どんぐり学舎を振り返って

今回、4年前の長女に引き続き、次女も希望の高校に合格することができて本当にどんぐり学舎には感謝しています。いやちょっと違いますね。そういうことではなくて、うちの子が、自分自身で考え選んでそれに向かって努力できるような人間に成長させていただいたということを感謝しています。

親としては本当に何もできませんでした。ただただ子供が安心して自分を出せるように、子供の考えや選択を尊重して自信を損なわないように受け入れてあげることを意識していました。そうそう。あまり何もしないと、後で子供から「何もしてくれなかった」って言われちゃうので、毎晩ほうじ茶を入れたり(忘れないように22時にアラームをセット)、朝学校に行くときのスニーカーをベランダに出しておいてあげたりしました。それくらいかもしれません。でも「なんか変だな」って感じた時はさりげなく声をかけた時もありました。でも結局は、全部自分で決めて、自分で努力して、自分で合格を勝ち取りました。その結果、自分という存在を受け入れてどんどん発展させていける人間に成長していました。本当に子供というのはすごいものです。好きなことや自分で決めたことへの集中力は半端じゃありませんから。そういうことを後押ししてくれたのがどんぐり学舎だったわけなのです。

そうは申したものの、初めの頃は宿題(漢字の反復書取りなど)をしないということは「学校の先生に申し訳ない」という気持ちもありました。でもうちの奥様が「それでいい」と言うので「はい、分かりました」的に傍観しておりました。でも子供から見せてもらった算数の問題や、それをかわいい絵を描きながら解いていく作業を見て、「なんか素晴らしいんじゃないかな」って思えるようになりました。自分の話をするのも恐縮ですが、私は小学校低学年の時に“なぜなにクイズ”という本に出会ってクイズを解くことにハマってしまって、そこから探偵クイズなんて本があると飛びついて買って読んでました。自然に自分の楽しみの一環として頭の訓練をしていたのかもしれないなあって考えていたのですが、なんとそれをどんぐり学舎がやってくれているではありませんか。「すごいなあ」と感心しておりました。そしてその積み重ねが今の状態なわけです。

これからどんぐり学舎へ入る方、考えている方にアドバイスは、子供を信じることに難しさを感じることが時々あるかもしれませんが、「子供がいつかは親元を離れて自分でこの困難な世の中を生きていける人間になっていくことが最終目的だ」ということを常に自分の頭に置いて、ちょっと無理してでも子供を信じることをちょっとずつやってみてください。多分ですが、そうすると割と子供ってしっかりしていることに気づくと思います。それの繰り返しだと思います。これからもがんばってください。

私ももっともっとがんばって子供が家から出ていく日までを悔いのないように楽しんでいきたいと思っています。

(DK卒業生 父)


▶親としては本当に何もできませんでした。ただただ子供が安心して自分を出せるように、子供の考えや選択を尊重して自信を損なわないように受け入れてあげることを意識していました。

▶子どもを信じることは難しいかもしれないけど、ちょっと無理してでもちょっとずつやってみてください


「何もできませんでした」だなんて、
その言葉、そっくり否定したい気持ちです
多くの親御さんは知りません
この境地に至るまでの過程を
この境地に至るまでの努力を

多くの大人は子どもを従わせようとします
多くの大人は子どもは大人よりも能力が乏しく、自信もなく、何も知らないはずだと思い込んでいます

本当はそんなことなくて、
そんな風に思ったら子どもは背を向けてしまうはずで、
本当の意味で信頼し合える家族、親子でいられるはずもなくて

私が塾講師になった頃は、
他でしてくれないことを塾で詰め込む、というのが普通でした
今でも多くの塾がそうでしょう

でも、いつからか学校が、厳しく勉強内容や勉強量、勉強法まで細かく指導するようになり、子どもたちは学校を避け、信用しなくなってきました
それが、
史上最高の不登校児数に表れているのだと私は考えます

そういう時代に塾がどのようなニーズを背負っているのか、私からは一般の塾は遠い世界になったので知りませんが、
私はいつからか、
子どもをいかに「ほぐすか」を考えるようになっていました
あるとき小学校の学習支援のボランティアの会議のとき、
その役目を学校が担えないか、校長先生に直談判してみたことがありました

今や子どもたちは、塾や、家庭で厳しく勉強をさせられ、自由に自分なりに考えて間違えることも許される、という環境がなく、窮屈な思いをしている
思い切って学校は緩めてみてはどうか、
学校の先生になら、ありのままを見せられる、というオアシス的存在を目指せないか、と
返ってきた答えは期待を遙かに超えるほど、期待通りでした
「何をおっしゃいます。それは各家庭の決めること、学校が緩めるなんてあり得ないんです」

そう、各家庭は習いごとや学校からの指示である宿題を子どもに強要する
学校は課題を緩めないし、登校してきた子どもを管理する
子どもをリラックスさせるのはうちの役目じゃありません、とお互いに言っている

それで気づきました
それで覚悟しました
それならここを選んでくれた子を、思い切りほぐして緩めて、本来の子どもの力はこうして自然に無限に伸びるんですよ、ってことを証明しようと

この子の合格した高校は、県内の多くの子が目標にする学校です
合格発表の後、
多くの塾がこの高校の名前を大きく書いて、合格者数を誇っていました
毎日遅くまで塾に通って、おかげで合格できました!という感謝の合格体験記を顔写真とともに掲載していました
週に1日2時間のDKは、私が管理して受験勉強をさせることなどありません
それぞれが自分で決めたことを自分に課して、入試まで努力を続けます

ここ数年、どんぐり学舎から8年とか9年とか通い続けた子達の高校受験の結果や、高校に進学してからの状態を見て、小さい頃から進学塾通いをしたり、早期教育でガチガチに鍛えたり、宿題や家庭学習を親がしっかり管理したりしなくても、こんな風に自分の力だけで伸びていくんだ、ってことを目の当たりにしています
それこそ、私は何もしてません

でも、
小学生を見ていても、そうはならないかもしれないな、と思う子もいます
それはどんな子かっていうと、
親御さんが心から信じ切れていない子です
親御さんが子どもを尊重せずに、自分の思うようにしてしまっている子です

子どもを信じること
家族が信じ合うこと、尊重し合うこと…
ごく当たり前のことだと思っているけど、
実はすごく簡単なことのようで、
難しいことなのかもしれません
私から見ると、
子どもを信じ、妻を信じ、尊重し、
見事に見守りに徹したこのお父さんさえも、
「何もできませんでした」って言ってしまうくらい、
地味で、地道で、目立たないあり方なのかもしれません

それがどんなに素晴らしいことか、
それがどんなに難しいことか、
ご本人にはわからないのかもしれません

お見事でした
本当に、ありがとうございました