7月20日(日)、東京都葛飾区亀有での糸山泰造先生の講演会に行ってきました
「遠くからわざわざ…」と、何人かの方に言われましたが、秘境グンマーでも私の住む高崎市からは新幹線なら50分で東京駅までは行けるんですよ(笑)
50分で別世界…みんな忙しそうで…でも、みんなおしゃれで素敵!…と思ったら、前回の上京時より圧倒的に海外からの観光客らしき方々が増えていてびっくりしました

会場には、私よりももっと遠くから駆けつけた方もたくさんいたようです
もちろん、高崎から、私の仲間達も何人も参加していました
そして、ずいぶん前から知り合いだったような気がする…通信添削の生徒さんの保護者さんや、Facebookのどんぐりつながりで出会った方々など、何人かの初対面の方とも会えました
千葉や、東京のどんぐり先生達ともお会いできて、とっても有意義な場に参加できたと思います

やっぱり顔を合わせて話す、って一番いいな!って心から思いました
もっともっと、顔を合わせていろんな人と話したいな!って思ったのです

糸山先生のお話も、ブログや、Facebookで書かれる言葉を読むのとはまた違ったインパクトがあります
今回も、「初めてどんぐりを知りました」という方も多かったようで、講演後、さまざまな反応があったようです

びっくりした方もいたことでしょう
もうすでにどんぐりを実践している方も、改めて、自分の家庭での取り組み方を見直すチャンスにもなったでしょう
これでは手が出ない…と落ち込んだ方もいるかもしれません

私は、何度も糸山先生の講演を聴いているし、弟子のひとりでもあるので、糸山先生の発信する言葉の意味はわかっているつもりです

突き放したような、極端に断定的な、時には脅しのような?言葉にとられることもあるかもしれません
でも、先生は「どんぐりを実践したいならば」という前提でお話しになっているのです
どんぐりを選ばないのはダメだ、どんぐり以外に道はない、などと伝えているわけではないのです
だって、
糸山先生は「どんぐり倶楽部」の創始者であり、「どんぐり問題(どんぐり倶楽部良質の算数文章問題)」の開発者なのですから
なんなら、開発者は「これが一番!」「これしかない!」と断言していいと私は思うのです
だって、そうでしょう?他の、工業製品や、食品など、みなさんそうやって自信をもって公言するではないですか「これが一番だよ」と堂々と言えるだけの、開発の努力をしているのですから
逆に、「いや…他にもっといいものがあるんだけど…」なんて、自信のない開発者では信頼もされませんし、消費者に選ばれることもありませんよね

今回の講演のタイトルは『親子で楽しむ家庭学習のすすめ』
糸山先生は、どんぐり倶楽部的な「家庭教育」についてのヒントを、今回もたくさん披露してくださいました
1度も書かないで漢字を覚えるIF法
頭の中で動かす電卓デンタ君2号
かけ算・割り算・分数ひとめで見える三角視算表
そして、どんぐり倶楽部良質の算数文章問題
それから、シナプス刈り込み理論
そのために、12歳までに、やってはいけないこと、やっておくべきこと
これは、糸山先生の理論を裏付けする研究資料が世界に公開されています
そして、現代の子どもを取り巻く環境、学校…
どんぐり倶楽部といえば「宿題制限」「メディア制限」
これも、「どんぐりを実践したいのならば」「どんぐりをより有意義に活用したいならば」真剣に考えて実践すべきことなのですよ、といつもお話しになるのです
いやいや、私は他にもっといい方法を知っています
そんなことをしなくても、子どもの思考力を伸ばし、幸せに生きていく人間に育つ道筋を知っています
という方は、どうぞ、ご自由に実践なさっていいのです

宿題をがっつりさせようが、進学塾に通わせようが、早期教育をたたき込もうが、ゲーム機やネットを無制限に使わせようが、そういうことを取り入れて、それでも子どもの心身を豊かに、健全に育てていける方はそうしたらいいんですよ

ただ、糸山先生のどんぐり理論の始まりは、「子どもがおかしい、なんでだろう」という疑問から始まっています
僭越ながら、それは私も全く同じで、進学塾勤務時代、学力がとても高いのに思考力がない子や、性格がねじ曲がっている子、親の前で豹変する子、また、最低限の生きるための力さえ、持ち合わせていないんじゃないか?という、学力的にも、思考力的にも貧弱で心配な子達をたくさん見てきて、いつも不思議に思っていたのが、糸山先生の著書に出会って全て解決したのです
そういうことだったのか、と

だから、伝えているのです
ご家庭では、子育てのチャンスは1人につき1回きりです
この子の卒業式は感動的だったわ~と思ってももう1度味わうことはできません
でも、私たちの仕事では、たくさんのお子さんに出会い、私の例では、仕事を始めてから今まで、なんと26回も、休むことなく高校受験生を送り出しています
毎年、いろいろなお子さんと、その親御さんと出会ってきたのです

そう、糸山先生も、私も、自分の子育てを紹介しているのではなく、自分の経験と研究から得た知識や考え方を、多くの子ども達と出会ってきて、気づいたことを、言葉にしているのです

その考え方が、全ての親子にぴったり当てはまるし、全ての親子にとって最適なのはどんぐり倶楽部しかない、なんて、私は思っていません

ただ、私自身は、どんぐり倶楽部に出会って、自分の子育てのぶれない指針を得たし、実際に子ども達がのびのびと、健やかに育っているのを実感し、最近ではますます「どんぐりでやってみたい!」という方を応援したい気持ちが強くなってきているのです
でも、「どんぐりをやらないとダメですよ」なんて言ったことは一度もないし、こんなちっぽけな教室にもどんぐりを知りたくて、やってみたくて来てくれる親子に「違う方法を選んだ方がいいかもしれませんよ」お断りすることだってあるのです
塾は数え切れないほどあって、それぞれに方針が違います
私は進学塾みたいな教え方もできるけど、でも、どんぐり以外の思考力養成方法が今はわからないから、この手段しか選ばない、というだけなんです
そんな私を、そんなどんぐりを選ぶかどうかは、みなさん1人1人に選択権があり、自由なのです

他にこんないい方法があるよ!ってできるだけ紹介できるように、実はありとあらゆる「勉強法」的な本を結構読んでいるのですが、今のところ、見つからないんですよ

子どもをのびのび自由に、っていう方法は最近目立ってきました
自然育児とか、森のようちえんとか、素敵な子育てのスタートがきれている親子は増えてきているようなんです
問題はその後、その素敵な原体験を、本物の思考力に、人生を楽しむための本物のエネルギーに転換する時点で、進む方向を迷い、時には間違えてしまう人も多いようなのです
どんぐりには、赤ちゃんが生まれてから中高生、大人になるまで通用する一貫した理論があります
全然難しい方法ではないけれど、難しく感じる人もいるようです
だから、私の仕事は「難しくないよ」って説明することと、一緒にがんばれる、一緒に楽しめる仲間を作る手伝いをすることかな、って思っているんです

それでもまあ、糸山先生が講演で話すのは「極論」なのです
ひとまえで理論を話すとき、「こういうのもいいけどああいうのもいいよね」みたいに、断定しない言い方をすることはできないんです
そんな講演を聞いたこともありますが、気持ちは楽で、ふわふわしますが、その後に危機感もなければ意欲もわかない、変な感想を抱きました
それはそれで、癒し系でいいのかもしれませんが
私もブログに「極論」を書いているかもしれません
ひとまえで話す機会はあまりありませんが、あるとすれば糸山先生と同じように「極論」を堂々と話すでしょう
でも、個人個人、子ども達を見て、その親御さんと話すときは、その子に対する感想、印象、そして、親御さんの考え方や許容量、いろいろな条件を加味して、できるだけ臨機応変に相談に応じているのです
もちろん、絶対にぶれてはいけない部分はぶれないけれど、その親子にとってどのような導入がいいのか、どのように進めていけるのか、ひとりひとりについて真剣に考えるのです
それは、きっと、糸山先生も同じです

そんなわけで、もし講演を聴いて、焦ってしまった方や、厳しさに敬遠してしまいそうになっている方がいたら、糸山先生ご本人や、わたしや、身近などんぐり先生に、ぜひ、相談なさってみてください
だって、
どんぐり理論は、親子で幸せになれるとっても素敵な理論なのです
こんなに楽ちんな子育て方法はないな~って私は実際に、体験してしまったのです
なんでそう言う人もいるのに、うちではうまくいかないのかしら…と悩んでいる方は、何かしら、原因があるかもしれない、解決方法は意外なところにあるかもしれません
どうか悲観せず、基本的には、親子で楽しむ、そう、親が納得して楽しめないと不完全、という基本を思い出してください

ナンデダロウ…と下を向くのではなく、
なんでだろう!?って前を向いて、一番いい方法を探してください
そのためのお手伝いはいくらでもしますよ!

さて、今回の講演で一番心に残ったことを最後に書こうと思います

それは、
「頭と体の基本は真逆である」
「体は、何度も単純なことを反復して覚える、それで力がつく
頭は、複雑なことをゆっくりすると、力がつく」
という糸山先生の説明です

本当にその通りだなあ、と、最近目にしたいろいろな場面が次々に浮かんできました
そして、最近聞いたあるスポーツ指導者の言葉もすとんと落ちました

それで、ますます思ったのです
「宿題はしたがるからさせている」と(どんぐりを効果的に使いたいといいながら、まだそのようなことを言う場合)言う方に、この言葉を聞かせたい、と

なぜ、宿題をしたがるのか
宿題の内容が、生き生きと学べる、すばらしい内容ならそれもわかります
親が見ても納得するような、楽しそうな宿題だったら
でも、もし、そのやりたがる宿題が、単純な反復練習だった場合、「やりたがる」の背景には、複雑な思考回路を使いたくない、という脳の逃げの動きが見えます(ご存じかと思いますが、脳は相当な怠け者です。生きるためのエネルギーを最小限にとどめたいからです)

もちろん、当の本人はそこまでの意識はありません
ただただ「宿題はやらなければならないもの」「先生との約束は守るもの」という素直で正直な子どもの気持ちです(それをまだ主張するとしたら、親子での会話不足、子どもへの説明不足ですが)

昔のように、放課後、飽きるほど外遊びや集団遊びができて、学校に「整理学習」にちょいと行くくらいなら何にもしなくても身についた力が、今は、防がねば身につかない、という状況
単純な反復学習を一切させたくなくても、学校の授業ではしてしまっている現実
子ども達は、深く考える必要のない単純作業に慣れていて、ゆっくりと複雑な問題を解くことに抵抗を感じるのです

夏休みの宿題は家族総出で最初の3日で終わりにする
どんぐり的夏休みはそんなスタートです

単純な反復練習が学力を伸ばす、と本気で言っている教育の専門家もいますが、私は、単純な反復練習を幼い頃から真面目に、真剣にやり続けて、思考力を全く身につけていない状態の中学生を何人も見てきました
そういう子には、同様の方法、つまり単純な反復練習に近い方法でしか受験指導はできません
解法はパターンで教え込み、覚えさせるしかありません
思考力がないのですから
覚えるための労力も、思考力がないとかなりの負担です
その負担に耐えきれない子がほとんどです
親御さんも「勉強してもなかなか伸びない」状態に我慢の限界を来します
かわいそうに、思考力は家庭で育てるものなのに、最後は子ども本人が、親御さんにイライラされ、あきれられ、説教されるのです
それでも覚悟して、必死に覚える子は、それなりの点数は取れるようになります
でも、その先はどうするのでしょう
ずっとずっと、単純な反復練習、そして、パターン学習で、人生を生き抜けるでしょうか

頭脳を育てるなら、複雑なことをゆっくりと
子育てのヒントになさってみてください