日がのびて、
春休みで、
また始まってしまった、「庭での鬼ごっこ」

鬼ごっこは私も大好きだし、
子どもに「鬼ごっこをしてはいけない」なんて言いたくないんだけど、
これは、もう、15年葛藤を繰り返し続けた結果、
どうしても、どうにもならない状態をなんとかするために…

ゴメン、どうしてもまた、芝生を復活させたいの…

庭のあちこちに立て札を立てました
教室にも注意書きをしてあります
心からのお願いとして、何度も子どもたちに説明もしました

庭を造り始めてから15年以上、
わが子が幼い頃は一面芝生の緑の庭でした
真ん中に砂場があって、築山もありました
うさぎ小屋があって、うさぎを放して遊びました
北庭には金魚の池も掘りました

わが子が成長し、お友だちと庭で遊ぶようになると、
芝生はところどころ剥げて傷んできたけど、
でもまあ、また植えればいいか、とメンテナンスしながらも
そんなに神経質に考えてはいませんでした

生徒さんたちが集まるようになると、
庭の木で木登りしたり、
わが子の自転車や三輪車を乗り出して遊ぶ子が増えてきました
私は室内にいて、全然気づかなかったこともありました
授業が終わって庭に出ると、
遊び道具が散乱していたり、
庭の置物が移動していたり、壊れていたこともよくありました

普通、よその家のものを、自由に使う…??
親御さんたちは見ていなかったのかなあ…と
頭を抱えて悩んだことも多々ありました

「禁止」ってするのが嫌いなので、本当に悩みました
子どもと、親御さんの良心を信じて、ずっと言えずにいました

それでも、
いつの間にか庭の芝生は全滅し、ただの土の庭になってしまうと、
風の強い日は砂埃が吹き荒れ、洗濯物も出せず、
雨の日は庭中のあちこちに池ができました
グリップ力の強い運動靴で
毎日のようにのべ何十人もの子どもたちが遊んでいるのですから、
そうなるのもしかたありません

何年も、その状態で我慢し続けました

でも、ある雨の夜、
池ができた暗闇の庭を
水没しないようにおそるおそる歩いて渡る中学生の生徒達を見ていて、
思ったのです

申し訳ないけど、私は教室を営んではいるけれど、
庭を遊び場として開放するほどの余裕はないんだ、と
(子どもがうんと小さい頃にはそれもできたのですが)
立地条件によっては、
どんぐり教室のすぐ目の前で、自然遊びを満喫できたらいい
どんぐり問題が終わったら、自由に外で思い切り遊び回れたらいい
でも、
この場所では不可能なんだ、と

だから、「くら」を作りました
これも我が家の財産ですが、
こつこつ買いためたカードゲームやボードゲームを
自由に使えるようにしてあります

…それも、すでに、折れてしまったり、なくなってしまったり…
でもまあ、仕方ないと諦めて…
もう悩みません…そして、信じ続けます、子どもたちと、保護者のみなさんを

それで、
また、大量の芝生を少しずつ仕入れて、敷き詰めました
まだ根付いていません
だから、協力を仰いでいます
「芝生がちゃんと根付くまで踏まないで」って

それで、立てたくもない立て札や、注意書きをして、説明を重ねました

そして昨日、
思い切り庭を走り回って鬼ごっこをしている生徒達がいました
道路にも飛び出していました

道路に出て遊び、ご近所の方に注意されたこともあります
これはもう、どんぐり学舎存続の危機になりかねません
何度も注意しているけれど、どうしても守れません

それでも、私は丁寧に話します

「あのね、芝生はまだ赤ちゃんでね、まだまだ根っこが弱いの」

そして、
「私には夢があるの。
芝生がちゃんと根付いて、ふさふさの緑色になったら、
庭に寝転がってどんぐりできるかもしれない。
だから、それまでみんなで守ってほしいの」

鬼ごっこしていた生徒達は、申し訳なさそうに、
それでも、
私の夢の話を興味深そうに聞いてくれて、
「うん!わかった!!」と頷いてくれました

子どもたちの気持ち、行動の意味、私にはよくわかります
でも、
時と場合によっては制止しなければならないこともあります

そんな時は声を荒立てず、きちんと理由を話します
毅然とした態度で言うこともあれば、
今回のように、夢を共有してもらおうとお願いすることもあります

ご家庭ではいろいろな話をしてください
学校のものでも、
家のものでも、
どんぐり学舎のものでも、
持ち主はいて、大切なもので、
大切にしている人がいて、
それは、勝手に誰でも触っていいものではないかもしれない
子どもに窮屈な思いをさせたくはない、でも、
約束を守るときは守れる子になってほしい

そんなことを思った昨日でした


※写真は我が家の庭の「どうぶつコーナー」
 小屋を建て替える前の画像で、今とは少し違っています
 芝生も植える前です
 どうぶつたちのことも、大切にしてくれている子もいれば、
 生き物と、そして、家族の一員だと思っていないのかな?
 という残酷な(?)子もいます
 「これ、いつ死ぬの?」などという質問も周期的に出てきます(苦笑)
 もっと、いろんな思いを…いろんな体験をしないとね
 足りないんじゃないかなあ、まだまだ
 鬼ごっこも、し足りないんじゃないかなあ、まだまだ


近所の公園に移動して、思い切り遊んで帰ってね
そして、植物でも小動物でもいい、生き物を育ててみてね
思いやりはなにより大事…本当に
…どうかどうか、いろんなことを味わって育ってね

と、願ってやみません