教室には、自由に切り取って使っていい毛糸や折り紙があって、
どんぐりタイムが終わって時間をつぶすときにあやとりをしている子が多いです
私が子どもの頃愛用していた『あやとりいととり』という3冊組の絵本が人気です
“わかりやすい動画と子どもたち”参照

子どもの手指の動きを見ていると、
小さい頃にこういう遊びをたくさん楽しめたらいいね~って思います
特にこの、動かない絵本から自分の手指を同じように動かして編んでいく、
この思考過程が脳内で繰り広げられていると思うと、
わくわくします
動画を見て真似るのとはまったく違っています
それは時代遅れだ、と主張する方がいるのもわかります
でも、
子育ては時代遅れの方がずっといい、と私は確信しています
子育ては最先端じゃなくていい
最先端じゃない方がいいんです
その方が本当に賢く豊かに健康体に育つんです

さて、いつも私は、子どもたちと何をして遊ぼうかな、と考えていて、
まあ、何年も通っている子が多いので、「またそれ~」って苦笑されながらも、初めての子には初めてなわけですから、まあ、お付き合い願うよ、と言いながら、なんだかんだでみんなして楽しんでいる手仕事の日

先々週あたり、「花くみひも」を数年ぶりにやってみました

元は、私が子どもとよく訪れていたおもちゃ屋さんのMOMOさんで購入したこちらがきっかけ

花の形をしたものは、分厚いフェルトでできていて、手のひらサイズです
横においてある「ひも」は、この花の道具を使って私が編んだものです
木製のものもあり、
娘たちと、この花くみひもや、Y字リリアンなど、楽しんでいた時期がありました
今回は、この花くみひもを、手作りしてみんなでやってみました
本当なら装置をつくるところから子どもたちとやりたかったのですが、最初の装置だけは私が作った物を使いました
まねっこして家で作ることは簡単ですから、その先は、子どもたちに任せよう、と思いました

装置は、100円ショップに売っているプラ段で作ることにしました
プラスチック製の段ボールです
1枚購入して、1辺7㎝くらいの正方形をたくさん切り取って、角を落とし、フェルトの型と同じように真ん中に穴を空け、周囲に8つの切れ込みを入れました
うーん
プラ段だと無理があるし、味がない…でもまあ、子どもたちはこれを参考に、自分で木製のやなんやら作るかも知れないしね、と思いながら、何十個も作りました
毛羽立ちやバリはライターの火で溶かしてまるめました

毛糸も100円ショップで何色か購入してきました
編み上がると長さが変わるのですが、それも、経験を重ねて考えていきます
ひとまず、好きな長さに揃えて7本の毛糸を切り取ります
ここは、子どもたちに任せました
全部同じ色でもいいし、違う色を好きなように組み合わせてもいい
長さも自由です
長すぎると絡まるな、短いと完成品がひもじゃないみたいだ、そんなことも自分で気づくことでしょう

真ん中の穴に毛糸の結び目を入れて裏側で押さえておき、7本の毛糸を切れ込みに1本ずつ入れていきます
そうすると、1カ所の切れ込みが毛糸のない状態になります
そこから、編み始めです

「切れ込みをお腹の前に持ってきて、そこから1,2,3本目を持ってくる」
と唱えながら編んでいます
持ってきたらまた切れ込みをお腹の前に持ってきて、そこからまた1、2,3本目を持ってきます
その繰り返しです
この子はしばらくすると、「ねえねえ、見て見て、言わなくてもできるようになったよ」と誇らしげに黙々と編んでいました

編み上がったひもは、真ん中の穴から下へ下へと続いて出てくるわけですが、
編み目をしっかりさせるために時々きゅっと軽く引っ張るといいのです
その引っ張るタイミングも、各自見つけていました
毛糸を移動する度に引っ張って丁寧に編んでもいいし、
編み目が盛り上がってきたらで大丈夫なんだよ、と気づいた子もいました
もともと手仕事が得意で、あっという間にコツをつかんでしまう子たちには、
「編みながらしりとりをする」というミッションを課してみました(笑)

余裕ですね~

穴の裏側から見ると、こんな風にひもが編まれています

もちろん、明らかに手仕事を苦手とする子もいました
編み方を教えているそばから、
「こういうの嫌なんだよね」と言ってきて、何回か毛糸を移動させたものの、
編みかけのものを放り出してしまった子もいました
まあ、気分にもよるんでしょうし、全員同じことを同じように興味を持つこともないのです
でも、これじゃなくても、なんでもいいけど手仕事を楽しめるとお家時間は楽しいだろうな~と思うわけです
「家で編むから毛糸切って持っていっていい?」「妹の分もいい?」と授業後、せっせと毛糸の束をこしらえていた子たちもいました
家に帰れば飽きて放り出すんじゃないかな、と内心ニヤニヤしていましたが、翌週聞いてみると「翌朝には全部編み上がっちゃってさあ!もっと編みたいよ!」と鼻を膨らませて報告してきたので驚いてしまいました
家でティッシュの箱を切って装置を作ったんだ、と報告してくれた子もいました
切り込みは8個じゃなきゃできないのかなあ?おおきな花で編んだらどうなるんだろう
いろんな疑問が湧いているようでした

私はふと、少し前に読んだ英文の内容を思い出しました

This helps explain why one of the winter industries in the high mountains was clock-making. Spending long hours working on tiny mechanisms was a way to make time pass faster.
これは、高山での冬季産業のひとつが時計の製造であることのひとつの説明になる。長い時間をかけて小さな装置に取り組めば、時間が早く過ぎるのだ。

いま
学校も、保育施設も、閉鎖されたり、登校・登園しづらくなったりしていて、
お母さんたちの嘆きが私のところにも届きます

大きな組織が決定したことを、個人の力で覆すことは困難です
それでも、小さな個人の力を合わせて本当に大切なものは奪われないよう、奪われたものを取り戻すような運動はできるかもしれません
運動とまではいかなくても、身近な仲間たちと、子どもも一緒に自由な時間をこしらえて過ごすことが、できるかもしれません

子どもたちは、
いくら助成金を配ってもらっても、スポーツ大会やコンサートを予定通り催してもらっても、
部活動休止で近隣の学校との練習試合はもちろん、練習さえ禁止されたり、
公園で集まって遊ぶことを禁止されたり、
昼間お母さんと買い物にでかければ白い目で見られたり、怒られたり…
大人みたいに、お金や癒やしで気持ちの落とし所をつけられません

毎日の、当たり前の日常生活が、当たり前の学校生活が、息苦しくて、不自由であるということが、
子どもたちの成長に、子どもたちの将来に、どう影響していくのか、大人たちは想像しているでしょうか

子どもたちの「いま」を無駄にしないために、
せめて私たちは子どもたちと向き合う時は、
家の中で、庭で、どう過ごすか、子どもたちの今の状況で、いつか笑い話にできるような経験を、一緒にどれだけできるか、考えていきませんか
そして、
「えらいひと」たちには、責任を持って真剣に議論してもらいたい
この子どもたちが将来、日本の中心を占めることになる日が来るのです
大人たちが自分たちのために何をしてくれたか、どこまで真剣に考えてくれたのか、
子どもたちにはわかっています
どんな扱いを受けていたかが、大人になった彼らの根底に残ることを、
真剣に考えてください
そして、子どもたちの一番近くにいるお母さんたちが、
どれだけ大変な思いをしているのか、どれだけ子どもを不憫に思い、胸を痛めているのか、想像してみてください
できれば、
その次に近くにいるはずのお父さんたちも、いつもよりさらに、お母さんへの思いやりの気持ちを持ってください
子どもにではなく、お母さんに思いやりを一番に注ぐことが、子どもを幸せにすることだ、なんて基本的な事は、もうわかってくださっているとは思いますが


私はカーテンのタッセルを編んだり、
ヘアゴムを編んだりしました
細い糸でミサンガを作った子もいました
靴紐を編めばオリジナルのスニーカーに変身させられます
私の娘は、ぬいぐるみをお散歩に連れて行くリードを編んでいました

子どもと手仕事、また、楽しい手仕事をみんなでやってみたら、ご紹介しますね