「割り算の筆算で躓いているみたいなんです。家で教えた方がいいでしょうか。」
そんな質問が相次いだので、そのうちのお一方に私が書いたメールの文章をご紹介します
6年生のとき、
補足:上記のようなことを「強制」するのでは意味がないんです
聞きなさい!って言って聞かせるのも、読みなさい!って言って読ませるのも
言われなきゃ聞かないし、読まない、という状態に、すでにその時点でなっていることを親御さんもまずは素直に受けとめることです
興味があれば真剣に聞くし、読むのです
きっと、好きな分野に関してはどの子もそうしているはず
そんな経験を通して、「よくわからないけど、ちゃんと聞けばわかるはず、ちゃんと読めば書いてあるはず」と子ども自身が気づく性質になっていることが重要なんです
少し前に卒業生や、同業者と話題にしたことがありました
教科書も確認しました
でも、やっぱり解き方は書いてあって、
パズルのように順に解けば、解けないことはないはずです
でも、解けない子はその仕組みが理解できず、
学校の先生もきっと板書などで説明はしてくれているんでしょうけれど、
教えてもらった時はできても、すぐに忘れてしまったりもするのでしょう
ひとつの計算でこれだけのことを繰り返すのだから、
「でも」
そこでわからないなら他のことでも同じように躓くよ
中学生になったら全科目で躓くよ
「わかろう」とすれば大丈夫だけど
どんぐりと一緒じゃん
どうやったらいいのかな、って自分で考えればいいんだよ
学校の算数だってなんだって同じ
「解き方、忘れちゃったよ」と言う子がときどきいます
「忘れちゃった」ということは、解き方を「覚えた」ということでしょう
学校の先生も「解き方を覚えなさい」と言うでしょう
でも、覚えておくのは大変なことです
1度覚えたものを永遠に忘れずにいられるならいいのですが、
そうはいきません
だから、覚えるのではなく、考えて、理解する必要があるんです
学校がそのような授業をしてくれているのならいいのですが、
そうとは思えない授業も多く存在します
家庭生活でも、
立ち止まって子どもが自分で考えて行動する、活動する、という場面は
極端に少なくなっています
とにかく言われたとおりにさせる、言った通りにできたら「良い子!」っていつの間にか、家庭でも学校でも、子どもの「余白」を奪い、牛耳っているのです
だから、自分からは何も考えない
考えて行動したって「ちがーう!」って言われちゃうから
そんな厳しい現実の中、子どもたちは、昔よりずっと丁寧でカラフルでおせっかいになった立派な教科書を全員が新品で手にし、それでも、「わからない」が増えているこの状態
資料は揃ってる
全て整ってる
それでも「わからない」
それはなぜか
考えようとしていないから
それは、親御さんだけの責任ではありません
学校も親御さんも含め、社会全体が、
子どもが自然に賢く育つ環境を崩してしまったんです
上のメールは教室の保護者に書いたもので、
返信を送ったその日に私はその御家庭の子のどんぐり作品を添削しています
割り算のひっさんどころか……
そんなことよりずっとずっと高度な問題を、楽しそうに絵を描きながらあっさり解いていました
どんぐりをここまで集中して解けるようになった、
ここまで来るのもとても努力して苦労なさった保護者さんです
それだけでも私は尊敬しています
だから、
不安にならず、どんぐり街道をこのまましっかりと進んでほしいなあって思いました
この子達にはどんぐりがあって本当によかった、と毎日思うのです
とはいえ、親御さんの「学校の勉強で躓いたら…」という不安はしっかり受けとめたいのです
どんぐり学舎は普通の塾みたいに、学校の授業の補習や、受験のための授業もしませんが、
遊びながら、子どもたちが学校で習っている単元も自然と自分たちの頭を使って考えるような
そんな機会を作れたらいいなあ、と
いま、かつて補習塾を営んでいた頃のような資料を作成中です
学校の授業で躓いたら…
あ、これは我が子にとって「今」じゃないかも、という分野もあり、
ま、できてもできなくても支障はないな、という分野もあり、
その分野、内容によって様々な対処法があります
わからなかったらお気軽にお問い合わせください
実教室の保護者さんや通信生さんだったら、学校のテストのわからん帳をときどき見せてくだされば、
これは「今」じゃないかも、とか、「これはできなくても問題なし」とか、
ジャッジできますので
私に見せる見せないはともかく、わからん帳は作っておきましょう
6年生になったら解き直しスタートです
まあ、基本、よく観察しておくだけで大丈夫です
そして、
わからない、理解できないとき、我が子はどうするのか?
ヘルプサインを出してくれるのか?
わかる必要もない、と言わんばかりに我が道を行くのか?
いずれにせよ、子どもが勝手にそう育ったわけではないので、
子どもを叱ったり、責めたり、正そうとしたりせず、
もし改善したいのなら丁寧に、親子一緒に軌道修正ですよ
それもまた、親子の歴史、親子の絆、信頼関係がどうなるかにかかっている大事な案件です
割り算が正確に解けることよりずっとずっと重要で、
やり直しも絆の結び直しも簡単にはできない大切な案件なんです