夏休み絶賛満喫中!でしょうか
小学生のいない夏休みを数年経ると、もはや当時が懐かしいです
一昔前の夏休みなんか、
子ども同士勝手に暗くなるまで遊びほうけているし、
お泊まりとか行っちゃうし、
親となんか遊ばなかったから、学校がない分親も気楽だったようです
でも、
今は子どもの行動には親のサポートが必要で、
習い事やイベント、そして宿題の管理や行事への参加、そして、旅行やキャンプも親子で楽しむ時代、一見するとよさそうですが、親の負担は増えている気がします
ふいに遊びに誘っても「その日はちょっと都合が…」という方も年々増えています
今度の土曜日遊ぼうか、と塾生たちに言っても自分のスケジュールを把握していない子や、忙しい子が多いです
大人たちは週末を「子どものため」と、いろいろなイベントや体験企画に使っていたり、週末くらいは…と、習い事やスポーツ教室に連れて行っていたりと、「本当に暇」な子には滅多に会ったことがありません
子どものために、と用事を作ったり、イベントにエントリーしたり、旅行に出かけたり、というのが逆に子どもの自立を阻み、子どもの自由を奪い、子どもの自ら考える力、無謀な挑戦や失敗を繰り返して賢くなる要素を奪ってしまっている可能性が高く、せっかくの大人のアイディアが皮肉に思えます

旅行に出かけるのがよくない、と言いたいのではないのです
いつもこれは仲間内で話すのですが、大人の求める旅行と、子どもが嬉しい旅行とでは全く違っていることから、家族旅行ってどういうのがいいんだろうね、なんて話題がよく出るのです
なんだかんだ、家族のあったかい思い出ができるのが家族旅行だから、そうなるのなら結果オーライといえばオーライなのですが、子どもには、大人が喜ぶ至れり尽くせりのゆったりとした旅行の経験よりも、もっとワイルドな体験をさせたいよね、って話になるのです
でも、親ってつい心配しちゃうし、先回りしちゃうし、なんらかの思惑を持ってしまうから、やっぱりもしかしたら子どもがワイルドな体験ができるのって、親から離れないとならないんじゃないの?って結論にも到達するのです

そんなことを悟って子どもだけを集めてキャンプ活動をしている方や、大人禁制のイベントを立てている方にも会って話を聞いたことはあります
親がお金を払えば「責任を持ってお子さんをお預かりします」という立派な組織のイベントもたくさんあります

でも、なんか違う…私のやりたいのとは違う…

私も、大人も一緒の自然遊びであっても、我が子だけと過ごさないことや、参加した大人は全員の子どもを見守るって約束をしてもらったりとか、もちろん、子どもだけで参加するのも歓迎だったりとか、いろいろやってはきたのですが…

でも、なんか、違う…まだ伝わりきってない…
だから、いよいよ、本格的に子どもにとってワイルドな、そして、送り出す大人達もぐんと成長しちゃう企画を始めようかな、と思っているのです
今頃かいっ
って、突っ込みが入りそうな年齢に私はなってしまったんですけど、
私が我が子を育てるという時期を過ぎて、やっと取りかかれるのかな、と思ったりもします

私がイメージしているのは、いつも思い出す、私自身が子ども時代に経験した「ワイルドなキャンプ」、子ども劇場の子どもキャンプ、のことです

前述したような現存する自然遊び企画、●子どもだけを集めて●大人禁制の●親がお金を払って、参加するキャンプではありました

まず、参加希望者は親からお金を預かって申し込み場所に自分で行きます
私の頃は、高崎市内の公園の一角でした
参加者自身が申し込みに行くので、私は友達と約束して子ども同士でもちろん行きました
5月の連休頃だったと記憶しています
費用も、確か数千円…と、そんなに高額ではありませんでしたが、親に頼んで出してもらっていました
お年玉でエントリーしたこともありました
仲良しの友達とエントリーしますが、数週間後に連絡が来て参加者が集まると既に班編成が済んでおり、仲良しの友達とは離ればなれだし、それどころか同い年の子も同じ班に入れられていません
ほぼ初対面の、いろんな年齢の子どもと、リーダー格の大学生や高校生と、本番の8月のキャンプまでの日々を過ごすことになります
手始めにデイキャンプでテントの張り方や、個々の荷造りの仕方などを練習します
1回でも経験した子は年下の子に手本を見せて教えられます
そのうち、1泊のキャンプ練習になります
食事の献立を決めたり、食材を買い出しに行ったり持ち寄ったりするのも、自分たちで会議を重ねて決めていきます
本番の8月には4日分の食材を冷蔵庫もないキャンプ場に持っていくので、それまでには、どのようなものが持っていけるか、また、現地でできるだけ傷まないように保管するためにはどうしたらよいかなど、失敗を繰り返しながら考えていきます
私は小学校3年生から中学校2年生までエントリーし続けました
だから、高校生や大学生、若い社会人で構成されるリーダーの格まで到達してはいないのですが、中学生の時、一緒の班になったリーダー格の大学生の素行に問題を感じ、夜、その人をテントの外に呼び出して中学生ふたりで抗議したこともありました
喧嘩を売ったのではありません
問題を感じたので、話し合おうとしたのです
明け方まで話し合ったのを覚えています
その時、年上だからって、リーダーだからって、全部従わなければならないとか、必ず人格者であるとかいうことはないんだ、と私たちもわかっていたんだと思います
ただ、少しだけ混じっている「本物の大人」の自然体験の豊富さ、子どもを見守るための方法や包容力、そして厳しさなど、何か問題が起こると際だってそれらを感じました
問題が起こっていない時はふらふら自由にしていて「暇でいいね」なんて声をかけるくらいでしたが、いざというとき、すごく厳しかったり、頼もしかったりしたのを覚えているし、心から尊敬しました

さて、
そんな時、親たちは何をしていたんでしょうか
当時は親など「全く関係のない世界」と思い込んでいました
参加費は出してもらっているけれど、その後、親と一緒に活動することは一切ありませんでしたから
親が私の活動の詳細を知ることもありませんでしたし、家庭の食卓で私が話す以外は、特に親への報告などなかったんだと思います
でも、親は親で、キャンプに参加するリーダー格の大人との会議を重ねていたのです
親よりずっと年下の、大学生や若い社会人が中心となっていました
会議では、親は親だけでキャンプ場を下見に行ってみたりして気づいたことを質問したり報告したりしていたようですが、ことごとく却下されたそうです
「危ない箇所がある」と親が言えば「そんなの現地で子どもが気づく」とか
「傷みやすい食材は避けてはどうか」と親が言えば「傷ませて気づかせないと失敗を繰り返す」とか
時には白熱した議論になったこともあったそうですが、
親よりずっと年下で、子育てもしていないリーダー格の若者達は、
堂々と親に自分たちの方針を主張し、親の言い分をほとんど通さなかったそうです

私が初めて参加した小学校3年生の時は、夜寝ている間に川が増水し、中州にテントを張っていた私たちの荷物はほとんど流されました
異変に気づいて夜中に起きてテントのジッパーを上げると、目の前はごうごうと流れる川でした
トマトや包丁が目の前を流されていくのを見た記憶があります
私のお気に入りのサンダルも、片方流れていきました
昼間は深さ3cmにも満たないせせらぎでした
対岸にテントを張っていた班は山側に逃げてしまったため、逃げ道を失いました
私は当時かなりチビだったので、増水した川を高校生におんぶされてなんとか渡りきり、キャンプを中断して下山することになったので雨の中、最寄りの鉄道の駅まで歩く間に発熱してまたおぶわれたようです
緊急時用の車に乗せられたとも聞かされました
記憶がありません

それでも、翌年も懲りずにエントリーしています
私は4年生になっていました
前年の反省からか、キャンプ場は川原ではなく、山の斜面にある場所に変わりました
2泊目の夜、また遭難しかけます
土砂降りの雨が止まず、いくらテントの周囲に溝を掘っても浸水してきました
ついにはフライシートがテントに張りついて雨漏りが止められなくなり、やむなく退散することになりました
それでも、その奥地のキャンプ場から最寄りの鉄道の駅までは徒歩で1時間以上かかります
記憶にはありませんが、豪雨の中、その道を戻ったのだと思います

5年生になっても当たり前のように5月の公園に申し込みに行きました
5年生の8月、ついに私は最終日程までキャンプを満喫できました
満喫できたのはいいけれど、食材を持たせることができず、半分傷んだようなものを食べた班があったと聞いたりしました

もし、遭難しかけた現場に親たちがいたら…
タクシーを呼びましょう
車を持ってきますね
小さい子はまとめて車に乗せていきましょう
危ないから全員こっちから川を渡っておいで
さあ、みんな手をつないで
怪我なんかしたら大騒ぎでしょう
子どもも言うでしょう
お母さん、怖い!
お父さん、抱っこ!!

もし、全うできたキャンプの時だったら……
食材が傷んでしまったので買いに行ってきますね
水が足りないので買ってきますね
お風呂に入りたい子がいるから汗拭きシートを持ってきましたよ
ドライシャンプーもありますよ
子どもも言うでしょうね
お母さん、お腹空いた!喉渇いた!
気持ち悪い~!お風呂はいりたい~!!

キャンプ場の水道は川から管で引いているだけだったので、そのまま飲用せず1度沸騰させてから飲んでいました
班ごとに沸かして自分の水筒に入れて大切に飲んでいたのです
後先考えずがぶ飲みなどしたらすぐになくなります
たまらず生水を飲んでお腹を壊した子も何人もいました

もちろんお風呂もシャワーもありません
一応、テントは男子と女子で分かれて使うので、それぞれ、眠る前のタイミングで翌日の服装に着替えるときに自分で濡らして絞ってきたタオルで体や頭を拭くくらいです
窮屈なテントの中で順番に、冷たい川水の水道で絞ったタオルで体を拭いてから翌日のシャツに腕を通したときの清々しい気持ちよさをまだ覚えています

まさか今の時代、
そんなキャンプはできないでしょう
もう2度と、そんなキャンプはできないのはわかっています

でも、私はこの自分のキャンプの経験を、
どんぐり学舎の自然遊び活動どんぐり・しぜん・すくーるのイベントを立てるとき、いつも思い出しています

私が我が子に当たり前のようにしてきたことが、
他の家庭では当たり前ではないことも痛感してきました

私自身が親と自然遊び体験を重ねてきたわけではないので、
信頼して預けられるキャンプ行事がない以上、親の私たちとするしかなかったことで、試行錯誤しました
もっとこうすればよかった、ああすればよかった、と悔やまれることもありますが、
一番悔やまれるのは、
私がしたような体験をさせてあげられなかったことです
できるだけ、それに近い経験を、という意識はありましたが、
常に親がそばにいる状態では限界がありました
テントの立て方など、私自身は厳しく教えられたものですが、親の私が厳しく教えるのと、他人の達人に厳しく教えられるのとでは全く違います
厳しく教えてしまって、かわいそうなことをしたな~と思いつつも、自分たちで寝るテントは自分たちで立てられるように当たり前に成長したむすめたちには感心しました

キャンプは親が大変だ、疲れた、と愚痴る知人の話を聞いたり、至れり尽くせりの設備が完璧で素敵なとこが大人気だったり、キャンプ場で我が家の近くでキャンプしたりしている別の家族を見ていると、いまや、キャンプまでもが子どもにとってこんな感じなのか…とがっかりするような光景もありました
テントを立てるのも、食事の支度も、全部親がやってあげているだけならともかく、
親が支度している間、子どもが椅子にどっかり座ってゲーム機やスマホで遊んでいたりするのもよく見かけました
そうなれば出かける前の荷造りも、帰宅してからの用具の片付けも、全部大人がやってあげているのでしょう

いいや、違うぞ、そこでぐんと考え方を変えれば、
大人はずっと楽になるし、子どもはずっと楽しくなるんです
そして、さらに、ずっと賢く、逞しくなるんです
そのことを知らないだけ、経験してないだけなんだよね
私はそう思っていま、超前向きに、新しい企画を考えています

長年、実現したかったけどできなかったこと、
1年かけて、実現しようと思っていることがあります

最初から全部うまくいくとは思っていません
最初から大がかりにできるとも思っていません
「子どもキャンプ」はモデルではあるけれど、おんなじにはできません
そして、わたしひとりでは実現できません
だから、まずは有志の大人同士知恵を寄せ合って、
子どもたちの「本物の思い出」を
大人になっても(私みたいにずっとひきずってひきずりまくっている)宝石のように輝く自信につながる、生きる勇気につながる自然体験、命の体験を、
一緒に考えて、形に残そうとしてくれる人たちと実現させようと思っています

まだまだ夏休みは続きます
コロナのせいで、
他者と交わるな、関わるな、という異常な夏休みです
家族で過ごすことも多いでしょう
長年親しんだ群馬の自然地帯にときどき赴くと、コロナ前より人が増えています
空前のキャンプブームってやつらしいです
どうか、
ずっとそこが、その場所が、みなさんにとって癒やしの場所であるために、
ずっと自然が自然のままであるために、
汚さないで帰ってください
そして、次に遊ぶ時には子どもたちが前より逞しくなっていて、
大人のすることがひとつずつ減っているように、
子どもたちを見守り、支え、手本を見せてあげてください

どうしたらいいか、どう導けばいいかわからなかったら、
私たちの活動を手伝ってください
一緒に考え、一緒に子どもたちを見守ってください

準備が整ったら告知しようと思います
まずは、大人の有志を募ります
安心して子どもたちが伸び伸び自由に活躍できる場を、
思考力豊かで逞しい大人達で見守りたいのです