テレビを見ない印象の強い「どんぐり系」ですが、
私は興味のあるテレビ番組は録画して
仕事のあとのリラックスタイム(深夜)に結構見ています

ドラマなら映画の方が好きで、暇さえあれば映画を見ていますが、
テレビドラマでも興味のあるものは1回目を見て、
面白かったら継続して録画しています

最近見ているドラマのひとつは
『僕らは奇跡でできている』(フジテレビ 火曜 21時)
という高橋一生さん主演のドラマです

主人公は大学で動物行動学を教える講師
彼をとりまく様々な人たちが、彼との関わり合いの中で自分自身を見つめ直している…
そんなようなドラマです

なぜ彼と関わると自分を見つめ直すことになるのか
それは、彼がとても変わった人だからです

大好きな動物のことなら知識も広く深く、夢中で取り組むのですが、
約束を忘れてしまったり、強く言われると大人なのに萎縮してしまったり、
言わなくてもいいことを相手に言ってしまったり…

端から見るとハラハラするような人格なのですが、
彼をよく理解して、幼少期から支えている人間が少なくとも3人いて
…それは、同居して生活面を支える家政婦の女性、
大学への就職を斡旋したらしい大学教授、
そして、森に住む彼の祖父なのですが、
彼らが、主人公の性格をよく知っていて、
とても穏やかに接し、「それでいいんだよ」と認めているのです

彼と出会ったばかりで、まだ彼をよくわかっていない人たち、
たとえば、ヒロイン的存在?の女性歯科医師、大学の生徒たち、先輩、
当初は彼の言動に翻弄されたり、バカにしたりと、
全く向き合うこともしなかったのですが、
彼を知るにつれ、彼に興味を持ったり、また、
彼の言動に自らを省みたりするできごとが起こっていきます

小学生の男の子で、
「普通にちゃんとできない」ことで
いつも先生やお母さんに叱られてばかりの子が出てくるのですが、
主人公は、その子と心を通わせていきます

言わなくていいのに~!!っていう言葉をつい言ってしまって、
周囲を凍り付かせる主人公、
夢中になると声をかけてもまるで気づかず、
ひとりでにこにこしながら没頭する主人公、
強く叱られるとビクっ!と萎縮して、目も生気を失う主人公、
そんな様子を見ていると、
時々出会う、「発達障害」と診断された子どもたちを思い出します

学校で疑われ、病院で証明され、「発達障害」と判定された子どもたち
親は戸惑い、扱いに困惑し、
幼少期から彼らの性質に付き合ってきて学校に上がる頃には疲れきっています

それでも彼らの行く末を二分するのは、
「周囲の理解」以外の他にはありません

私が出会ってきた子たちの中には、大きく行動に移すタイプもいれば、大人しく、自分の世界に閉じこもるタイプの子もいて、一概にその接し方をマニュアル化することなどできないのだな、と実感してきました
書店には、「扱い方」的な本も並んでいますが、ずーっと昔に読んでみたものの、結局、どの子も(発達障害じゃなくても)その子その子で違っているし、マニュアルなど役に立たなかったのです

どの子も(発達障害じゃなくても)何か思っていて、何か抱えていて、何か、近くの大人に伝えようとしています
大人は、子どもを動かそうとせずに、ただ、その声を受けとめればいいのに、
何かことを起こされる前に、と様々な対策を練ってしまいます

確かに学校での集団生活や、
教科書通りの勉強を筋道立てて習得させていくのは
難しいことかもしれません

それでも、彼らの存在価値や、存在意義など無視して、「普通にちゃんとできる」ことを強要するのは、彼らのその後の人生にとってどうなのだろう…と考えさせられます

結局、このドラマの主人公も、子どもの頃は問題児として扱われ、自分でも自分が好きになれなかった、と告白する場面があります
周囲と交わることも苦手だったから、余計に動物行動学に没頭していったのでしょう
でも、大人になっていくにつれて、自分の得意なことに周囲が関心を寄せてくれ、話を聞いてくれるようになり、周囲も、そして、彼自身も変わっていったのだと思います

あの子たちも、こんな風に、身近に「そのままでいいんだよ」と支えてくれる人や、歯医者さんの予約を忘れたらちょっと叱ってくれる人がいて、好きなことを仕事にして没頭できるような、そんな人生を送っていたらいいな、主人公の演技を見ているとあまりにも彼らにそっくりで、毎回、彼らを思い出します

また、模範的優等生で、
主人公の言動をずっと不可解に思い続けてきた榮倉奈々さん演じるヒロイン的存在も、
彼と関わることで少しずつ自分を見つめ直していきます

ちゃんとしなくちゃいけない、仕事も私生活も努力しなくちゃ
周囲に信頼され、自立して、しっかりと生きなくちゃ
そんな女性歯科医師なのですが、その価値観も、少しずつ、揺らいできています

「何もしないなんて無理っていうけど、
僕は毎日「何もしない」をやってるよ」
プーさんの言葉を聞いたクリストファーロビンみたいにねhttps://www.disney.co.jp/movie/pooh-boku/wisdomofpooh.html

たとえば有名な成長曲線のように、
母子手帳にも載っているアレを、
気にしないように、って思っても
ついつい比較して気にしていたあの頃みたいに、やっぱり、
子どもが学校に通い始めると、「うちのこは平均以上かしら、以下かしら」
って、気にしないようにしていても気になってしまうかもしれません

でも、成長曲線から外れた子たちがみんな不健康で大変なことになってしまったか、
っていうとそんなことはないように、
学校で平均以下だったら、
集団行動になじめなかったら、
教科書通りのことを理解できなかったら、
それは大変な問題児だ、なんてことはなくて、
ただ、学校という組織の中では、教科書、っていう基準の中では、
ずれてはいるな、というだけこのことであって

ずれているからダメだとか、
組織になじんで、学校の勉強を頑張っているからダメだとか、
そういうのではなく、
それぞれの子どもたちは、毎日、一生懸命生きているわけで

主人公も、歯医者さんも、それぞれに、小さい頃からがんばって、生きてきたわけで

その両方を、まるで教え子の成長を見ているかのように毎週楽しみに見ている私です

いずれにせよ、
親は他の誰に理解されなくても、一番の理解者であるべきで、
そして、その子がどんなであっても、絶対に、味方であるべきで
親一人では抱えきれないならば、一緒に理解者であってくれる人を探して、
どうか子どものことを優しく、長い目で見続けてほしいのです

それにしても、最近、「発達障害」(あえて、好きじゃないこの言葉を何度も使いますが)らしき人を主人公にしたドラマが多いような気がします

以前からちょいちょいあったのですが、
共通して、彼らは「よい人間」で、周囲の凡人を改心させていく、いわゆるヒーローものです

世の中を変え、歴史を塗り替えるのはこれまでもいつも「発達障害」の人たちでした
10000回の失敗のあとの成功、なんて後で書けばこんな言葉になるけれど、
わたしたち、10000回も失敗してでも挑戦し続けたことなど何もないはずです

私財をなげうって人を救った人たち、自らの危険も省みず村や国を守ろうとした人たち、
みな凡人ではありません

周囲の身近な人にとっては、とても大変な時期があるのですが、
世の中には、時に、必要とされる重要人物となってきたのです

のちの、ヒーローを育てているのかもしれません