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家族で外食にいくペンペン一家の問題
この子はいつも、登場人物が野菜で、みんなつるっとかわいい顔をしています
「カバなんか描けない」「ゲンゴロウなんか知らない」と拗ねる、なんて経験をする暇もなく、自分で描きたいように描いてじっくり考える習慣が身についてしまいました
何を描いても評価されたこともなければ、注意されたこともなく、自分が好きな絵で自由に考えるだけで、どんぐりを何年も解き続けてきた子です
少し前に、小さい子どもを育てている最中の方から、子育ての先輩に「子育ての悩みは子どもが大きくなるにつれて大きくなるものよ」と言われた、という話を聞きました
「子育ての悩みは子どもが大きくなるにつれて大きくなる」?
私はそんなこと微塵も思ったことがないので、びっくりしました
もし本当にそうだとしても、いま子育て中の、これからどんどん子どもが大きくなるその親に、
「これからどんどん悩みは大きくなる」なんて私なら言わないけどな、と思いました
以前、初産を控えた臨月の妊婦さんに向かって、「お産は死ぬほど痛くて苦しいのよ」と懇々と説いているベテランママさんに衝撃を受けたことを思い出しました
初産を控えた臨月の妊婦さんの顔が、みるみる青ざめるのを見て、私はこっそりベテランママさんが席を外した隙にフォローを入れました
“私の友達で、びっくりするほどストン、と産んでしまった人がいる、旦那さんが病院に駆けつけたときには産まれた後で、けろっと出迎えたくらいに
あなたの体型はその人に似てるからもしかしたらそうなるかもしれない、お産はひとそれぞれ全然違うものなんですよ”、と…
やれやれ、と臨月の妊婦さんがようやく笑顔を取り戻したあとで、ふと考えました
みんな、自分の経験だけで語りたいんだな、と
私は、
これまで数え切れないほどたくさんの「親子」に出会ってきました
親戚や友達だけじゃなく、仕事で出会った親子は本当に数えきれません
子どもにも、親御さんにも、本当にいろいろな方がいて、簡単に整理したり分類したりできません
子どもの年齢が上がれば上がるほど悩みを増幅させていった親御さんもいれば、
子どもが成長する前に悩みつくし、すっきりとした親御さんもいます
それは、本当にそれぞれであって、
お産の大変さが人によって全く違っているように、自分の経験だけで他人にアドバイスすることなど、本当はできないはずなんです
ましてや、他人を不安にさせたり、未来を明るく考えられなくなるようなネガティブな情報をわざわざその人に言って聞かせるなんて、どんな心理だろう、と本当に不思議に思うのですが、たぶんそれは、自分がつらく、大変だったこと(今も大変なこと)を、誰かに伝えて、自分自身を慰めているのだろうと思います
でも、そんなことを言い続けているようでは、その人の悩みはますます大きくなるばかりだろうな、と心から残念に思います
ひとは、どうしていつも、自分を誰かと比べてしまうんでしょう
今の自分を、そして我が子を、どうして認めて、幸せだと思い切れないのでしょうか
そもそも、
「子育ての悩み」とはなんでしょうか
私自身が、これまで悩んだことを思い出してみました
産まれてから数年間は、健康面のことで悩んだりしました
産まれて初めて赤ちゃんと暮らすのですから、それは当然です
こんなときどうしたらいいんだろう、と悩んでは調べ、悩んでは調べ、
信頼できる医師の言葉を信じました
同じタイミングで子育てをしている人たちと自分との違いにいちいち困っていたこともありました
私は自分で考え、選んでいる方法なのに、「なんでみんなと同じようにしないの?」という視線、言葉、圧力を感じることは随所でありました
同調圧力ってやつだと思います
なんで布おむつなの?
なんでお菓子を食べさせないの?
なんでテレビを見せないの?
なんで、なんで…
こちらはアピールしている訳ではないのに、「みんなと違う」ことはアピールしているかのように見えるようで、いちいち質問され、真剣に説明すると呆れられました
「そんなに無理しなくてもいいのに」と言われたこともありました
ひとつも無理していない私には、返す言葉もありませんでした
質問されなければ絶対に説明などしないのに、説明しただけで説得しているかのように聞こえるようで、「そんなことうちにはとても無理無理!」と吐き捨てられたことも何度もありました
そんなわけで、
ほとんど、自分の方針を説明するのはやめました
長女0歳から学び続けているどんぐり理論では、生まれてから成人になるまでのビジョンが見えていますので、その点で悩むことなどほとんどありませんでした
こちらは、悩む隙などないベストタイミングで出会えてしまったので、糸山先生を心から信じてまっすぐと進んできただけでした
もちろん、成長曲線で一喜一憂する必要がないのと同じで、どんぐり理論の理想型とずれてしまって焦るとかいう必要もありません
でも、どんぐり理論は数年単位のゆっくりとしたビジョンです
大切に過ごしていれば、大きなずれは生じません
なにより、親子関係や、子どもと「勉強」、子どもと他人との出会いに、不安定さがありません
「子育ての悩み」とは、
その部分が不安定な場合に起こりえるのではないか、と考えられます
自分と子ども、子どもと「勉強」、子どもと他人…人間関係
その部分が不安定だと、それは親にとって「悩み」になるのではないでしょうか
子どもとの信頼関係を育み、守るために何らかの障害物があったかどうか
子どもと「勉強」との間に、なんらかの邪魔者はなかったかどうか
子どもが人間関係を構築する手本として、大人の方々はどのような姿を見せてきたでしょうか
思い返せば、その部分に何かあるということが、将来いつまでたっても悩みが尽きない、尽きないどころかどんどん大きくなってしまう要因があるのではないでしょうか
Aさんは同級生をいじめます
すぐに仲間はずれにしたり、陰口を言ったりする性質を持っています
親御さんはそんな姿を知りません
Aさんは親御さんがとても忙しい人なので、本音で話せないようです
いいえ、Aさんの親御さんは忙しすぎるのを反省して、Aさんが高学年になる頃仕事を調整しはじめました
なるべく家にいて、Aさんの話を聞いてあげられるようにしたのです
でもAさんが本当に親御さんに話を聞いてほしかった時期は、過ぎてしまっていました
Bさんは勉強が嫌いです
親御さんはよかれと思っていろいろな提案をします
いろいろな場所に連れて行き、いい先生に出会わせます
でも、Bさんはどうしても机に向かうとすぐに飽きてしまいます
親御さんは「勉強をさせるため」の塾を探しています
ママ友に噂を聞き、塾を探しています
でも、Bさんはどんな塾に行っても、あまり変わらないはずです
Bくんの頭脳が成長する一番大事な時期に、
親御さんは何も知らずにいろいろな物を与えすぎました
Cさんは何事においても自信がなく、いつでも他人と自分とを比べています
成長とともに、自信のなさは他者を認めないことで自分を奮い立たせる傾向に変わってきました
他者の才能を羨み、嫉妬し、自分の間違いを正さずに他者を批判することで自分を守ろうとします
その精神的な不安定さに不安と危険性を感じ、
そのことをCさんの親御さんに伝えようとしても、一切聞き入れません
Cさんの親御さん自身が、他者を認めず、批判ばかりし、他者を敬えない生き方をしていました
Cさんはそんな親御さんを見て育ったのです
先日、
何で読んだか忘れましたが、健康相談を受けている専門家によるこんな文章がありました
子どもの健康面で悩んでいる、どうしたらいいでしょうか、という相談に、
その方がずっと伝えていることを確認した、という内容でした
何を食べさせてきましたか?何を飲ませてきましたか?
よく考えず、大人が飲食するようなものを平然と飲食させて、幼少期から生活リズムも整えず、電子機器を与え、その後、あれ、やっぱりうまくいかない、どうしたらいいでしょうか?と言われても、無茶ですよ、と
だから伝え続けているでしょう?それを、実践できないままなあなあで来てしまったのでしょう?と
それなのに、「やっぱりうまくいっていない」と相談されても、どうしたらいいんでしょうかね?と
うーん
あるある!と頷きながら、でも、不思議なことに出典がわからなくなってしまいました
「子育ての悩み」
まるで、子どもがその元凶であるようなその言葉
ただこの世に生を受け、私たちの子どもとして生まれてきてくれた大切な命
それなのに、少したったら「悩みの種」
中高生になれば「ますます大きな悩みの種」なんて失礼すぎませんか
子どもが、可愛そうじゃないですか
先日……どんぐりでもDKでもない場所で中学生の勉強を見ているのですが、
その時、あるひとりの生徒と話しました
その子は、学校のテストを持っていて、その点数は……何点満点?20点満点の小テストかな?というような点数でした
雑談をしていたら、その子は、私の目をまっすぐに見て、とある1日のことをとてもわかりやすく、しかも、私の質問に優しい言葉で正確に答えながら、説明してくれました
なんて素敵な子なんだろう、と心から思いました
でもきっと、このテストの点数は、先生や、親御さんに褒められたりはしないだろうな、むしろ、叱られちゃってるんじゃないかな、と思いました
みなさんの周囲の素敵な人は、
学校のテストで高得点だった人ですか?
高学歴で偏差値の高い人ですか?
そういうことで人間の価値を決める方もいるようなので、それはそれで構いませんが、
少なくとも私は、長年子どもたちを見てきて、
子どもたちの「価値」や「人間性」が「勉強の成績」と相関性がないことを知っています
相関性があるとしたら、それは、「勉強の成績」について親御さんに「価値」付けられてしまっているということと、その子の「人間性」です
子どもは悩みの種だ、と公言されている子どもの苦しみを、理解してください
いくつもの奇跡を超えて私たちの元に来てくれた大切な我が子を、
悩みの種だ、などと思う前に、ご自身がどのように子どもと生きてきたのか、見つめ直してみてください
悩みの種は、大抵自分自身の中にあります
子どもは今日も、まっすぐ見つめ返してくれます
大好きな人を、世界で一番信じている人を、まっすぐ見つめ返してくれるはずです