先週辺りの新聞から
気になると写真を撮っておくのですが、
新聞記事の無断転載は禁じられているので内容を少しご紹介します

元ベルリンフィル首席のヴァイオリン奏者、ブラッハーさんが語った音楽教育論です
昨年11月に東京で開かれたイベントに高校生以下の親子が集まってブラッハーさんの話をきいたのだそうです
子どもの頃の練習時間を問われると
「あんまり練習しない方がいい(笑)」
10代の頃、1日の練習時間は1時間半ほどだったそうです
「練習には新鮮な気持ちで臨むこと。しっかり休憩を取り、自由時間に友達と会い、運動もする方が良い練習ができる。これは親のみなさんへのメッセージです(笑)。練習する意味がわからないなら、練習しない方がいい。そして指だけでなく頭を使って練習しましょう。」
会場で聴いていた少女は「練習は量ではなく質で、休憩を取ることが大事というところが役に立ちました」。母親は「そこのところで私がにらまれました」と笑った。
日本人バイオリニストの演奏技術には定評がある。でも、音楽は、テクニックだけでは表現できない。才能を伸ばそうと思うあまり、親は、子どもを練習漬けにしたくなりがちでもある。

先日ちょっと小耳にはさんだ、
宿題が終わるまでおやつなし、
100点取れなかったから食事抜き、
習いごとは1週間休みなし
帰宅してもピアノとバイオリンの練習で終わるまで眠らせない、
などという小学校低学年の子どもたちの話を思い出しました
そして、
数日前に買い物中に、「静かにしないなら連れてこないよ!!」と怒鳴られている2歳くらいの子どもの姿も、思い出してしまいました

それから別の日の新聞です

日本一有名な、英語字幕の翻訳家、戸田奈津子さんのインタビュー連載でした
毎日、楽しみに食い入るように読みましたが、最終回には感動して3回ほど読みました

英語を学んで、上達を目指している人に何かアドバイスをお願いします。
「映画が好きだった私が、映画の世界に行きたくて英語にひかれたように、モチベーションがないとできないですよね。何のために英語をやっているのか自覚することが大切です。」
「最近のような会話重視は、私は間違っていると思います。やっぱりまず基本をしっかりやるべきです。中学3年生の文法でいいんです。あとはボキャブラリーを増やしていけば。言葉を入れ替えてどんな文章でも作れるようになります。」
「それから、書くことも大事です。会話は多少間違えても相手に通じますし、その場で消えてしまいます。でも、書いたことは紙の上に自然と残って、自分がどこを間違えたのか認識できます。間違いを認識するということが、学ぶということなんです」

「英語、英語っていうけど、なぜもっと母国の日本語を教えないのかって思います。美しい日本語がどんどん失われていっているし、スマホでメッセージを送っているだけでは、長い文章が書けなくなります。」
「字幕翻訳の仕事でも、求められるのは80%が日本語です。自分は英語がしゃべれるから字幕もできるんじゃないかと思う人もいますが、それはとんでもない誤解です。字幕は短く、的確に、みんなにわかる言葉で、見ている人の感情に訴えなければなりません。そのためには日本語の力が必要なんです」


大人はともかく、
小中学生にとって英語を学ぶためのモチベーションってなんだろうな、って考えながら読んでいました
大人は避けて通れるけど、小中学生は必修科目になってしまって、高校生になっても避けて通れない英語
私自身が中学、高校時代の英語の授業に全く興味を持てなくて、20歳くらいから突然火がついた経験からも、いま、現役で、英語の習熟度に点数をつけられてしまう子どもたちって、いったいどうしたらいいのかね、って思うのです

これからの時代、絶対に必要ですよ、っていう人もいれば、
翻訳アプリが発達してるから必要ないですよ、って人もいて
個々に趣味や仕事で使いたいから頑張って習得するのは自由でも、
子どもたちには必須科目で、
どうしても好きになれない子や、どうしてもやる気になれない子にも、
のしかかってくる英語学習

アジア諸国でも英語力が低い国になってきつつあるけど、
その他のデータを見るとやっぱり、
日本語の豊かさ、日本語の便利さが英語に勝ってしまうから、って説がどうにも頭から離れないのです
そして、
やっぱり中学生、高校生になって学校の英語学習で困っていない子を見ると、日本語の能力が高いわけです
自分の頃は好きになれなかった中学高校の受験英語だけど、今は、「私もDONGLISHで勉強したかった…」と心から思いながら、他の科目と同じように、英語も興味とか好奇心とかモチベーションとかそんなに高くなくても、淡々とその基本のメカニズムを学び取ることはできるんだよ、ということを一生懸命中学生に伝えています
日本語ネイティブの私たちが、その威力を生かして学べるんだよ、って
それがわかった子たちはめきめき力をつけています
元々英語を学ぶのが好きだった子はもちろんです

とにかく、
好奇心旺盛です

英語だけじゃなく、
全ての科目において、「知りたい、学びたい、もっと詳しく、もっと面白く…」という前のめりの気持ちになることは、意欲、向学心で、そんな気持ちをキープできればおまけで成績もついてきます

成績が目的になってしまうから大人が先走ってやらせすぎちゃうんだから、それを大人は忘れないとならないんだけど、
それよりずっと大事なのは、
子どもが「知りたい、学びたい、もっと詳しく、もっと面白く…」って、あらゆることに興味を持って、目を輝かせて暮らしているかどうか、ってことに目を配ることです

何かを専門的に習わせたり、よりよい先生やよりよいお教室を探して放り込んだりする前に、どんなことからも学び取る意欲や向学心を育ててしまうこと、その方がずっと手っ取り早いのです

「育ててしまう」なんてまた傲慢な書き方ですが、わかりやすく書けば、です

つまり、
子どもに先に与えずに、そういう「欲」に飢えさせることが今の時代、とっても大事だってことです
なんでもお金を払えば揃ってしまう時代
放っておいても多種多様な刺激や年齢に応じない刺激がどしどし入ってきてしまう時代
それを選別し、子どもの成長にほどよい刺激になっているかどうか確認しながら守り育てるのが親の役目です

いいものだから、と先に先にと与えすぎて、
小学生になるころにはすっかり自主性も意欲も向学心も失われている、なんて悲劇が、
あちこちで起こっているようです

なんてもったいない…

こうした、一流の人たちの言葉はかけ離れすぎていてとても参考にならない、と思う人もいるかもしれませんが、私には、とてもいいヒントに思えました

子どもに前に進んでほしかったら、
子どもの視界からそっと姿を消すことです
時々不安になると振り返る我が子に、
ダイジョブ、ここにいるよ、って笑顔を返すだけで
それだけで、子どもは力強く前に進んでいきます