年はじめの小学生の開講日、
なんてことなく、いつもどおり、子どもたちは学舎に集まってきて、
なんてことなく、いつもどおり、「さとちゃん、今日なにする?」とワクワクの眼差しを一斉に向けられ、とっさに思い出したこのゲームを始めました
それは、ワンペアになる言葉を何組か作って、子どもたちの背中に貼り付け、
自分だけは自分になんて言葉が貼ってあるか知らない、でも、他の人の背中の紙を見て、全員がワンペアずつに分かれ、最後に自分の背中の紙の言葉を予想して当てる、というゲーム
なんていうゲームかは忘れたけど、子どもの頃に大勢でやったことがあるゲームでした
6人(学舎の教室のマックス)来ているこのクラスだからできるゲームです
私は子どもたちに見せないでこの3ペアを書き、順に子どもたちの背中に貼り付けました
私に背中を向けて並んでワクワクしながら待っている子どもたちの可愛らしいことと言ったら…
さて、全員貼り付けたのでそれぞれが背中を確認しながらペア作りを始めます
これはあっという間に終わりました
6人、3ペアですから
問題はここからです
私が適当に作ったワンペアの言葉です
他にも候補はあるので、必ず「それ!」ってわけじゃないんです
それでも、
ひとりひとり、自分の背中の言葉を予想して、「ナイフ!」とか「地球!」とか言うんです
正解すると「わーーー!!」ってみんなで拍手!
そんなこんなで、全員が自分の背中の言葉を当てて終わりました
ほんとは30人くらいでやると面白いんだよね
と
私がつぶやくと
そうだよね、もっといっぱいで、学校とかでやったら絶対面白い!
学校でやろう、って言ってみる!
でも、このペアの言葉がなかなか思い浮かばないのよね
と
また私がつぶやくと
たしかにーー
あと何があるだろう
どんぐりの準備をしながらみんな首を傾げます
ゾウとライオン!
空と海!
時刻と時間!
(このクラスの双子の)RちゃんとSちゃん!
結構あるじゃん!考えるの楽しいっ!!
なかなかどんぐりが始まりません
別に2人じゃなくてもいいかもなあ
たとえば3人ひとセットでも
大勢ならもっと多いグループでもさ
と
また私が入試問題を開きながら呟いてみると、
そうだよ!2人組とは限らないよ!混乱しそう!!
いつまでも、ペアの言葉を思いついては大きな声で発表する子もいたけど、
いつの間にか、教室はしーーんと静まりかえり、
いつものどんぐりタイムに移っていました
さっきまで大きな声で笑ったり、拍手したりしていた子どもたちが、
誰にも指示されることなく、自分のクロッキー帳と向き合い、
静かに集中して問題を解いています
私は、入試問題を解きながらあらためて目の前の子どもたちの小さな後頭部や背中を見ていました
なんて素敵な光景なんだろう
と
そして、解けた子からどんどん私の前に並びます
それぞれの子どもたちの頭の中、心の中にあるものが、
真っ白いノートの紙面にあふれ出ています
私はなんて素敵な場面を見せてもらっているのだろう
解けた子からくらへ移動して、ぎゃははと笑って遊んでいます
そんな声が聞こえてきても、自分のノートに向かい続けます
終わってくらに移動してみんなに加わらないこともあるけど、
別に拒絶しているわけでもない
それぞれが自分の好きなことをして過ごすけど、
みんなでするのも嫌いじゃない
そんな時間を子どもたちは過ごして帰ります
今年もずっと、子どもたちが安心してここへ来て、
私に、いっぱい、頭の中や心の中をみせてくれますように
そんな子どもたちを、御家庭で親御さんたちが大切に育ててくれますように