昨日は、
どんぐり学舎保護者さんたちとの
「手仕事をしながらの座談会」でした
手仕事でこしらえたのは「ミツロウラップ」という、
布に蜜蝋を溶かして染みこませて作る自然素材で無害の食品用ラップです
水洗いして何度も使えますし、
てのひらの体温で変形させ、容器に密着させることができます
以前に、
やはり別のどんぐり学舎保護者さんから、
贈り物のひとつとしていただいたのを大切に使っていたのですが、
自分でも作れるんだあ!とびっくり
いつもいつも、おしゃれでまめな保護者のみなさんには驚かされ、楽しませていただいています
感謝、感激です

みんなで集まって、手仕事をしながら、そして、食事やお茶をしながら、
いろいろな話をしました

いま学校でこういうことがあるんです
中学生になったらどうなるんでしょう
それぞれが、違った家庭で生活し、違った子どもたち、違った学校に通っていますから、
お互いの話に耳を傾けながら、自分なりに考えてそれぞれが応えています

そんな中、昨日話題になっていたことについて、
私が現場で話しきれなかったこと、
そして、もしかしたら同じようなことを心配したり、少しだけ不安に思っている方が他にもいるかもしれないから、と思ったので、ここに書いておこうと思います

受験期が近づいてきていますね
わたしも、その夜、中3生と教室にいて、しみじみと昼間の会話を思い出していました

みんな、普段から、頭を抱えるほど悩んでいるわけではないのです
たまたま、話題にできるチャンスがあって、
安心して話せる仲間同士でいるから、
言葉にしてみただけ
もし、
本当に悩んで、苦しんでいたら、きっと、個別に連絡してくれるだろう、と
私は思っています
だから、
昨日出た話題も、わいわいがやがややっているなかで、私と2人で話した内容も、
たぶん、それぞれがまた家でひとりになって考えたときに、
きっと、前向きに、建設的に、転換できているのだと思います

ますますそう考えることができるように、
特に群馬県の中学受験に関して、私の考えることを書きます

群馬以外の地域の方は、
それぞれ中学受験事情は違っているので、その部分は参考程度に読んでくださいね
群馬には、「中学受験」して進学する中学校は、通学可能範囲に限ると、片手で数えるほどしかありません
もちろん、なんとか通える範囲の隣県の学校を含めたらもう少し多いのですが、
少なくとも私の住む高崎市で考えると、受験して入る中学校を挙げれば、片手の指以上は出てこないと思います
定員も限られていますから、ほとんどの子どもが地域の公立中学校に進学します
家庭の方針や、本人の希望で受験する子は各小学校に少しずついますが、多くの子が受験するというムードにはなりません

私の家のまあまあ近くには、県立の中等教育学校があります
いわゆる公立の中高一貫校です
そのほか、子どもが自力でなんとか通える範囲に私立中学校が2校ほどあります
どの中学校にもそれぞれ特徴があって、ぜひ通いたい、とそれらの学校を目標にするご家庭はあります
その他、手続きをすれば、実際に住んでいる地域の中学校以外の中学校に通うことも不可能ではなく、たとえば、部活動などを理由に越境通学をする子も毎年何人かはいるようです

中学受験するにしても、越境通学をするにしても、
私は、きのう、みんなと話した後で、なにか、しっくりくる答えはないかとずっと考え続けていました

それで、思ったのが、やはり、昨日、話題になった、「クラスに乱暴な子がいます」というある保護者の方の相談でした

全く別の話題です
どんなつながりがあるのだろう?と、
特に昨日の参加者の方は思いますよね
「クラスに乱暴な子がいます」という話題になったとき、私は少し離れていたので、会話には加わっていないのですが、作業しながらも、ずっと考えていました

子どもが家から出て、親以外の大人に保育してもらったり、教育機関に属するようになってからの親の役割は、私は、一貫して、「リカバリー」なんじゃないかと思っています
問題が起こる前に、行動するのはリカバリーではありません

朝から晩まで一緒にいて、そのおでこの傷や、そのふくれっつらの理由まで全部を掌握できた頃とは違い、学校から帰宅する我が子は、親にはわからないところでいろいろなことを経験し、いろいろな思いを抱えています

そうなってもまだ、その傷やふくれっつらの理由を、一緒にいたときと同じように掌握するのは、不可能に近いです
そんなことをしようとすれば親だって疲れてしまうし、子どもだって嫌気がさすでしょう
子どもは、小さなことなら自分で解決するでしょうし、自分で解決できないときはどうしたらよいのかを、経験から学んでいかなければなりません
困ったことや、どうしようもない気持ちは素直に親(や誰か)に話せる関係であること、
親(できれば)が最も信頼できる大人であることは大前提ですし、
親は、いつもと何かが違う、と気づいても、いちいち核心に触れて真実を追究して、行動に移すべきかどうかをその都度考えなくてはなりません
リカバリーの方法を、です

子どもが再び元気に笑うためには
子どもが傷を癒やすためには

親はどうしたらよいのでしょう

それには、やはり、先回りしすぎないことがとても重要なのではないでしょうか

たとえば、
地域の公立中学校の評判がとても悪いから、
受験させたい
越境させたい

その考え方について、少し考えてみると、
では、どちらも実際に通ってみたわけではないその中学をそれぞれ比較して、
知り合いに聞いたり、情報を集めたりしてできるだけ知ったと思って、
より良いと思う方へ進学したとします

それでもし、その進学した方の学校で、
何かが起こったら?
どんなに評判がよい学校でも、もしかしたら、たったひとり、
我が子を標的にして困らせるような子がいるかもしれない
どうしても馬が合わず、嫌われてしまう先生がいるかもしれない
実際に入学してみたら、前評判とは随分違っているかもしれません
3年間ずっと、嫌な思いをせず、より良い中学校生活が送れる、という保障はありません

逆に、
そうよそうよ、その通り、だから受験も越境もせず、地域の学校に通いましょう
と決めたとしても、
あーあ、やっぱり評判通りだった、あっちに行っておけばよかった…と悔やむかもしれません

じゃあどうしたらいいのでしょうか

ちょっと待ってください

通うのは親ではなく、子どもですよね

子どもがどの学校に進んだら幸せなのか、
親に予見できるでしょうか
子どもにも、予見することはできるのでしょうか

わからないのです
どちらにも、誰にも

子どもは、子ども同士の噂話などで結構いろいろなことを耳にしているものです
子どもの噂話は私も教室で聞くことがありますが、
中学生であっても(高校の噂など)、おいおい!!って突っ込みたくなる内容満載です

私なんか、今でも覚えていますけれど、6年生の頃、「すごく荒れている」と評判の地域の中学校について聞く噂は、ひどいもので、それはそれは怖くて怖くて、小学校の卒業式のあとはそんな中学校に行きたくなくて、何日か布団の中でずっと泣いていました
当時は本物のスケバンがいて、目をつけられるとナイフで脅されて…とかなんとか、ものすごく怖い噂が飛び交っていたのです
実際に入学してみたら、本当にスケバン先輩もヤンキー先輩もいたのですが(笑)
特に怖い目に遭ったことはありません
少し刺激はありましたが、平和な中学校生活でした

親は、
子どもが地元の中学校に行きたくない、と言ったら、なんと言ってあげたらよいのでしょうね
それなら別の中学校に行きましょうね、と簡単に言っていいでしょうか
その別の中学校でなら幸せが保障されているのか、わからないのに
地元の中学校に行かないように、受験しましょうね、ということになって、
受験して、地元の友達と別れて通うことになって、もしその中学校で嫌なことがあって、
やっぱり地元の中学に行っておけばよかった、ってことになったらどうしますか?

結論から言うと、
そうなったらそうなった、で、そこでまたリカバリーです
だから、
最初に手を尽くしてはダメなんです
だって、子どもが勝手に転んで親が手を差し出すのは普通のことですが、
親が突き飛ばして転ばせておいて手を差し出すのは、不自然なことですよね

特に、中学受験や越境が「普通」ではないこの地域では、
これは少し慎重に考えるべきことなんです

本人の意志に任せる、というのも、6年生には少し難しいです
これは、昨日、実際に話したことでもありますが

6年生にもなると、さすがの最高学年、特に、どんぐりっこは逞しく育っている子が多いので、「本人の意志に任せたい」という気持ちもよくわかります

それでも、まだまだ12歳
その時思っていることが、大人のように、その後も、ずっと覚えていて、責任を持って自分の意志だったと言えるのかというと、そんなことはありません(大人だって誰かのせいにするもんね)
それは、
その子が15歳、18歳、20歳、と成長してくれば、
12歳当時の発言が、いかに幼かったか、分かるときが来るはずです

だからといって、子どもの気持ちや主張を無視して親の言いなりにさせるのがよいわけではありません

ここで、とことん話をすることが大事なのです

単語の羅列ではなく、しっかりと話をすることです
「クラスに乱暴な子がいます」の問題も同じです
それこそ、まさに、リカバリーの時です

私はいつも、子どもの身に問題が降りかかったとき、
チャンスだ、と思いました
泣いて、悲しんでいると、親としては胸が張り裂けそうで、
一緒に泣いてしまうこともありました
でも、必ず、この出来事をこの子の成長の糧にしてみせる、と
しっかりとリカバリーをしてきました

誰かに責任を追及したり、
汚い言葉で罵ったり、
闇雲に慰めたりするのではなく、
子どもの気持ちを十分に受け止めた後で、
私たちはどうすればいいだろう、という話をしてきました

乱暴な子に言葉や身体への暴力で傷つけられたこともありました
持ち物を壊されたこともありました

もちろん、
保育園や学校の先生には、親として、伝えるべき時には伝えてきました

でも、大事なのは、そういうことをする子に出会ってしまったことを、
我が子がどう記憶して成長していくか、だと私は思いました
泣き寝入りでは悔しい
何も悪いことはしていない、と心にお守りを持たせる、そして、
何があっても、加害側になることのないように

全ての子が、加害者にならないよう心のケアをされていけば、
暴力はどんどん、なくなっていくはずだ、と
実際、暴力で周囲を困らせる子が出没するのは小学校中学年くらいがピークで、
その後は正義感の強い子なども台頭してきて、小学校も変わっていきます
でも、年々ひどくなっているのも実情……

そして、もし我が子が「加害」側だったとしても、
もちろん、そこで大切なのはリカバリーです
二度とそんなことをしないで済むように、
根気よく、リカバリーをし続けます
決して、軽視したり、諦めたりしてはダメなんです

振り返ってみると、
そうやってひとつひとつの問題を一緒に乗り越えてきて、
ごまかさないでやってきて、
親子関係も、子ども自身の心の強さも、深まってきたように感じます

残念ですが、私が見る限り、周囲に暴力(メンタル・フィジカル含め)を振るい続ける子の親御さんは、子どもと対話していない、子どもを全然見ていないケースが多いです
教員をしている友人達からよく聞く話です
「うちのこが、まさか!」というケースです

どの中学校に通うのか、
ご家庭によって事情は異なり、
大変な決断!という場合もあるでしょう
一大イベントだっ!と

まずは親が、親同士がしっかりと意志を確認し合い、
その上で、お子さんととことん話し合ってみてください
ネガティブにではなく、建設的に、前向きに

私が知っていることは、
私が当事者としてしてきたことは、
どこへ通おうが自分は自分
ということです
どの中学校に行ったからその子が変わる、とは思いません
どんなに恵まれた、理想的な学校へ入学したとしても、
それにはそれの、マイナス面が必ずあります
結局、プラスマイナス0だと私は経験上思っています
いいことばかりを選ぶことはできないのです
よくないことが起こったら、リカバリーをするのです
その都度、子どもは強く、賢く、優しくなっていく

それは、たった3年間の中学校生活でしかないのです
社会に出たらもっともっと、苦しいことや、辛いこと、難しいことが待っている
でも、
そういうことにぶつかったら?
今度は自分でリカバリーです

親が、一緒にしてくれたように、リカバリーの仕方なら覚えてる
そんな風に子どもが成長していたら…

それが、私たちにできること、しなければならないことなんです