半年近く前の連載だから、
そろそろ具体的に紹介してもいいのかな…とずっととっておいた特集記事について書いていこうと思います

1回目の専門家は、小児科医の成田奈緒子先生でした

過度な「投資」子の心身に不調も

「高学歴で高収入の親ほど子どもの早期教育に走りがち」
小児科医の成田先生はこう指摘します
行き過ぎた教育で子どもが心身に不調をきたすケースも
早期教育の弊害とは?

相談に来る方たちを見ていると、早期教育に熱心な方たちは40歳前後で子どもを持った方が多い印象です。本人たちは「もうあとがないから子育てに失敗できない」と言う

経済的な余裕もある場合、子どもに際限なくお金を使え、あれもこれもと早期教育に走る傾向があると思います。

「子育てに失敗できない」という言葉からわかるように焦っていると思います
「高学歴になってほしい」とはっきりとは言わないまでも、「子どもが幸せに暮らせるように最良の教育を受けさせたい」「子どもの才能を見つけてあげるのも親の仕事だ」と話す方は多い
自分が達成できなかったことを達成させたいという「リベンジ型」の保護者もいます
外資系企業に勤める高収入の父親で、医学部に行きたかったという自分の思いが強いあまり、小学3年の子どもに夜中2時まで勉強させてしまうケースもありました

社会的地位が確立されればされるほど、それが一番の幸せだと思ってしまう
それは偏見なのですが、その考えをぬぐいされないのです
高学歴の方は経済的に裕福な方も多く、投資感覚でどんどん教育にお金を注いでしまうのも厄介な点です
子どもにかける費用が多すぎるのは、高学歴、高収入の方ならではの失敗だと感じます

私のところに相談に来る方の場合、ほぼほぼ子どもの体や心に症状が出ています
塾の試験を前にプレッシャーからおなかが痛くなり、トイレから出て来られなくなる
過干渉で育てられた子どもは不安感も強く、自己コントロールが難しいので、受験や発表会などが近づくと不安だらけで吐き気や頭痛など様々な身体的症状があらわれることがあります

心の症状では人が怖くなって関われなくなったり、話さなくなったりするケースがあります
家から出られなくなったり、自分はだめだと否定して自傷行為に走ったりするケースもあります

もうあとがない…
考えてみると、それも生存本能なのかも…と、この記事を読んだときは思いました
自分の遺伝子を受け継ぐ我が子
その我が子によりよい成長をさせたい、というのは親として当然思うことですが、
その本能を利用して、
…悪用?して、
これをしておかないとよりよい成長は望めないですよ
今からはこれが最低限の準備ですよ
優秀な人は幼少期にみんなこれをしていたんですよ
そんな風にささやきかけて、
強調して、
いかにも、それがないとまともには育たない、優秀になれない、と決めつけているような言い方で
そんなビジネスがどんどん増えていて
本当は親が自らの存在だけでじゅうぶんにできたはずのことを、
親自身が、本能すら見失って子どもをどう育てたらいいかわからなくなってしまっている
今は、そんな時代なのかもしれない、と思ったのです

我が子が幼かった頃のことを思い出すと、
どこかお教室へ入れたり、なにか教材を買ってきてやらせたり、なんてこと、微塵も思いつかなかったのですが、それはなぜかというと、
そんなことより、
ちゃんと食べること、ちゃんと遊ぶこと、ちゃんと会話すること、ちゃんと排泄して、ちゃんと清潔にして、ちゃんと眠って、ちゃんと…当たり前の日常生活が、整っていることがまず大前提だと考えていたからです
その中には、
たとえば「ちゃんと食べること」であれば、
家庭の食卓でしか教えられないことがあります
ただ餌を摂取する動物とは違い、人間の食事は、家族や、仲間と囲むことが多いのですから、食べ方とか、食べ物への敬意とか、大げさにいえばそういうことも、食卓でしか見せられないし、教えてあげられません
どちらにお茶碗をおくかとか、お箸の使い方とか、口をちゃんと閉じてよく噛むこととか、「食べる」の始まりからそういうことは見せて、教えていかないと、途中では直せないのです
直すのは大変だし、親以外の誰かに指摘されるのも、とっても恥ずかしいことだし、指摘されないまま、あまりお行儀がよくないなあって思われる人になっても困ります

その時はそこまで先のことは考えていないけど、とにかく、食べることに関してだけでも、他の、計算やら英語やらを教え込む前にしっかりと体得していなければならない人間としての重要事項だと私は思っていました
最初から自然に、親が手本を見せたり、教えたりすれば、途中で直すよりずっと、厳しくしないで済むし、ストレスもありません

早期教育が悪いというより、そんなことをする暇はないというか、そんなことを身につける前にもっと基本的で大事なことがある、と私は思っていたんです

成田先生も、このあと、こんな風にアドバイスしています

(早期教育の影響で心身に不調が出たと思われる親子に対して)
最初に行うことは生活習慣を整えることです
寝ること、起きること、食べること、反射的に体が動くことができなければ、受験どころではありませんよね
脳をよい状態に保つには、生活習慣が何よりも大切です
家庭生活を律動的に行うことができなければ、学業成績がよくても本末転倒
18歳以降に自分を律しながら自立して生活することはできません
生活リズムを整え、生きるために必要な脳の土台を育ててほしいです

(幼少期に気をつけることは?)
5~6歳頃までは特に睡眠や食事などの生活習慣を整えてください
3歳児の睡眠時間は昼寝1時間、夜寝11時間が理想的です
5歳児なら11時間
小学生は10時間の夜間連続睡眠をとってほしいですが、今の日本の状況では難しいので5歳児なら10時間、小学生なら9時間を確保してくださいと伝えています

生命維持に必要な脳が土台となり、「お利口さん脳」、自分で考えたり、行動したりするのに大切な脳が育っていくのです

小学生以降も十分な睡眠をとらないと、勉強しても脳の中に情報が整理整頓して入っていかず、スポーツでも怪我が多くなります
親が一生懸命、習いごとにお金や時間を費やしても、生活習慣が乱れたままでは、どれも実を結ばないのではないかと思います

生活リズムは子どもを授かってから私が一番大事にしていたことかもしれません
学生時代に勉強した発達学でも、どんな勉強会や講演会でも、
子どもの生活リズムを整えることは子どもの将来に関わる、と専門家は必ず言っていたので、
子どもを授かる前から考えていました

とにかく、体と脳を健康に育てておけば、あとあとどんな道に進むにしても大丈夫だろう、漠然とそう思って、それだけを目標にしていました

だから特別にどんな技を身につけさせようとか、どんな知識を植えつけようとか、そんなことよりずっと前の段階の、どんなことでも積極的にクリアしちゃうような生き生きした心身に育っていればいいんだ、ってなんとなく、新米ママの私は思っていたんです

だって、
いくら鍛えたって、その子にはその子の特性があります
親しい友人で双子がいたのですが、
同じものを食べて、同じ環境で育っているのは間違いないのに、
勉強面や、運動面で全く違う特性を持っていました
だから、
どんなことを得意として、どんなことを選択していくのかは、
本人次第だ、と思ったのです
どんなことでも、本人が希望して得意になりたいとか、選択したいと思った時に、
その土台となる心身が頑丈に育っていれば、あとは本人次第だろう、と

だから、食生活や、睡眠、そして、それらの基本となる生活リズムを重要に思っていました
子どもはルーティンが好きなので、毎日同じリズムで生活するようにしました
成田先生も今の日本の状況では難しい、とおっしゃっていますが、
確かに、私のような自営業者ならなんとでもなるけど、
お勤めに出ている親御さんには時間の調整が一番難しいとは思います

それでも、
各家庭で、できるかぎり整えることはできます

ワーママには無理
そう言われたこともありました
在宅仕事でいいよね、調整ができて

子どもが保育園時代、保護者同士で話すと、よく言われました
確かに仕事をしながら煮込み料理なんかも作れちゃうのは在宅仕事の特権です
隙間時間で家事ができますから
だから言い返せませんでした
でも、当時私は、3時間か4時間しか寝ていませんでした
そもそも夜の仕事なので、保育園に預かっていただいている間は教材作りや授業準備、
定時の4時にお迎えに行くと、そのあとは寝かしつけまでのカウントダウンです
5時半には晩御飯
7時には入眠儀式(絵本の読み聞かせと、電気を消してからのわらべ歌と語り)
7時半には完全入眠で、私はそのあと授業です
保育園に迎えに行って、5時半のご飯までに入浴もしますから、
晩御飯は迎えに行く前には仕上げておき、
迎えに行っても子どもを急かしたり、焦って帰ろうとしないで済むよう、なんなら隣の公園で少し遊んだり、遠回りして遊んで帰ったりもしていました
それでも、
5時半には晩御飯です
夜、
授業が終わるのは10時だったので、
その後、保育園の連絡帳を書いたり、翌日の食事や家事の準備をしたりして眠ります
でも、すぐに朝が来ました

それでも、なんとかなりました
毎日充実していました
子どもはどんどん成長するので、
自分でできることもどんどん増えていき、
当たり前ですが、トイレやお風呂の補助もすぐに要らなくなります
入眠儀式も、小学校高学年になれば不要です
おやすみ~と
眠りに行きます
あっという間に子育て期は終わってしまった印象です
確かにワーママよりずっと楽かもしれません

働いていることを言い訳に、子どもの生活リズムを崩すことは、
私にはできませんでした
都会で暮らすフルタイムワーママの友人は、
シングルマザーでしたが、やはり、子どもの生活リズムを何より優先しました
私なんかよりずっとすごくて、尊敬できました
なにより、
動じない信念が彼女を守っていました
うちと同じで、テレビも動画もスマホも使わない育児で、
だから時間は自分次第、と
その方が楽、と言っていました
デジタル機器は時間泥棒だから、
それらに子どもが乗っ取られたら、生活リズムどころではないのは当たり前だよ、って
言ってました
最初からなければなんでもないことなのにね、とよく言い合ってお互いを励ましていました
永遠に続くわけじゃないのにねって

それから、子どもの健康面で言えば、
別の友人では、生まれつき体の健康状態に課題を抱えた子を授かった人がいます
その子は人生をあきらめるべきではもちろんありません
親である友人も、当然ながら全くあきらめていません
脳や体の土台を育てるのが幼少期であることも、なんら健常児と変わりません
大事なのは初動で、
目標はその子が自律して生きていくことです
そう、自分の人生を楽しめる人間に育つこと
それはどんな子にも共通する絶対条件です

その話になるとまた色々書かなければならないことがあるので、
それはまた別の機会に

早期教育の専門家の連載の紹介は、続きます