どんぐり問題では「倍」という言葉が1MXで出てきます
でも、「割合」の概念は0MXでも頻出します
だって、最初の問題からこうです
0MX00 こうえんに かたつむりさんたちが あつまっています。きょうは みんなで おちばを あつめるそうです。 ひとり 2まいずつの おちばを あつめると なんまいのおちばを あつめることが できるでしょうか。 かたつむりさんは みんなで 4にん いますよ。
その他にも、

1ぴき12えんとかいてあるごちそうみみずを2ひきかいました(中略)1こにつき2えんひいてくれますよ(0mx04)

きんぎょさんは1にち4こ、ありさんは1にち3このゆめをみる(中略)1しゅうかんではどちらがなんこおおくゆめをみるか(0MX17)

など、など、最初の方だけでどんどん、出てきます
これらも「倍」と同じ、「割合」の概念です

実際、小学校の教科書でも、「割合」に繋がる算数の内容は2年生くらいからどんどん出てきて、現在の指導要領では「1/2,1/3などの簡単な分数の概念」は2年生で出てきます

そして、
小学校卒業時に最も不安定な認識の状態で卒業してしまう単元がこれまた「割合」です

どんぐりをやっていた子たちでも、学校の教科書の割合と繋げるのが困難だった子は中学生になっても割合に関連する問題で躓くことがあります
方程式の文章題や理科で出て来る濃度や湿度の問題などです

どんぐり問題開発者である糸山先生がこんなにたくさんの「割合」に関する問題を最初の問題から織り込んでいるのは、私には「割合」は「言語」だから、という意味があるように思えます

たとえば「はんぶんこ」という言葉は、たぶん、3歳くらいの子供でも理解できるはずです
これは、1/2倍、つまり、割合の言語です
それに続いて、「2倍」「3倍」くらいの倍の言語だったら、算数で習わなくても、どれほどの分量の差なのか、子どもたちは理解して使っているはずです
それが、
教科書で、算数用語として出て来ると途端に「わかんない」になってしまう
これはいったいどういう現象なんでしょう

私は単なる経験不足、と考えます
言語での経験も、自らの心身で感じる数量体験も、今の子どもたちは少なすぎて、
ほとんど経験していないのに、教科書でいきなり「簡単な分数」とかいって1/2や1/3が登場してきて、線分図とかで説明されるわけです

そんなことになる前に、たくさん経験しておけば「あー!そういうことか~」と、教科書に書いてあることがキラッキラに見えてくることでしょう

その「経験」が「予習」だと思い込んでいる以上、そんなキラッキラを体験させてあげることはできないんですけどね

どんぐりが後からついていくこともよくあります
この子は、高学年ですが、最近になって「やっとわかったーーー」と叫んでいました

倍が絵になっています
「こうして描いておけば全部数えるだけじゃん」
と言っていました
子ども10人に配るお菓子と、その2倍の値段の玩具、全部絵にしていて、全部お菓子だとすると70だ、と予算を70で割っています
なんで70で割ったのか、絵を見たらわかるようになっています

完璧に倍を自分なりに色を変えて、可視化しています
赤組は白組の5倍で、合計は3kg
赤組の獲得量は?
合計を「6」で割っていますよね

他の問題も、最近、ぐっと集中して描いています

鳥が好きなので、
ペンちゃんの絵にも愛情を感じます
かわいい
そして、自分が見失わないように数値をくっきりと書き残しています

いつまでも「2倍」「5倍」と文字で書いている子がいます
「ここを絵にするのよ」と毎回、淡々と伝えます
それができなければ先へ進めません
その問題だけが解けたとしても、私はそのもっと先を見ています
中学生になって、食塩水の濃度の問題が嫌いにならないよう、
理科の湿度を求める問題に苦しまないよう、
小学校6年間の間に、とにかく、この域まで辿り着いてちょうだい、と思いながら、
子どもたちが自ら工夫するのをじっと待っています
どんぐり問題を通じて出会った子たちとは、それで大丈夫です
中学生になって濃度や湿度の質問が来ますが、
それらの解説を書くのも大好きなので、何度でも描きます
そして、同じように、待ちます
描くのは、私が小学生の頃に自分で思いついた絵図です
最近ではなぜか、その絵図が描いてある参考書があります
同時多発的に同じことを思いついた人がいるのか、
私が30年前から解説に描いているのでどこかから流れていったのか…(笑)

さっき、
「3歳くらいの子どもでも理解できる」と書きました
「単なる経験不足」とも書きました
それら、すべて、子ども自身でどうにかなる問題ではありません
全ての鍵は日常会話と、日常生活が握っています

どうしたらいいのか悩まず、
いつでも相談してください
親御さんが勉強してください
家で親ができることがたくさんあります
お金をかけてどこかで習わせたり、ドリルを繰り返しやらせる必要など、ないのです

糸山先生はたくさんのたねをどんぐり問題の中にばらまいてくださっています
ひとつひとつ、丁寧に拾い集め、育てるのは子どもたち自身です
割合のたねも丁寧に拾い集めましょう
子どもが拾い集めるのを、親が横取りしてはいけません
子どもが拾い集めたい気持ちを、邪魔してもいけません
いろんなたねに気づいてほしいです