私が娘ふたりを育てている時に、どんなことよりも大切にする、と決めていた優先順位の不動の1位は、
「心身ともに健康であること」
ということでした
(現在高校生と中学生。子育ては終わってはいませんけれど)
体を健康に、というのは何となく誰でも想像ができる方法があります
いつか親元を離れ、私の作ったご飯を食べなくなることを、生まれた時から想定して、私が作ってあげられる間はただただ、一生懸命子どもたちのご飯を作ろう、ということ
ね、想像できるでしょう
私が比較的「無添加」な母の料理で育ったので、長期保存のためや、人工的なおいしさ、食感のためのお薬がたくさん入っているものをわが子に食べさせることには抵抗があり、できるだけ手作りできるものは手作りしていこう、と最初から決めていました
そんなわけで、今でもできるだけ調味料から、そして去年からは毎日高校生のお弁当も作る日々ですが…その話はまたいつか書くとして…
では、心を健康に育てるって、どういうことでしょう?
はいはい、そうなると、なんだか胡散臭いことになってきます(笑)
なんででしょう
健康のために添加物の少ない食事を作ったり、農薬を多用していない野菜を取り寄せたりすることは案外褒められることもあるのに、心を健康にするために気をつけてますっ!的なことを書くと、「それは子どもの自由を奪ってる」「それは親のエゴ」みたいな、批判がわき出てきそう!
そんなことにもめげず、わたしが「子どもの心の健康」のために積極的に取り入れてきたことをご紹介しようと思います
…とはいっても、私が、順調にいけば母親になれそうだ、という時点で知っていたことは、まだどんぐりに出会う直前で、塾講師としての経験は10年ほど積んでいたけど、それがわが子の赤ちゃんからの子育てにどう関係しているのかよくわかっていなかったし、「これ!」と決めた、「体の健康」ほど決意できる方法が見つかっているわけではありませんでした
私だってまだ20代でしたからねっ!(あったんですよ!こんな私にも20代の頃が~!!)
それでも、17歳頃からはまっていたシュタイナー教育と、学生時代に学んだ心理学、発達学の影響で、以下、5つのことは決意していました
1.布おむつ&母乳で育てる
2.テレビ・電子音の出るおもちゃやゲームは使わない
3.CDなどの音楽もかけない
4.生後3ヶ月過ぎたら、毎日外に散歩に出掛ける
5.布や木や紙でおもちゃをできるだけ手作りする
そんなわけで、無事に「母親」になった私は、新生児期の娘を、上記のような環境で育て始めました
そんな時、ふと、実家にいるとき、書棚にあるたくさんの絵本に目が止まりました
そういえば、絵本を読んでもらっていたなあ、こんなにたくさん、ちゃあんと取って置いてあるんだよねえ~しみじみ…
そこで、なんとなく、1冊の古い絵本を取り出してみました
『ママだいすき』(まどみちお・ましませつこ)
※現在はリニューアルされていて、実家にある本と装丁も中身も変わっています
軽く、小さな本で、キャプションはとても短く、大きくてカラフルでわかりやすく優しい絵
これなら生まれたばかりの赤ちゃんでもわかるのかなあ
そこで、その絵本を実家から借りて帰って、まだ首のすわっていない長女の横に寝ころんで、上向きに読み聞かせをしてみました
※この写真は生後100日近くたっています
最初は、あまり反応がなかったのですが、毎日、毎日読んでいると、赤ん坊は赤ん坊なりに反応をしていることに気が付きました
特に長女が反応したのは、2つの目がはっきりこっちを向いているサルの親子のページと、いもむしがきれいなチョウになり「ママきれい」とキャプションのついた最後のページでした
赤ん坊なので、ただただ、手足をジタバタさせて喜んでいました
ゆっくり読んで、そのページを開いたまま、ちらっと横顔を見ていると、じーっとページの隅々まで見て、手足を動かしています
よく見ているなあ!と感心しました
たぶん、1ヶ月近く…この絵本は毎日読んだと思います
1日に何回も読むこともありました
そのうちに、「次はあの、大好きなサルの親子のページだ!」とわかるのか、ぐうっとこらえて、ページをめくった途端、「待ってました!」とばかりにジタバタを全開させるようにもなりました
私はその反応がいちいち面白くて、可愛くて、本当にこの絵本の読み聞かせが楽しみで楽しみで仕方なかったのです
それから、私は上記項目にひとつ、また大切なことを加えました
6.毎日かならず、絵本の読み聞かせをする
幼稚園教諭だった母の絵本好きと、私が子どもの頃から入り浸っていた児童書専門店が近所に移転していたことも手伝って、子どもにとってよい絵本を仕入れることは容易でした
実家には、ロングセラーの名作絵本がたくさんあったし、児童書専門店に行けばいつでも絵本のことを教えてもらえました
今でも頼りがいのある安心で、素敵なお店です(お店の紹介はこちら 絵本と童話「本の家」)
そして、「本の家」を拠点とする子育て支援「ぴよぴよの会」のスタッフとして手伝いをするようになったのも、長女が保育園に入園する前で、そこでも私は、たくさんの素晴らしい絵本と出会うことになりました
そして、「絵本の読み聞かせ・手遊び・リズム(ピアノに合わせて体を動かす独特の運動)」を主軸とした活動をしていたその会で、親子向け・スタッフ向けの勉強会がよく開催されていたので、そこでも絵本について、読み聞かせについて学ぶこととなりました
もちろん、その頃にはもう、「どんぐり倶楽部」とも出会っています
糸山先生もやはり、絵本の読み聞かせの重要性について説いていました
全てが、なんの違和感もなく繋がって、私と娘の生活に絵本は食事の次に欠かせない命綱とさえ思えました
「本の家」に事務局をおく、「時をつむぐ会」(ぴよぴよの会もその一部)が高崎市で毎年開催している、絵本フェスティバルという大きなイベントがあります
独身時代からスタッフとして手伝ってきたイベントで、何気なく見ていたたくさんの絵本と、その原画に触れてきたのも、大きく影響しているかもしれません
子どもを授かってから参加した回で、「お客様の応対が不要な時はとにかく絵本を読んでいてね」と言われたことがありました
その時は、もう、一生分、いいえ、三生分の絵本を一気に読んだくらい、会期中に大量の絵本を読みまくりました
途中までは、自分の好きな本、知っている作家さんの絵本ばかり手に取っていましたが、次第にそれも終わってしまって、初めての作家さん、見たこともない絵本、見たこともない国の絵本も読みました
会期が終わって、確信したのです
こりゃあ、すごい!子育てが下手でも、絵本さえ読み聞かせていれば、子どもは健全に育つ!
もちろん、この団体がセレクトする絵本は「本の家」推奨の絵本ですから、なんでもかんでも絵本ならいいってわけではないんです
普通の大型書店などにも絵本や児童書は置いてあるけれど、やはり専門店の目の付け所は、素人の私たちの心を揺さぶるのです
だから、私は、1日もかかさず絵本を読み続けました
まだ言葉も発しない頃からずっと
いつまで続けたかというと、小学校3年生までです
長女も、次女も、小学校3年生が終わるまで、毎日、欠かさず読み続けました
なぜか、そう言っている専門家が多いのです
そこで、私はそれをひとつの目安にすることにしたのです
我が家では、それが「入眠儀式」でもあったので、子どもたちも寝る前に絵本の読み聞かせ、というのは生活リズムの一部になっていました
さあ、寝よう、とベッドに向かう前に、絵本を持ってくる、というリズムです
午睡をしていた保育園年長さんまでは、休日など、午睡の前にも「入眠儀式」がありますから、もちろん絵本を読んでいました(ちなみに、保育園の頃は休日も平日と同じリズムを心がけました)
絵本の中では、様々な物語が展開していきます
いろいろな人や生き物が出てきて、色々な言葉が出てきて、読み手の心をゆさゆさと揺さぶります
考えさせられる結末や、ほっとする結末(幼少期はこの結末に尽きる、と教わりました)、すかっとする気分になる結末がありました
はちゃめちゃでナンセンスな絵本を絶対やだ~と笑いながら読み終えることも、ファンタジックで夢の世界のような絵本に、こんな世界に行きたいね、ってほんのり憧れを語りながら読み終えることもありました
悲しくて、泣いて泣いて、その絵本を本棚の奥に追放してしまうこともありました(『スーホの白い馬』など)※でもまた持ってくるのです…
最初に写真を載せた『きつねにょうぼう』などは読んでいて私が泣いてしまうのですが、大切な一冊です
時にはお父さん(夫)が読むことも…お父さんは短くてすぐ読み終わる本が好きだから、ってわかっていて、わざと長くて言葉の多い本をにやにや持っていったりとか…
「また『おしゃべりなたまごやき』かよ~!!『ころころころ』にしろよ~」って叫んで嫌がっていたりとか(笑)※それでも読んでくれる(笑)
3年生くらいになると、自分でも小学校の図書室の本を借りてきたり、私が読んでいた児童書を実家から借りてきたりして、絵本から少しずつ離れてはいくのですが、やはり、寝る前に読んでもらう絵本はその地位を確立されていました
そう、子どもにとって絵本は、その内容はもちろんだけれど、親が、自分のためだけに読んでくれる、寄り添って読んでくれるかけがえのない時間のためのものだったのです
だから、ぜひ、みなさんにもおすすめしたいのです
絵本の読み聞かせを、毎日、3年生まで、楽しんで続けられますように
そうそう、今でも時々するのですが、「絵本イントロクイズ」が私と娘たちの言葉遊びのひとつにあります
私「だいじょうぶだいじょうぶ、お弁当まだあったかいよ」
娘「『こんとあき』!」
私「ああ、あったかい、おまえはあったかいねえ」
娘「『よるくま』!」
私「こつこつこつこつ…」
娘「『いちごばたけのちいさなおばあさん』!」
…といった具合です
考えてみると…相当な、言葉の勉強にもなっていると思いませんか?…そんなこと、考えもしなかったけれど…
子育てに自信がなかったら、絵本の読み聞かせを日課に
あの日私が確信したのは、子どもの心を健康に育てるための大切なアイテムになり得ることはもちろん、言葉の持つ力、伝えるということ、そして、親子の交流のために、なんて素敵な効果があるんだろう!ということでもあるのです
次女の絵本デビューももちろん『ママだいすき』でした
でも、次女の生まれた時には年小さんの長女がちいさなお母さんでしたから、隙あらば次女のことを私と同じように世話をしようと頑張っていました
こんな風に
いつか、娘たちがこの家を出て行き、
もしかして、母親になる日が来たら、今の絵本の部屋に入って気づくでしょうか
そうだ、わが子に読み聞かせをしよう、と
だから、絵本の部屋はそのままにしておくつもりです
私にとっても宝の山だから
※今でも娘たちは、そっとその部屋で絵本を読んでいることがあります