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車好きの家族の影響で、こんな作品を時々(笑)
描きながら楽しんでるのが伝わってくるでしょう

中学生はいま、
3年生が入試直前
1,2年生は期末テスト直前ということで、
わりと真剣に机に向かっているわけですが…

昨日、「英単語を覚えるとはどういうことか」という話を、小学生のどんぐりっしゅコースの子どもたちとしていたのです
日本語なら毎日見たり聞いたりするから、練習しなくてもいつの間にか覚えてしまったけど、英語ってわざわざ見に行かないと見えないし、聞こうとしないと聞こえない
しかも、日常的に聞ける場所や機会って子どもにとってはほぼないわけで
週に数回見たり聞いたりするくらいで日本語を習得したように自然に覚えたり慣れたりすることはできません
日本語はなんたって、24時間365日、リスニングしているのですから
でも、
中学生になったら小学生の頃はあまりしない英語のライティングが始まって、テストもある
さあ、どうやって覚えようか

日本語と比較すると圧倒的に文字数は少ない
26文字しかないんだもの
でも、
数字の1はoneと書いて「ワン」と読む
なんでoneで「ワン」って読むんだろ

そんな話から、10分間で1から10までの数字を英語でスペリングできるかどうかそれぞれ自分の考えた方法で試してみよう、っていうのをやってみました

ちなみに私はね、最初はローマ字で覚えたかな、って話なんかもして
oneだったら「おね」だから、「尾根が1番怖い」とかなんとかひとりでボソボソ言いながら
ローマ字とかカタカナとか、よくないよ、ってネイティブ先生は言うけれど、
しょうがないんだよね
日常に英語がひとつもない生活をしているんだから、私たち
日本語ネイティブなら日本語力を活用しない手はないっていうことで
そんなことから始めて、いつのまにか、
あれっ
eightってfightと似ているな、とか、
nineはfineと一緒だな、とか、
eightやnineをローマ字で必死に覚えたずっとあとに、
そういう共通点を見つけ、
段々と、スペルと発音の法則みたいなのに気づいたりして
それだって日本語の漢字の部首や音読みを覚えるのと似てて
慣れるしかないわけです
…というか、慣れてくるのです
慣れるほど触れていけば
ずっとローマ字暗記やカタカナ発音を頼るわけじゃなく、
いつの間にか初見の英単語もなんとなく読めるようになってくるわけです
▶arteriosclerosis
なんて単語もね
…なんて発音するんだろう、こりゃ難しい
以前、バイリンガルの子に読んでもらおうとしたけどやっぱりこういう単語は日常的じゃないから知らなくて
でも、この英単語を和訳した言葉をボードに書いたら、みんな意味はわかったのです
▶動脈硬化症
ああ、「動脈」って血管のあれ、あれが硬くなる症…病気かな?なんて想像できるわけです
もちろん
英語のarterioが動脈で、scleroseが硬化って意味だって知ってる人には簡単にわかるんでしょうけれど、いずれもネイティブでも子どもには難しい英単語かも
でも、動脈硬化症という日本語なら、小学生でも高学年なら、中学生ならほとんどの子が、だいたい、それが「病気」っぽいものの名前だってことや、血管に関係あるのかも、ってことくらいはすぐにわかるはずです
だから日本語ってすごいな、って思う例です
(いつもこの話しちゃう)

さあ、10分たちました
ノートにいっぱい書いた子もいます
自分でテストみたいに手で覆って書けるかどうか試し続けた子もいます
イラストやローマ字読みでなんとかスペルを印象づける工夫をした子もいます
用意しておいたテスト用紙に書いてみると、
10問全問正解した子もいれば、
全部は書けなかった子もいました
正直、
全問正解が出るとは思っていなかったので驚きましたが、
ここからが大事な話

暗記するとはどういうことか
英単語に限らず、こうして、短時間で覚えたいことを覚えるっていうのは、
どういうことなのか
子どもたちに話しました

いま、みんなが試したのは「短期記憶」の練習です
みごとに短期記憶の練習の成果を出せた人もいれば、
覚えきれなかった人もいます
さとちゃんが30年以上子どもたちと一緒に勉強する仕事をしてきて知っていることを話します
「短期記憶」が得意な人もいれば、苦手な人もいる
得意な人が得するのは、すぐに結果が出て、すぐに褒められたり、満足感を得られたりするところです
苦手な人はすぐに結果が出せずにもどかしいだろうけど、得するのは、全部覚えられるまで、と努力を続けると必ず覚えられて、しかも、短期記憶が得意な人よりも長い時間覚えていられることが多いってことです
短期記憶ですぐに覚えてしまうと、もう覚えたから、と安心して肝心なときに思い出せなくて困ることがあります
人間は、必ず忘れます
覚えた瞬間から忘れることが始まるんです
だから、
どっちの方が得で、どっちの方が損、ってことはありません
その両方の状態にヒントがあります

短期記憶が得意な人の覚え方を、苦手な人は参考にしてみるといいと思います
短期記憶が得意な人は、すぐに覚えられたから、と安心せず、苦手な人がしているように、何度も何度も振り返る、ということを忘れないようにしておくと記憶が定着します
両方のよさがあります
そして、どうも、みんなはいずれかの特徴を持っている可能性があります
短期記憶ですぐ忘れてしまうのを残念がったり、
すぐに覚えられなくて短期記憶の人みたいに結果が出せないことを悲しんだりする必要はありません
大事なのは、「自分はどっちだ?」って知ること
知った上で、「じゃあ、どうしたらいいかな」って考えることです
自分を知って、考える
ただそれだけを、続けることです
大切なのは暗記することじゃないんです
自分を知ること
知った上で方法を工夫すること
それが勉強する、ということです

大人はすぐに結果を求めます
小さい頃から何かたくさんのことを覚えたり、むずかしい言葉を言ったり書いたりすると「すごいねえ!」って褒めてしまいます
何気なく褒めた言葉にとらわれているような子も実は多くて、
成長しても払拭できないのかもなあ、って見えるような子もいます
褒められるためにやってるなあ、そうすると、褒められなくなったときが危険かなあ…
点数や成績が全てだと思い込まされているなあ、そうすると、失敗したときが分岐点だなあ…
成績や点数で見える「結果」が、その子の何を表しているものなのか、
大人は少し立ち止まって考えてみるといいと思います

私が子どもたちを見ていて、大いに褒めたくなるのは、
子ども自身が自分の特徴を知ろうと悪戦苦闘する姿を見たとき、
そして、自分の特徴に合った方法を見つけたとき
それでも、あからさまに褒めはしません
ただただ感動し、「なるほどねえ!」と感心するくらいです

あとは何もすることがないんです
ただそのまま感動し続けている間に、
勝手にぐんぐん伸びていきます

先取りして中学1年分の英単語と教科書の英文を暗記させる小学英語の塾が人気だったことがありました
1年生の間は当然ですが、英語は群を抜いています
でも、2年生の途中からその塾出身の子が英語力で目立つことが少なくなってきます
もちろん、中には小学生時代の先取りを生かして中学校が始まっても先取りを続け、予習復習を欠かさない、という、王道の英語学習を重ねて好成績を維持している子もいましたが、覚えたから、と高をくくって学校の授業を舐めてしまうような子の方が多数なので、そのうち、その塾はなくなってしまいました
だから、
そんな無意味なことはさせないで大丈夫です
させない方がいいです
ただ、
「覚える」ってどういうことかな、って考えさせる機会を
「勉強する」ってどういうことかな、って考える機会を

中学生からは学問が始まります
自由な発想で、思考力を育んだら、次は学問の世界です
自由に考えるのも楽しいけれど、先人の学説をなぞって学ぶこともとても楽しいです

小学生時代に柔軟に育んだ思考力があれば、思う存分楽しめるんです

何事も、導入って大事だなあ、って思っているので、
小学英語必修化されても6年生で、数字のスペルすら書かない状態で、
中学1年からいきなりスペリングも英作文みたいなのも始まるわけなのですが、
その前に、
「英単語を覚える」ってどういうことかな、って話し合った時間についてでした