我ながら、変なタイトル…

全国の小中学校で子どもたちにデジタル端末が配布され始めました
各地から「どうしよう!使わせたくない!」という、どんぐらーさん独特の悩み相談が届きます

そうですよね
せっかく家庭内で、これまで、できるだけデジタルメディアに触れさせずに手をかけ、丁寧に育ててきたのに、学校から配布される教材でまさか最初に触れることになるなんて…

そして、実際、先生たちだって、家庭でデジタル漬けになっている子たちに危機を感じていたし、私の次女が小学生だった数年前は、そういった機器に依存することの危険性を学校の先生が授業参観の時の授業で説明してくれましたよ
それが、数年後に、学校から端末を配布だなんて…

もし私だったら、私がいま、小学生の親だったら、どうするかなあ…
(あ、中3の次女の学校でも使用が始まりましたが、中3ですから…もはや、先生より端末に詳しい子どもたちが多く、配布された瞬間、わーい!と自在に操作しはじめ、先生は初心者につきっきりで設定などをしているから、暇を持て余した多くの子たちは勝手に操作して楽しんでいたようです…)

私がもし、小学生の親だったら、宿題と同じように交渉をすると思います
宿題同様、家庭学習は親の責任で管理させていただきます、と宣言すると思います
学校内で端末を使用することまで止めることはできないでしょう
それに…
学校内でよどみなく活用できるように、本当になるのでしょうか…
そこは本当に、疑わしいところです
きっと、先生たちの多くも、そう実感している頃だと思います

全員が一緒に使えるのか?
私たちが小学生の頃、「教育テレビ」の理科の番組や、音楽の番組を授業中に見ることがありました
先生がテレビのスイッチを入れ、係の子がカーテンを閉め、みんなで小さな画面を見つめました
薄暗くなって、眠ってしまう友達もいたけれど(笑)
私は「みるちゃん」「きくちゃん」「なんだろうくん」を見つめていました
あ~「道徳」のドラマもドキドキしながら見たっけなあ…
「♪口笛吹いて~空き地へ行った~♪」←わかる人同世代!

さて、手元に画面が
そして、タッチすれば切り替わってしまう、タブレット端末です…
軽く、パニックが起こっている教室もあると聞いています
やれやれ、どうなることやら…

幸い、家庭に持ち帰るところまでになっている学校は、この辺りではほとんどなさそうです
持ち帰るための準備や、家庭の通信環境に関するアンケートが実施されていることは聞いていますが、実際に家に端末を持ち帰ってきて、家で使わなければならない状況になっている、という話までは、まだ聞いていません
(私立中学校や、高校ではそうなっているところがあるようです)

もし、私が、小学生の親で、端末を家に持ち帰り、家で操作しなければならないような状況がおこるとしたら、「家庭では使わせません」と言うと思います
家庭学習は、家庭の責任で管理します、と宣言すると思います

さて、話は本題に移りますが、
最近、「ゲームは何歳から大丈夫ですか?」「テレビは何年生から?」「スマホは何年生から?」といった質問が多く寄せられます
おそらく、コロナ禍で、子どもと家の中で過ごさねばならない時間が増え、子どもが暇を持て余している状況を見て、そういったデジタル端末に手を伸ばさざるを得ない…と思っている方が増えているんだと思います

飲酒や喫煙、運転免許や結婚、参政権など、年齢で制限されることがいくつかあります
映画には、R指定やPG指定など、推奨年齢が定められていることもあるし、
ゲームやサイトなども、フィルタリングできるものもあります
でも、最初のいくつかだけは法律で定められていても、その後のものは破っても違法ではありません

もちろん、テレビ番組には何の制限も推奨もないし、
スマホだって親が契約して買い与えることに制限も推奨もありません

だから、保護者が制限しなければ、子どもたちは何歳であっても、それらを所持したり、使用したりできます

いろいろな「教育法」があるけれど、テレビやゲーム、ネット等の使用に制限をかけ、「9歳までは」「12歳までは」と明記しているのはどんぐり理論くらいかもしれません
だから、どんぐりを実践している人にとっては、「何歳から大丈夫ですか?」と、尋ねたくなるのでしょう

でも、明記こそしていなくても、多くの「教育法」や「保育理論」などを読むと、デジタルメディアとの関わりはある程度の年齢までは気をつけてください、とやんわり書いてあることが多いです

「ある程度の年齢」って!?

糸山先生は、思考の臨界期を9歳の壁、シナプスプルーニングを12歳、と明言して、著作や講演などでも科学的根拠を示した上で、説明しています
でもそれは、上記したような法律のための年齢ではなく、「目安」だということを、考えてください
糸山先生の「断言」する表現方法は、私たちがそれを「目安」として深く考えるためのものであることを、多くの方に知っておいていただきたいのです
「断言」という強い表現をしてまで私たちに何を考えさせようとしているのか、その奥まで知ろうとすることが、どんぐり理論の神髄です
親が考えなければ、考える子どもは育たないのです

さて、
「ある程度の年齢」って?「9歳?」「12歳?」

私の現時点での結論は、「毅然とした親子関係が確立していて、子どもに自制心が備わっていたらOK」です

「毅然とした親子関係」が確立しているかどうかは、みなさんそれぞれ、少し考えたらわかると思います
ゲームやネットに限ったことではありません
日常生活全てにおいて、これは確認することができます
親の言葉を受け止めているかどうか
そして、親は、子どもの思いを受け止めているかどうか
威圧的に、命令して言うことを聞かせるだけになっていないか
または、それとは逆で、何でも子どもの望むように、子どもの言いなりになっていないか

親がいくら声を掛けても、全く聞いていない子がいます
または、親の言葉に過剰に反応して、少しの猶予も許されない感じで従っている子もいます
親に命令口調で話す子もいます

他人のいる前での親子の会話など、参考になりません
子どもは、他人がいるとき、親が本性を表さない(特に母親)ことを知っているので、
図に乗って威張ったりすることもあるでしょう

子どもらしく小さな反抗をする程度なら全く問題ありませんが、
完全に耳を塞いでいるような子どもを見ると、家庭内でどういう関わりを持っているのか、心配になることがあります

親子の信頼関係、毅然とした親子関係が構築されていないんだな、とわかることがよくあります

…その状態で、ゲームや、スマホ、テレビを自由にしたらどうなるでしょうか?

次は「子どもの自制心」です
よく例に挙げるのですが、
子どもがひとりで「食事」をし始めた頃、幼児の頃です
食卓に色々出しておくと、やっかいでしたね
お菓子や果物などもってのほか、
できるだけ見えないところにしまっておいたり、食事中は見せないように工夫した経験があるかと思います

小さい子どもは、
食事の前に、お菓子や果物でお腹を満たしてしまうと、食事ができなくなることなど心配しません
いま、食べたいものがあるから食べる!と本能の赴くままに手を伸ばします
親御さんは、栄養バランスなどを考えて食事の支度をしているでしょうから、食事をちゃんと摂ってくれないのは心配です
だから、果物やお菓子でお腹を満たして食事はどっちでもいい、なんて思わなかったと思います

でも、子どもが小学生、中学生になってまで、「果物はしまっておかなくちゃ」「お菓子は見えないところに…」などと心配し続けているご家庭はほとんどないと思います
それは、子ども自身が、食べることに関して、自制心を身につけたからです

もうすぐ御飯だから、おやつはこれくらいにしておこうっと
家族みんなで食べられるように、自分は1個だけにしておこうっと

個人差はあるでしょうけれど、そういった自制心は成長とともに、身についているはずです
中には、家族やきょうだいのことも考えず、自分が食べたいだけ食べてしまう小中学生もいるようです(そういう相談を受けたこともあります)が、それはまた他者への思いやりの話になってくるので、別の機会に…まあ、それも、自制心のひとつではあるのですが…育っていないとなあ…という部分ですね

先日、「子どもが東大に合格しました」というお母さんへのインタビュー記事を読みました
息子さんが2人とも東大に合格して…旦那さまが元マスコミ関係者だったようで(事故でお亡くなりになっているそうです)そういったきっかけもあったのか、何かでインタビューされたようでした

テレビも、ゲームも、一切制限せず、好きなようにさせていたそうです

おお!
その部分を読んだ方は「じゃあ、うちも大丈夫だ!そうやってても東大に入れるんだったら!」と思うかもしれません

肝心なのは、その後でした

お子さんたちは、試験前や、自分で制限が必要だと感じる時期になると、ゲーム機を自分で封印したそうです
簡単には出せない場所に、自分で運んでいって、自分で決めた期間、一切触れなかった、と言うのです

素晴らしい自制心ですよね
大事なのはこの部分です

このご家庭では、女手ひとつで息子さんを育てることになったお母さんが相当の覚悟をして、満ち足りた家庭で問題なく過ごしているお母さんには想像もできないほどの御苦労を重ねてこれまで過ごしてこられたのだと思います
息子さんたちだって、お父さんに会えず、さみしい思いや、悔しい思いをしたことでしょう
そして、お母さんひとりで頑張っている姿を、見続けてきたのです
それが関係あるのかないのか、詳しいことはわかりませんが、はっきりとわかることは、このお母さんは、息子さんたちの自制心を育てることができていたんです
毅然とした親子関係はもちろん、息子さんたちは自分で判断し、自分のために、自分が勉強に集中するために、自分の環境を整えるまでの自制心を身につけたんです

いつまでテレビ見てるの!?
自分で決めたことをどうしてちゃんとできないの!?
そして
ゲームは30分って決めたでしょう!?
いつまでスマホ見てるの!?
なんてバトルになってしまうような状況で、
子どもの自制心は育っていると言えるでしょうか

子どもとメディア研究所の清川輝基先生も言いました
「ゲームもスマホも、自制心次第です」と

そして、
これがまた、ちょっと触れたくらいでは全然影響を受けない子もいれば、
たった1度触れただけでたましいを吸い取られたかのように脳を支配されたかのように影響を受ける子もいます
そういう子は、1度触れた経験を忘れられず、再開を熱望する傾向があります

長年、いろいろなケースを見てきました
ただ「禁止」するだけでは、自制心など育たないのです
ただ「禁止」したら、「解禁」の日を待ち望むだけになります

なぜ、飲酒喫煙が法律で定められた年齢まで禁止されているのか
それは、モラルとか、体裁とかのためではなく、
人体の成長に関わる問題がわかっているからです

なぜ、小児科が存在するのか
それは、子どもの心身は大人とは違うからです

テレビやゲーム、ネット、スマホが「悪」なのではありません
問題は、それを使う「人間」の成長度合いなんです

みなさんは「人間」を育てています
機械に操作されるための「人間」ではなく、
機械を必要な時に上手に操作してより豊かな人生を過ごせる「人間」を