭にミニゴルフ場を作ったり、手作りの割りばし鉄砲と紙コップの的を作って射的場にして遊んでいました。遊び道具は手作りしている事が多いです。
家の中ではカードゲームやボードゲームをやったりして、テレビゲームで遊んでばかりの友達はわが家へ来ると新鮮なのか、楽しんで遊んでいるように見えました。
わが家でやって楽しかったカードゲームを自分の家でもできるように買ってもらったという話も聞きました。

我が子をみていて学校ではテレビゲームに関して嫌な思いをたくさんしたとは思いますが、そんなのへっちゃら、テレビゲームより楽しいことがたくさんあることを知っているし、少し嫌なことがあっても別に気にしないような強い人間になった気がします。


息子は、内に秘めた思いが強い。娘は、周囲に対して気配りができる。同じ親から生まれてきても全く違います。中学になると定期テストがあります。大人は比べる基準として点数や順位をみて兄弟姉妹を比べてしまいがちですが、学習するペースも違いますし、性格もちがいます。大人になるための準備は成績に関係なく子どものペースで進めば良いと思います。

結局、親は子供に手をさしのべれば、さしのべるほど子供の考える力を制限してしまうんですね。親は毎日、外で遊んでいる子の姿を見守り、他愛もない話をしていることが親のできることなんだと。親の覚悟が大切です。

子供が小学校低学年の時は、毎晩寝る前に今日の子供との接し方を顧みました。手を出し過ぎていないか、余計なことを言っていないか、
親が子供を管理しないようにいつもいつも心掛けていました。小学校低学年を親が何もしないで自然に子供の目が輝き続けていれば、その後の小学校高学年、中学生生活はさらに何もしなくても子供は成長し、賢く強くなります。これは実際に経験したことなので間違いないです。

父は職業柄、研究論文を書いたり、資格を取ろうとほぼ毎日勉強しています。特に子供達が机に向かっている時は、父も机に向かいます。
それくらいしか一緒に共有できることはないので、これからも続けようと思います。

母は毎日食事を同じ時間にとるので、その時に学校のこと、友達のこと、先生のこと、部活のこと…たくさん話を聞きます。学校から帰ってきた時の顔を見ると、もし何かあった時はピンときて分かります。すぐに話したくなさそうなときは時間を空けたり、緊急な時はすぐに学校に電話をしたり、担任に手紙を書いたり。お父さん、お母さんはいつでも味方なんだよ、大丈夫だよという事は小さい頃から中学生になってもずっと伝えてきました。

学習塾や習い事のひとつにどんぐり教育を考える方も多いと思いますが、わが家にとってどんぐり教育とは生き方そのもので、この先、親から離れた時に自分で生き抜いて行く力がついているような、そのためのものだったと思います。
どんぐりを始めるにあたって家庭環境を整える必要性を感じ、夫婦で考え方が一致していたので協力しながら今日まで過ぎたように思います。
我が子を通じて高校受験を初めて経験しましたが、やりたいことや目標を自分で見つけ、それに向かって努力する日々。親としては見守るだけでした。
いいことばかりではないかもしれないけれど、これからも自分で考えて乗り越えていって欲しい。
いつまでも味方でいたいと思います。



ここからは聡子先生へ感謝をこめて✨

我が家が保育園時代からどんぐりを実践してこられた事は本当にラッキーな事で、全ては聡子ちゃんがどんぐりに出会っていたおかげで、それを紹介して広めてくれたおかげです。
まさかのコロナ休校が中学生活の始まりで先行き不安だったけれど、その時間を利用してどんぐり問題700問にも挑戦でき、それを糸山先生に見てもらえた事も…本当に宝物のようなできごとです。これこそ本人の努力のみで親は何もしてません。

どんぐり問題に取り組んだ小学生時代で終わる事なく、D→K Roomとして中学時代も継続できたからこそ、自分に合った勉強法を見つけられたのだと思います。
時間もかかるし、睡眠時間も短いし、要領が悪いなぁと感じる事も多かったですが、無駄な事はなかったと思います。
どんぐりを通じて出会った子供たちが中3で同じクラスになるという奇跡も驚きました。タイプはそれぞれ違うけどお互い理解し合える仲間です。
部活の他に練習に行っているスポーツのクラブチームでは理不尽な事も多く、途中で辞めてしまった仲間は何人もいます。そのたびに悲しく悔しい思いもしたけど、本人はそれでも最後まで全力で頑張りました。この今の忍耐、努力がこの先の難関も乗り越えていけると信じたいです。

話まとまらずですが、
どんぐりに出会えた事に感謝です。
聡子ちゃんだからこそ、信じて私たちも実践してこられました。
ありがとうございます。
でもまだまだこの先もずーっと
見守ってて下さい。
よろしくお願いします。


(聡・後記)
10年間も子どもの成長を近くで見守り続けることができるということを、
実はこの子たちが卒業する時にやっと実感しました

塾講師になって30年、たくさんの出会いがありました
進学塾勤務講師時代から根っこは変わらないので、ひとりひとりの生徒や保護者さんとわりと深く、濃く関わり合って卒業を迎えるため、その後もお付き合いが続いている御家庭はあります
卒業式が大々的に行われる塾だったので、その日にお別れするのですが、教室では春期講習が始まり新規募集の営業戦略に追い立てられ余韻に浸る間もなく、でも卒業生もすぐに遊びに来たり、「生きていくのが辛くなったらその前に一緒にラーメン食べよう」って(私が中学時代に、好きだった先生に言われて覚えている言葉)言ったら翌日に「辛いんですけど」と電話が来て、卒業したばかりの生徒数名をラーメン屋さんに連れていったこともありました
結婚式に招待してくれた進学塾時代の生徒もいます

独立してからも、生徒さんや御家庭との関わりはますます深く濃くなっていったため、塾を卒業し、高校生、大学生になっても相談に来たり、私が出産すれば祝うために駆けつけてくれる卒業生たちもいました
そして、
初めて、教え子が産んだ赤ちゃんを抱っこさせてもらった時の感動は忘れられません
今でもその瞬間、心も体も震えたのを鮮明に覚えています
(その子はこの春、この生徒と同じ、高校1年生になります)

どんぐりは年長さんから始められるので、この生徒も年長さんからゆっくり始めたひとりです
途中で方針転換することなく、どんぐりを、糸山先生を、そして私を信じて家庭のライフスタイルをブレることなくどんぐり的に貫いた両親のおかげで、この子はまっすぐに育ちました

学校や入試で評価される学業成績は、両親が求めていたものでも、私が目指していたものでもありませんが、この生徒も何度もトップをとっています
いったい何人の「トップ」がこの教室にいるんだ?と、公表すれば訝しむ人もいるかもしれません
でも、私も、御家庭も、そんなことを目標にしているのではないし、生徒に目標にさせたりお尻を叩いたり、まず、そもそも、勉強しなさい、と一度も言ったことがないのですから怪しまれてもどうしようもありません
こんなちっぽけでおんぼろで、講師みたいな人はポンコツで「主婦の片手間」って大きな塾に悪口を言われるような(笑)そんな教室です
「DKってなんだ…?」と今年の生徒たちの状況を知った同級生が聞いてきたらしいのですが、聞かれた生徒は「なんだ、って言われても…塾でもないし…」と困ったようです(笑)

私の力なんかなんにもなくて、ただただ、御家庭の力です
それに尽きます
この両親が書いてくれたように、私はどんぐりを伝えているだけ
間違えないよう、一生懸命勉強して、伝え続けているだけなんです

これ以上の学習法はありません
これ以外の学習法もいろいろ研究したり勉強したりしてみたけど、本当にないんです
素晴らしい理論やメソッドだ!という部分はあっても、
どこか、欠点がある
副作用がある
糸山先生はそんな検証もとっくの昔に済ませていて、
どんぐりには欠点も副作用もないことを、私はどんぐりを学びはじめて20年で、確信してしまっているのです

でも、肝心なのは「家庭力」だということが、
昨今の世の中ではどんぐり実践が難しいひとつなのかもしれません
だから、ちょっと取り入れてみても、「うまくいかない」と言われる所以なのかもしれません

まずご夫婦で意見が合わない
電子機器が家庭に、子育てに入り込みすぎている
身の回りの家電や道具が便利に、つまり、思考力不要になりすぎている
学校までもが、思考力を奪うようなことをしてしまう
それらひとつひとつを解決し、どんぐりに向き合い、実践する
いったん、原始的な家庭に、原始的な子育て環境に戻れば簡単なことなのに、
大人には難しいのだな、と私も知っています

ただ、何を優先するのか
いま、一番大事にしたいのは何なのか

これまでの「保護者さんの手記」を全て読んでいただくと、
わかっていただけるのではないかと思います

家族のために勤務を工夫したお父さん
周囲の状況に迷い、悩んでも、ぐっとこらえたお母さん
宿題マシーンや家事を分担したご夫婦

ところで年長から中3まで10年間、子どもの成長を見せていただける、という幸運にあずかっている私は、そんな御家庭になにか恩返しができているでしょうか

こちらこそ、
これからもずっと、見守らせてください
予定では、命尽きるまでこの家にいます
この家の庭先の、小さな教室に、いられるだけ居続けます

【2022年度 どんぐりDK卒業文集⑨ 保護者手記(4)父母より】完