中学生は期末テストの時期を迎えています
D→K Room(以降DK)では、基本、「独学支援」なので
期末テスト前も特別な授業や課題は出さず、ひたすら学校から課された課題を使ってこれまでの復習や、テストに向けての備えを個々に進めるのをサポートしています
もちろん、学校の課題をテスト前日まで必死になってやっている、という状態は望ましくありません
どうせなら出される課題を優先的に終わらせて、その後に自分の弱点をどうにかするための対策を自分でするのだよ、と、必要に応じてテキストを貸し出したり、勉強法を提案したりしています

以前のブログにも書きましたが、
中学生が「受け身」勉強なのはこの「課題」の使い方の指定の細かさ、つまり、勉強の仕方までも指定してくる大人の誘導が原因なのではないかと考えています
それに加えて、進学塾に通っている場合は「テスト対策授業」をするのが普通ですから、さらに中学生たちは「自分の力で考えて勉強する」チャンスを失います

それでも点数がとれるならいいじゃないか、と思う方は多いと思います

課題もこなし、がんじがらめにされずに自分の勉強法を貫く子も中にはいます

でもほとんどの子は、自ら考えたり、工夫したりすることもなく、ただ、言われたことだけをこなし、課されたことだけをこなして時間を使い果たしています

同じ学校で、同じ課題を出されているはずなのに、
かたや、期末テスト範囲表が配布される時には課題のほとんどを既に終えていて、
かたや、期末テスト前日まで必死になって課題を埋めている…という生徒たちも見てきました

前者は、生粋のどんぐりっこによく見られる傾向ですが、どうやら、先を見通す力と、自分で考えてスケジューリングする力に長けているようです

他塾から来たばかりの中学生を教えていて、何度も聞いた言葉がタイトルの言葉です

「覚えていないから解けません」

小学生でも、どんぐりを始めて間もない子が、
「習ってないからわかんない」と言いがちですが、
それと似たようなことかもしれません

どんぐり問題は、解き方を教えて解かせる問題ではありませんから、
「習っていない」のは当然です
そう訴えられても絶対に教えませんし、自分で自由に考えて解いていいんだよ、としか言いません
すでに「教わって解く」ことに慣れている子は、もうここでどんぐり問題を嫌いになることでしょう

中学生でも同じです
以前いた塾のテキストを持ってきてもらうと、
上部に例題が掲載されており、その解き方をなぞればその下の類題が解けて、
類題が解けたら次のページの演習問題へ、という構成になっています
ごく一般的な問題集の編成だとは思うのですが、
書き込み穴埋め式の例題を見ると、指示されたこと、板書されたことをただ書き込んだような形跡があり、「なぜここはこうなるの?」と尋ねても「覚えていません」と答えます

「覚えていません」は重症なのではないかな、と考えます

もし、自分の頭が膨大な量のことがらを正確に暗記できる暗記マシーンならば、
次から次へと問題と解答を暗記していけばいいと思います

実際、私も中学生の頃、先生の説明を聞いてもよくわからなかった問題は問題集や参考書の解法を書き写し、まずは覚えて解けるようにしました
ひとまず、定期テストくらいなら暗記だけで適当な点数はとれたので、その勉強法は間違っていないかも、と思いこんでいましたが、その方法ではどうにもならないことに早々に気づき、ひとまず模範解答を見て、理解できるまで何度も図を描いて考えて、自分の方法で解けるようになるまで練習する方法に切り替えていきました

もちろん、解法を覚えるのは大切なことです
でも、
忘れたら解けなくなってしまう、というのが難点です
それは本当に、「覚える」だけで「理解する」に至っていないからなのです

図のような動点の問題を質問されました
「全然わかりません」
「なんか、やったような気がするけど覚えていません」

この問題は教科書の基礎レベルです
ひとまず、問題文を読んで、この動かない図形が頭の中で動くかい?
と尋ねました

この問題を理解するために、同様の三角形を最低でも3つは描くことになります

その作業を経て、しっかり理解すれば、
テスト当日は全て描かなくても解けるようになっているはずです

それでも、ただ描き写すことさえせず、
点Pがどのような旅をするのか読み取ろうともせず、
「覚えていない」と敬遠してしまう子は多いです

『動点の問題』は難しい…と嫌がる子が多いのです

こんなに面白い問題はないし、入試問題でも頻繁に出題されますから、
ぜひ、覚えようとなんかせずに理解して楽しんでほしい…といつも思っています

覚えたことだけで問題を解くのは中学校からはとても難しいです
応用問題のほとんどない小学校のテストは、ただの教科書の反復に過ぎませんが
中学校では本当にただ覚えるだけのことも膨大な量になってくるので、
その他、数学の解法まで暗記するのは至難の業でしょう

「覚えようとしなくていいんだよ」
生徒に言うと、とても驚いた顔をしていました
「勉強とは、解法を覚えることではないんだよ」
私は続けて、言いました
生徒はきょとんとした表情で、腑に落ちない様子でした

自分で考えて勉強する、という経験が、ほとんどないのだな…と感じます

小学校時代からずっと、「やれ」と言われたことをやり、
中学校になっても与えられた課題をこなすだけで過ごしてきて、
授業中も、自由に考えて解くことなどほとんどないのだろうな…と

なんだろう、かたや、「こう習ったけどなんか納得いかないんです」と
しつこく質問してくる子もいます
そういう質問にはわくわくして、いつまでも話や解説は続きます

とにかく言われた通りにやりなさい、まずは覚えなさい、
掃除の仕方、給食の食べ方、並び方、集まり方、遊び方…
そう言われ続けている子どもたちは、
最終的には誰かにスイッチを押してもらって、誰かにハンドルを操作してもらって、
誰かに方向を決めてもらわなければ動くこともできなくなっていきます

そして、本当に覚えなくてはならない事柄を、
本当に覚えることもできないまま、
勉強が苦痛で、つまらない、と脳を閉ざしてしまいます

勉強は苦痛じゃない
苦痛なのは、なにもかも縛られていること
自由がないこと

自分で考えてもいいんだよ、っていう経験がなさ過ぎて、
勉強が本格的になる中学生になった頃には、
勉強する頭脳ではなくなっている
そんな状態がよく見られる、「覚えていないから解けない」あるあるです